はじめに
Claudeの活用事例を調べても、できることの一覧ばかりで、自社のどの部署の仕事がどう変わるのかが見えない。導入を検討している方の多くが、そこで手を止めているのではないでしょうか。
本記事では、スマートエイトのClaude Codeの研修を受けた3社の事例を、営業・経理・サポートの部署ごとに紹介します。スマートエイトは、受講者が自社の資料を題材に自分の業務の手順を作る、法人向けの生成AI研修を行っています。
結論として、3社に共通するのは「材料が社内にあり、毎回同じ手順で進む仕事」から任せた点です。ログインや電話、顧客に出す前の確認は人が持ち、資料集めや突き合わせ、下書きをClaudeに任せています。
本記事は2026年10月18日時点の情報をもとにしています。時間の変化は、研修の最終発表での受講者の自己申告です。
Claudeの活用事例を部署で分けると|3社に共通する「集める・照らす・下書きする」
3社の業種はばらばらですが、任せた仕事を並べると似た形をしています。資料を集める、別の資料と照らし合わせる、決まった形の下書きを作る、の3つです。

3社の事例を一覧で見る
3社の事例を、部署と任せた仕事で並べると次のとおりです。どの会社も、研修の中で受講者自身が手順を作っています。
部署 | 会社 | 任せた仕事 | 変わったこと |
|---|---|---|---|
営業・物件調査 | 不動産仲介会社A | 公的資料の取得、管理会社の調査 | 1〜2時間が30分、2〜3時間が1時間未満 |
経理・分配の管理 | 音楽関連会社F | 支払通知の取り込みと分配の計算 | 受講者が研修の演習で計算のアプリを作った |
サポート・CS | DLPO株式会社 | 回答の下書き、ページのタグの検出 | 研修後に自社で顧客の状態を判定する仕組みを作った |
共通点は、材料が社内にあって手順が決まっていること
3社が最初に任せたのは、判断が少なく、材料がすでに社内にある仕事です。案件の資料、届いた明細、過去の問い合わせの記事がそれにあたります。
逆に、価格や契約の判断、顧客への最終の説明は人が持ったままです。どの章でも、最後に「人が残した所」を確かめながら読んでください。
営業・物件調査の活用事例|不動産仲介会社Aの資料集めと調査
不動産仲介会社Aは、収益物件の売買を仲介する会社です。社長を含む6名が、2日間のClaude Codeの研修で、自分の業務の手順を作りました。
最終発表では、物件の調査から売主への説明まで、10件の業務の手順を動かして見せています。この章では、そのうち営業と物件調査にあたる2つを取り上げます。

公的資料の取得|1〜2時間が30分に
物件の調査では、*公図などの公的資料を、いくつものサイトを回って集めます。研修前は、1件に1〜2時間かかっていました。
受講者が作った手順では、物件名と所在地を渡すと、Claude Codeが資料を探してダウンロードし、決めた名前で決めたフォルダに保存します。受講者の申告では、1〜2時間が30分になりました。
管理会社の調査と訪問準備|2〜3時間が1時間未満に
空室の多い物件では、管理会社を調べて訪問の準備をします。この作業にも、1件に2〜3時間を使っていました。
研修で作った手順では、顧客にそのまま見せられる管理会社の一覧と、電話で聞くことの下書きを作らせます。受講者の申告では、1時間未満で準備が終わるようになりました。
人が残した所|ログインと電話
資料を集めるサイトへのログインは、人が済ませます。管理会社への電話も、人が自分の言葉でかけます。
AIに任せたのは、ログインの後の探す・落とす・名前を付けて並べる作業と、電話の前の下調べです。顧客や取引先と直接やり取りする場面は、人に残しています。
*公図:土地の区画や位置関係を示した図面。物件の調査では、登記の情報とあわせて集める公的資料の1つ。
経理・分配の管理の活用事例|音楽関連会社Fが研修で作った計算のアプリ
音楽関連会社Fは、音楽の著作権印税と原盤印税の分配を代行する会社です。受講者は3名で、2026年7〜8月の全4回、計12時間の研修に参加しました。
4回は、作業の環境を整える回から始まり、明細の取り込み、名寄せと分配の計算、実際の明細での確かめの順に進みました。毎回、前の回で作った部分を動かしながら次を足していく流れです。

