はじめに

人材開発支援助成金が使えるAI研修は、DXなどに要る知識と技能を、受講者の職務に直接使う形で、正味10時間以上学ぶ研修です。対象になれば、中小企業は研修費の75%、大企業は60%が助成され、上限は10時間以上100時間未満の研修で受講者1人あたり中小企業30万円、大企業20万円です。

この75%は、厚生労働省の人材開発支援助成金のうち、新しい事業やDXに要る研修を助成する「事業展開等リスキリング支援コース」の助成率です。2026年8月の改正で、生成AIの研修のうち、どの業務にも共通するプロンプトの作り方だけを学ぶものは対象から外れました。

今の制度が使えるのは、2027年3月31日までです。助成金が使えるAI研修を選ぶときに見る観点は4つあります。この4つで研修の形を比べたうえで、助成される額と、申請の流れ・期限まで解説します。

助成金が使えるAI研修の選び方|対象と上限額を分ける4つの観点

人材開発支援助成金が使えるAI研修かどうかは、次の4つの観点で見分けます。どれも、研修が対象になるか、いくら助成されるかを左右します。

  • 職務に直接使う内容
  • 10時間以上の研修時間
  • 上限30万円の枠と賃金助成*が使える受け方
  • 全員が勤務時間内に8割以上出られる日程

「職務に直接使う内容」は、2026年8月の改正で厳しくなった観点です。DXに関わる研修でも、どの職業にも共通する内容だけでは対象外になりました。受講者が研修会社の研修で、自分の担当業務を題材にAIを業務に使う技能を身につけるなら、この観点を満たしやすくなります。

「10時間以上の研修時間」は、研修のうち職務に関係しない部分と、昼食や移動の時間を除いた正味の時間で数えます。オリエンテーションのうち研修時間に数えられるのは、合わせて60分までです。半日や1日の研修では、10時間に届きません。

「上限30万円の枠と賃金助成が使える受け方」は、助成される額を決めます。対面か、講師と同じ時間につながる同時双方向*のオンラインで進める研修なら、10時間以上100時間未満の上限は中小企業で1人30万円です。eラーニングを含む研修は、講師のライブ研修を組み合わせても上限が下がり、eラーニングの時間には賃金助成が出ません。

「全員が勤務時間内に8割以上出られる日程」は、助成が受講者1人ずつ決まるので欠かせません。出席が研修時間の8割に届かない受講者は、その人の分の研修費も助成されません。賃金助成は勤務時間内に受けた時間だけに出て、年次有給休暇を取らせて受けさせる研修は対象外です。

*賃金助成:研修を受けた時間の賃金の一部を助成する仕組みです。勤務時間内に受けた1時間ごとに、中小企業は1人1,000円、大企業は500円が出ます。 *同時双方向:テレビ会議の仕組みで講師と受講者が同じ時間につながり、その場でやり取りしながら進める受け方です。

AI研修の形で比較|助成金の上限30万円と賃金助成が使える形

研修の形ごとに、4つの観点を満たすか

4つの観点で、研修の形ごとに比べると次のとおりです。

観点

eラーニングを含む研修

定額制の受け放題

半日〜1日の公開講座

講師と進める10時間以上の自社向け研修

職務に直接使う内容

△

△

△

◎

10時間以上の研修時間

○

○

×

◎

上限30万円の枠と賃金助成が使える受け方

×

×

○

◎

全員が勤務時間内に8割以上出られる日程

-

-

△

◎

eラーニングと定額制は、受講者がそれぞれの時間に進める形なので、日程の観点は当てはまりません。

eラーニングを含む研修は、講師のライブ研修を組み合わせても、上限が中小企業15万円、大企業10万円になります。どの会社にも共通の動画が中心なので、職務に直接使う内容にするには、職種に合わせた講座を選ぶことになります。

決まった額で講座を受け放題にする定額制は、上限が1人1か月2万円で、賃金助成がありません。講座はどの会社にも共通の物が中心で、対象外の講座が講座の数で半分以上を占めるサービスは、全体が対象外です。

