人材業界のAI研修で扱う業務|派遣・紹介・求人広告の部署ごとに
人材業界のAI研修で題材にするのは、部署ごとに毎日繰り返している書類です。自社の社員を採る人事の仕事の話ではなく、人材会社の営業・キャリアアドバイザー・事務が、顧客と求職者のために作る書類を扱います。
スマートエイトが商談や支援の中で伺った業務と時間を、業態と部署ごとに並べました。自社で題材にする業務を、部署ごとに1つ選ぶ目安にしてください。

派遣スタッフを集める採用担当と採用部門は、何に時間を使っているのか
人材派遣会社Pの採用担当は、各エリアからメールで届く求人情報の修正の依頼を読み、求人の修正画面で直しています。直した後は、約5分後に求人媒体へ反映されたかを確かめます。1件は平均15分で、1日20件前後が届くと、この作業だけで5時間になります。
同じ会社の採用部門は、4種類の日次レポートを、毎日約1時間かけて作っています。勤怠と入職者のデータをダウンロードし、約176MBのExcelに貼って集計表を更新し、領域ごとの表に写す手順です。手順を知るのは担当者1人で、手順書もありません。
担当者は、時間を減らすより、自分がいなくても回る形にしたいと話していました。研修で題材にするなら、今の手順をAIと一緒に書き出し、担当者以外でも1日分を作れる手順書にします。データの取り込みから表までを毎日動く仕組みにするのは、システムの開発で扱う領域です。
人材派遣会社Tでは、派遣スタッフ400人弱の請求書を5〜6人で作っています。合算か個人別か、5人分で1枚か1人ずつかが顧客ごとに違い、スタッフが増えると担当も増やすしかない状態です。
人材紹介のキャリアアドバイザーは、何に時間を使っているのか
人材紹介会社Uのキャリアアドバイザーは、面談した求職者ごとに合う求人を選び、企業に送る推薦文を1人ずつ書いています。面談は月150名で、求人の選定は1回25分、推薦文は1人20分かかります。
人材紹介会社Vでは、面談からの決定率が、上位のアドバイザーで12%、下位で5%と開いていました。上位の人の求人の選び方と推薦文の書き方を指示文に残せば、ほかのアドバイザーも同じ型から下書きを始められます。
求人広告の営業と原稿の制作は、何に時間を使っているのか
スマートエイトが全4回の研修を行った求人広告代理店Gでは、営業が顧客の求人URLから、競合の求人との比較と勝ち筋を示す3枚ほどの資料を作ります。研修の前は、この資料づくりに1回60分かかっていました。
求人原稿の初稿も営業が書き、1本に45分を使っていた業務です。求人媒体の運用担当も、条件面で競合する求人を洗い出す作業に、1回10分をかけていました。
できた原稿のチェックにも、時間を取られます。確かめる観点が決まっているぶん、AIに洗い出させる手順を組みやすい業務でもあります。
研修で身につける手順|求人原稿のチェックを例に
研修で受講者が身につけるのは、毎日の書類でAIに任せる所と人が確かめる所を分け、その分け方を指示文にしてGem*に残す手順です。求人原稿のチェックなら、AIが4つの観点で指摘を出し、人は指摘の行と、給与・職種名・応募資格の欄だけを見て直します。
求人媒体の管理画面への入力までAIにさせる仕組みは、システムの開発で扱います。

原稿のチェックでは、何を確かめているのか
求人広告代理店Gの研修のアンケートで、時間のかかる業務に挙がった原稿のチェックでは、次の4つを確かめていました。
- 項目の書き間違い:給与・勤務地・勤務時間が、正しい項目に書かれているか
- 内容の重複:同じ内容が、別の項目に重ねて書かれていないか
- 最低賃金:給与が、勤務地の最低賃金を下回っていないか
- 載せられない書き方:性別や年齢を限る書き方、男女で条件を変える書き方をしていないか
最低賃金は、都道府県ごとに額と発効日が決まっていて、毎年見直されます。月給や日給で書かれた給与は、通勤手当や固定の残業代などを除いてから時給に直して比べます。
「男性歓迎」「女性向きの職種」のような表示は、募集での違法の例に挙げられています。
年齢も、募集と採用で制限を設けることが原則としてできません。例外もあるため、当てはまるかは人が決まりと照らします。
AIにどう頼むのか
頼み方は、指示とお手本をGemに保存しておく形にします。毎回同じ指示を書かずに済み、チームの誰が使っても同じ観点で指摘が出ます。
Gemに保存する指示文の例です。最低賃金の額とお手本の原稿は、自社の物に差し替えます。ChatGPTやCopilotでも、指示を保存する機能に同じ文を入れて使えます。
あなたは求人広告の原稿をチェックする担当です。
貼った求人原稿を次の4つの観点で確かめ、問題の候補だけを表で出してください。
1. 項目の書き間違い:給与・勤務地・勤務時間が、正しい項目に書かれているか
2. 内容の重複:同じ内容が、別の項目に重ねて書かれていないか
3. 最低賃金:給与から通勤手当や固定の残業代などを除いて時給に直し、下に貼った勤務地の最低賃金を下回らないか