困っていたこと|書式のばらばらな支払通知
支払通知は、四半期ごとに各社から別々の書式で届きます。PDFもあれば表計算のファイルもあり、1社分だけでPDFが300ページを超えるものもあります。
分配率の管理と検算は外部に任せており、社内に手順が残っていませんでした。各社の書式と番号の付け方がそろわず、既製の道具には載らなかったためです。
研修の演習で作ったもの|4画面の計算のアプリ
受講者は研修の演習で、Claude Codeに指示を出しながら、分配を計算するアプリを自分たちで作りました。画面は、取り込み・整理・*名寄せと分配率・支払通知の4つです。
2回目の研修の時点では、名寄せで決めきれない名前が205件ありました。アプリでは、これを金額の大きい順に並べ、人が上から確定していけるようにしています。決めたルールはファイルに残り、AIにまとめて直させることもできます。
人が残した所|外注の手計算と突き合わせる
最終回の演習では、実際の明細の1案件分を題材に、アプリの計算と外注先の手計算を突き合わせるところまで進めました。合わない所をAIに直させ、受講者が結果を確かめる流れです。
受講者は、変更の履歴を残して共有し、互いに確かめる流れまで研修の中で体験しています。計算の正しさを最後に確かめるのは、分配の実務を知る担当者です。
*名寄せ:表記の違う同じ人や同じ曲を、1つにまとめる作業。印税の分配では、明細ごとに表記がゆれる作家名をそろえる。
サポート・CSの活用事例|DLPOが研修中と研修後に作った仕組み
DLPO株式会社は、ページの改善を支援する仕組みを提供する会社です。AIを扱えるのは一部の開発エンジニアだけ、という状態から、セールス・プランナー・テクニカルサポートの担当者が研修を受けました。
研修前は、商談の履歴やサポートの履歴、テストの結果がいくつもの道具に分かれていました。担当者が手でデータを取り出してAIに入れ、結果を手で戻していたため、AIを使うほど転記が増える状態でした。

問い合わせへの回答の下書き
研修の4回目には、問い合わせ対応で使う記事322件を参照し、関連する記事を拾って回答の下書きを作る動きを確かめました。担当者が記事を探す時間を、下書きを直す時間に置き換える使い方です。
受講者は、問い合わせが届いたときに過去の対応から似た事例を出す手順も作っています。2つの案を比べたテストの勝敗を判定する手順や、レポート画面のPDFを表計算のファイルに変える手順もあります。
ページ全体から広告や計測のタグを検出する
ページの分析は、これまでブラウザの拡張機能を使った目視でした。研修の2回目に、ページ全体を自動で取得し、12種の広告や計測のタグを検出する手順に変えています。
目で探すと漏れやすいタグの有無を、決まった手順で一覧にできる点が効いています。どのタグを直すかを決めるのは、担当者です。
研修後に自社で作った仕組み
研修の修了後、DLPOは自社の人員で、*Salesforceの商談データと自社の稼働データから*ヘルススコアと推奨の対応を出す仕組みを作りました。研修で身につけた進め方を、自分たちで次の仕組みに広げた例です。
受講者からは、具体的に業務を移していくイメージができた、という声が寄せられました。研修の満足度は、全4回の延べ12件の回答がすべて5段階の5でした。
*Salesforce:顧客や商談の情報を管理する道具。DLPOでは商談の履歴がここにあり、AIとつないで使えるようにした。 *ヘルススコア:契約中の顧客の利用状況を点数にしたもの。下がった顧客を早く見つけ、次の対応を決めるために使う。
よくある質問|Claudeの活用事例を自社に当てはめるには
エンジニアのいない部署でも使えますか?
使えます。DLPOでは開発エンジニア以外のセールスやサポートの担当者が、不動産仲介会社Aでは社長を含む6名が受講しています。指示は日本語で書き、手順は受講者が自分の業務に合わせて作りました。
ClaudeとClaude Codeのどちらの事例ですか?
3社とも、研修で使ったのはClaude Codeです。フォルダのファイルを読み書きし、資料の保存やアプリの作成まで進められるため、集める・照らす・下書きする仕事に向いています。
自社の業務で効果が出るかは、どう見極めますか?
1回あたりの時間と月の回数を、任せる前に書き出してください。浮く時間と費用の見比べ方は、生成AIの費用対効果を測る4つの問いで解説しています。
研修はどのくらいの時間でしたか?
不動産仲介会社Aは対面の2日間、音楽関連会社FとDLPOはそれぞれ全4回で計12時間でした。DLPOはオンラインで受講しています。研修の選び方は、法人向けClaude Code研修の選び方にまとめています。
さいごに
本記事では、Claude Codeの研修を受けた3社の活用事例を、営業・経理・サポートの部署ごとに紹介しました。どの会社も、材料が社内にあり手順が決まった仕事から任せ、顧客や取引先とのやり取りと最後の確認は人に残しています。
自社のどの仕事から始めるかに迷ったら、資料を集める・照らし合わせる・下書きを作る作業を部署ごとに1つずつ挙げてみてください。
スマートエイトの生成AI研修では、受講者が自社の資料を題材に、自分の部署の業務の手順を作るところまでを演習で行っています。
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