半日〜1日の公開講座は、10時間に届かないうえ、ほかの会社の受講者と同じ題材で学び、開催日も研修会社が決めます。

観点をすべて満たすのは、研修会社の講師と同じ時間に進める10時間以上の研修を、自社の社員向けに、受講者の業務を演習の題材にして、勤務時間内の日程で組む形です。

人材開発支援助成金の活用を案内している主な研修

2026年10月時点で、公式ページに人材開発支援助成金の活用を案内している主な研修です。

会社(研修の名前)

形

時間

料金

Uravation(生成AI研修)

オンライン、対面、ハイブリッド。座学とハンズオン

標準12時間。6時間のライト版あり

1名40万円(税別)を基準に、人数と時間数で個別見積もり

GENAI(AI鬼管理のAI業務変革パッケージ)

完全オンライン。Google Meetとチャット

全20回・20時間

1名80万円(税込)

DMMビジネスAI(DMMビジネスAI研修)

Zoomで行う双方向型のオンライン研修。オンデマンド動画や対面との組み合わせにも対応

全4日程。1日2〜3時間

個別見積もり

SHIFT AI(SHIFT AIリスキリングコース)

eラーニングと、オンラインのライブ研修

合計16時間以上。eラーニング10時間、オンライン研修6時間

1名300,000円(税抜)

デジライズ(AIエージェント人材養成講座)

動画、ワークショップ全4回、伴走ミーティング全6回

動画カリキュラム約10時間。期間は6か月

1名24万円(税別)

ホリエモンAI学校(法人向け生成AI研修)

動画講義240講座以上の受け放題と、課題・チャット相談・月1回の業務改善ミーティング

受け放題。合計時間の記載なし

1人310,000円/年(税込341,000円/年)

DMM.com(DMM 生成AI CAMP 学び放題 法人向けサービス)

約1,000レッスンの学び放題と、毎日開催のライブ形式ワークショップ

合計時間の記載なし

公式ページに金額の記載なし

各社の料金の相場は、AI研修の費用を比較した記事にまとめています。

助成される額と申請の流れ|助成率・上限額と会社が満たす条件

人材開発支援助成金でAI研修に出るのは、研修費に助成率を掛けた額と、勤務時間内に受けた時間の賃金助成です。どちらも、研修を始める前に届け出て、研修の後に申請してから支給が決まります。

いくら助成されますか?

研修費への助成は、中小企業が75%、大企業が60%です。上限は受講者1人1訓練あたりの額で、研修時間と受け方で変わります。

項目

中小企業

大企業

研修費の助成率

75%

60%

賃金助成・1人1時間あたり

1,000円

500円

上限・10時間以上100時間未満

30万円

20万円

上限・100時間以上200時間未満

40万円

25万円

上限・200時間以上

50万円

30万円

上限・eラーニングを含む研修

15万円

10万円

上限・定額制の受け放題

1人1か月2万円

1人1か月2万円

研修費は消費税を含めた額で計算し、助成率を掛けた額と上限のうち低いほうが助成されます。賃金助成は、勤務時間内に受けた時間の分だけ出ます。

ここまでは、研修会社が主催する研修に受講料を払う場合の計算です。会社が自分で企画・主催し、講師に謝金を払う研修は、謝金などを積み上げて計算し、謝金は1時間3万円までになります。

会社と受講者には、どんな条件がありますか?

研修の中身のほかに、会社と受講者の側にも条件があります。1つでも欠けると、研修の中身が対象でも助成されません。

条件

中身

受講する人

雇用保険に入っている社員。代表取締役は対象外

研修費

会社が全額を払う。返金や協力金で負担を減らすと対象外

届け出

研修開始の6か月前から1か月前までに、計画届*を労働局へ出す

申請

研修費を払い、研修終了の翌日から2か月以内に支給申請を出す。支給は審査で決まる

変更

計画届の後に日時や内容を変えるときは、変える前と後の早いほうの日の前日までに変更届を出す。出さずに変えた部分は助成されない

人材開発支援助成金を使うAI研修の手続きを、計画届、研修、研修費の支払い、支給申請、審査と支給の5段で示した図。計画届は研修開始の6か月前から1か月前まで、支給申請は研修終了の翌日から2か月以内で、今の制度が使えるのは2027年3月31日まで

申請するのは、受講者を雇う会社です。社会保険労務士に手続きのサポートを頼めますが、報酬を受けて申請の手続きを代わりに行えるのは社会保険労務士だけです。研修会社が、受講料に手続きの対価を含めて申請を引き受けることも、社会保険労務士法で禁じられています。

制度はいつまで使えますか?