4. 載せられない書き方:性別や年齢を限る書き方、男女で条件を変える書き方がないか
出し方
・表の列は、観点、原稿の該当箇所、気になる点、直し方の案の4つ
・問題が無い観点は「問題なし」と1行で書く
・迷う箇所は言い切らず「要確認」と書く
・原稿に無い情報を足さない
お手本の原稿:ここに、正しく書けている原稿を1本貼る
勤務地の最低賃金:ここに、都道府県名と時給を貼る
人は何を確かめるのか
人が確かめるのは、AIが表に出した行と、給与・職種名・応募資格の3つの欄です。指摘の行を原稿と見比べて、直すか消すかを決めます。
最低賃金と性別・年齢の書き方は、見落とすと法律に触れるので、AIが「問題なし」と出しても、この3つの欄は人が元の情報と見比べてから入稿します。最低賃金の額は、改定のたびにGemの中で差し替えます。
求人広告代理店Gでは、研修の最後の回の翌日に、受講者の1人が作った求人原稿のチェックのGemを、クライアントサポートのチームが全員で使うと決めました。
推薦文と日次レポートも、AIに任せる所と人が確かめる所を分ける組み方は同じです。推薦文は、面談のメモから求職者の名前・連絡先・今の勤務先の名前を消して入れ、経歴の要約と企業に伝える強みの下書きをAIに書かせます。人は経歴の事実と、その企業に向けて強調する点を確かめ、名前を最後に入れます。
日次レポートは、AIに今の手順を書き出させて手順書にし、人は担当者以外の人がその手順書だけで1日分を作れるかを確かめます。
*Gem:Geminiに指示やお手本を保存し、同じ指示で何度も呼び出せる機能。会社のGoogle Workspaceでは、2027年3月に同じ働きの「スキル」へ移る。
求人広告代理店Gの研修では、約62名が何ができるようになったか|全4回・計12時間の事例
スマートエイトが求人広告代理店Gで行った人材業界向けのAI研修では、社員約62名が、全4回・計12時間の対面で、自分の業務を題材にGemとGAS*を作りました。最終回までに作って発表した物は65件で、受講者が示した削減時間の合計は月約200時間です。
自社で同じ形の研修を組む時に、誰を対象にし、どの順で演習を並べるかの参考にしてください。

研修の前は、どんな状態だったのか
研修前のアンケートに答えた51名のうち、61%がほぼ毎日Geminiを使っていました。一方で、使いこなせている自信は、5点満点の平均で2.4点にとどまっています。
困りごとの1位は、答えの精度が安定しないことでした。2位は、業務の情報をどこまで入れてよいか分からないことで、11名が挙げています。
求める回答を一度で引き出す聞き方が分からない、という声も出ていました。毎日触っていても、自分の業務を任せる形にはなっていなかった状態です。
4回・12時間で、何を練習したのか
受講したのは、採用支援の営業、中途紹介と新卒の担当、求人媒体と広告の運用、クライアントサポート、業務推進と開発部門の社員です。部署ごとに2つの日程に分け、3人ずつのテーブルで作業しました。
前半は、AIに入れてよい情報の線と、頼み方の型を練習しました。頼み方の題材は求人原稿のたたき台で、AIに逆に質問させる頼み方も扱っています。
毎日の業務の使い方として、メールの要約と返信の下書きや、Gemini Notebook*で社内の資料から答える窓口づくりも扱いました。
後半は、直近1か月の業務を10〜20件書き出し、1回の時間と月の回数から、AIに任せる業務を選びました。選んだ業務でGemを作り、互いに直し合ってから、テーブルごとと全体の場で発表しています。GASでは、Googleの表計算やメールを決まった時刻に動かす仕組みを、Geminiにコードを書かせて作りました。
研修の後、何が変わったのか
月約200時間の削減は、年間に直すと約2,400時間です。最も大きかったのは、求職者ごとに紹介する企業の説明資料を作るGemで、1回30分が5分になり、月20時間を減らせる計算です。
営業が顧客の求人URLから競合求人と比べる資料を作る作業は、1回60分から5分になっています。
時間がかかっていた競合求人の調査と資料づくりを、研修の中で自分のGemにできたと、最終回のアンケートに書いた受講者がいました。
「今まで時間がかかっていた競合求人調査と資料作成のGemを作れた。」
— 人材の会社の受講者(スマートエイトの研修アンケートより、2026年7月)
研修の詳しい中身と、作った物の一覧は、求人広告代理店Gの研修の事例にまとめています。
*GAS:Googleの表計算やメールを、決めた時刻や条件で動かす仕組み。中身のコードはGeminiに書かせて作れる。 *Gemini Notebook:手元の資料だけをもとに答える、GoogleのAIの道具。2026年7月に、NotebookLMから名前が変わった。
人材業界でAI研修を始める前に決める3つのこと|個人情報・受ける人・広げ方
人材会社でAI研修を始める前に決めるのは、次の3つです。
- 求職者の個人情報を、AIに入れてよい範囲
- 研修を受ける人と、最初に受ける部署