今の制度が使えるのは、2027年3月31日までです。助成金は、研修が終わった翌日から2か月以内に支給申請を出し、労働局の審査を経て支給されます。研修の終わりや支給申請が2027年3月に近づく日程なら、計画届を出す前に、管轄の労働局に扱いを確かめます。

*計画届:研修の目的、日程、日ごとの内容と時間を書いて、研修を始める前に労働局へ出す届け出です。正式な名前は職業訓練実施計画届です。

よくある質問|生成AIの研修・社長の受講・研修会社の案内

生成AIの研修なら、どれも助成金の対象になりますか?

なりません。2026年8月3日以降に出す計画届では、生成AIを使う汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ研修は対象外です。

対象の例に挙がっているのは、営業担当者が商品提案書の構成案や文章を生成AIで作り、直す方法を学ぶ研修です。生成AIの研修がまとめて外れたのではなく、受講者の職務に直接使う内容かどうかで決まります。

社長も一緒に受けると、助成の対象になりますか?

代表取締役は、雇用保険に入っていないため対象外です。社長が社員と一緒に受ける場合、社長の分は助成のない研修費で見積もります。

AIツールの利用料や「実質無料」の案内は、どう見ればよいですか?

研修費として助成の対象になるのは、会社が全額を払った研修の費用です。AIツールの導入費用は対象経費に入らないため、研修費と分けて見積もってもらいます。

厚生労働省は、助成金で研修が「実質無料」になるとうたう勧誘に注意を呼びかけています。返金や協力金で会社の負担を減らすと、研修費への助成はまるごと受けられません。助成金を使うかどうかで受講料を変える形では、その差額が助成の対象外になります。

観点をすべて満たすAI研修|スマート生成AI研修

ここまでの4つの観点をすべて満たすように組んだのが、スマートエイトの法人向け生成AI研修「スマート生成AI研修」です。

観点

スマート生成AI研修

職務に直接使う内容

◎ 受講者の身近な業務を演習の題材にする

10時間以上の研修時間

◎ 12〜30時間。どのコマも受講者の業務を題材に、講師と一緒に進める

上限30万円の枠と賃金助成が使える受け方

◎ 対面か、Zoomの同時双方向で行う。eラーニングは含まない

全員が勤務時間内に8割以上出られる日程

◎ 全国どこでも貴社の会議室で行う。12時間なら3時間×4日、30時間なら5時間×6日などに分けて組める

4コースとも1人40万円・税抜で、人材開発支援助成金の対象になれば、中小企業は研修費の最大75%、1人1訓練あたり最大30万円が助成されます。計画届と支給申請は受講する会社が行い、提携する社会保険労務士法人が、別の契約でそのサポートを行います。

1回の研修は3名から40名までで、20時間のコースは5名以上、30時間のコースは10名以上で選べます。講師は、リクルート社内で生成AI研修の講師を務めた代表の小坂井聖也です。

Web広告代理店のCCG SEE様では、営業と広告運用の10名が対面の全5回を受講しました。既存の自動化ツールが対応していない媒体の広告レポート作成は月100時間から月3時間になり、定型業務は合わせて月120時間減っています。

さいごに

人材開発支援助成金が使えるAI研修は、DXなどに要る内容を職務に直接使う形で、職務に関係しない時間を除いて10時間以上学ぶ研修です。1人30万円までの上限と賃金助成を使うなら、eラーニングを含まない受け方で、全員が勤務時間内に8割以上出られる日程の研修を選びます。

研修の開始日を決めたら、その1か月前までに計画届を出せるように、研修会社からカリキュラムと日程を早めに受け取ります。今の制度が使えるのは2027年3月31日までなので、研修の終わりが3月に近づく日程なら、計画届を出す前に労働局に扱いを確かめます。

スマート生成AI研修は、どのコースも4つの観点をすべて満たすように組んだ研修です。4コースのカリキュラムと日程の組み方は、法人向け生成AI研修「スマート生成AI研修」のページで確かめられます。

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