- 研修で身につけた使い方を、社内に広げる場
最初に決めるのは個人情報の線です。入れてよい情報の線が決まらないと、演習に持ち込める書類が決まらないためです。3つの案を持って相談すると、演習の題材と日程の案まで話を進められます。決めきれない所は、相談の場で一緒に確かめられます。
決め方の例は、人材業界向けAI研修のページのよくある質問でも答えています。

求職者の個人情報を、AIに入れてよいか
入れてよい情報と入れない情報、迷った時の判断の流れを、研修の前に決めます。面談のメモや推薦文の下書きは、求職者の名前・連絡先・今の勤務先の名前を消してから入れます。
使うAIは、会社の契約で、入れた内容が学習に使われない環境に限ります。同じGeminiでも契約の種類で扱いが変わるため、研修の前に自社の契約を確かめます。
求人広告代理店Gの研修でも、入れてよい情報と入れてはいけない情報、迷った時の判断の流れを扱いました。研修前の困りごとの2位も、この線でした。
誰から受けさせるか
営業・キャリアアドバイザー・事務は、同じ研修を一緒に受けられます。演習の題材は受講者それぞれの業務なので、部署ごとに変わるのは作る物だけです。
求人広告代理店Gでは、営業は競合求人と比べる資料を作るGemを、総務人事は法改正の資料から実務のチェックリストを作るGemを作りました。総務人事の作業は、1回60分が15分になっています。
人数を絞って始めるなら、毎日同じ書類を繰り返している担当から受けてもらいます。作った手順を翌日の仕事で使えるので、研修の後も使い続けやすくなります。
研修で身につけた使い方を、どう社内に広げるか
広げる場は、研修の中の発表で終わらせず、研修の後にも作ります。求人広告代理店Gでは、研修の翌月から、各グループが作ったGemを持ち寄って見せ合う発表会を、自分たちで開いています。
最終回の満足度の理由44件のうち17件が、ほかの受講者の発表やGemの共有を挙げていました。
ほかの人の発表で、自分の業務の次の使い道が見つかったと書いた受講者もいます。
「他の人の発表を聞いて、自分が思いつかなかったあの業務で使えそう!という新しい気づきになって、より取り組めそうなものが増えるきっかけになりました。」
— 人材の会社の受講者(スマートエイトの研修アンケートより、2026年8月)
人材業界のAI研修で、よくある質問|費用・人数・AIの種類・助成金
費用はいくらかかりますか?
スマートエイトの研修は、12時間・20時間・30時間から選べ、どのコースも受講者1人あたり40万円(税抜)です。総額は受講する人数と研修の時間で決まるので、30分の無料相談で伺ってからお出しします。コースごとの中身は、スマート生成AI研修のページで確かめられます。
何名から受けられますか?
スマートエイトの研修は、3名から受けられます。20時間は5名から、30時間は10名からで、人数が多い会社は部署ごとに日程を分けて組めます。
全国どこでも会社の会議室で対面の研修を行い、講師の交通費・宿泊費はスマートエイトが負担します。
どのAIで研修を行いますか?
スマートエイトの研修は、Claude、ChatGPT、Microsoft 365 Copilot、Geminiに対応しています。会社で使ってよいと決めているAIがあれば、そのAIで演習します。
求人広告代理店Gでは、会社で認められていたGeminiとGemini Notebookに絞り、GASも扱いました。
助成金は使えますか?
条件を満たす研修なら、国の人材開発支援助成金で、研修の費用の一部が助成されます。対象になる条件と助成率は、人材開発支援助成金が使えるAI研修の記事で詳しく扱っています。
人材業界向けのAI研修の会社は、何で選べばよいですか?
研修の前の相談で、次の3つを確かめると選びやすくなります。
- 自社の求人原稿や面談のメモを、演習の題材にできるか
- 求職者の個人情報を入れてよい線を、研修の前に一緒に決められるか
- 営業・キャリアアドバイザー・事務を、部署ごとに日程を分けて組めるか
スマートエイトの人材業界向けAI研修は、3つとも研修の前の相談で決めます。題材の選び方は1章、個人情報の線は4-1、受ける人の決め方は4-2で紹介しました。
さいごに
本記事では、人材業界のAI研修で社員が身につける手順を、派遣・紹介・求人広告の部署ごとの業務と、求人原稿のチェックの例で解説しました。研修の中心は、AIに任せる所と人が確かめる所を、自社の書類で分けて練習することです。
毎日AIを使っているのに仕事が楽にならない会社は、まず部署ごとに、毎日繰り返している書類を1つずつ選んでください。求人情報の更新、推薦文、日次レポート、原稿のチェックのどれかが当てはまるはずです。
スマートエイトの人材業界向けAI研修では、選んだ書類を持ち込み、講師とその場で直しながら、受講者がAIに任せる手順を身につけます。研修の組み方と事例は、人材業界向けAI研修のページで紹介しています。
※生成AI研修資料/導入事例も無料ダウンロードいただけます。