はじめに

社長の1日が、提案書の作成と、メールや予定の確認と、経費の点検で埋まってしまう。小さな会社ほど、経営の判断に使いたい時間が定型の作業に消えていないでしょうか。

本記事では、スマートエイトがClaude Codeで回している経営の定型業務を、実際に動かしている形のまま紹介します。2026年5月には、その仕組みを動画で公開しました。止めた仕事とその理由まで書くのは、自社で毎日使っているからです。

結論として、任せるのは「材料が社内にあり、毎回同じ手順で進む仕事」です。骨子の承認と、送る・出す操作と、最終の判断は社長が持ち続けます。

本記事は2026年10月18日時点の自社の運用をもとにしています。時間の変化は自社の体感で、測った値ではありません。

Claude Codeで会社経営を回すと何が変わるか|会社を作るように役割ごとのAIを置く

Claude Codeで会社を作る、と聞くと、AIに社長まで任せる姿を思い浮かべるかもしれません。スマートエイトの形は逆で、役割ごとのAIを置き、社長は判断に回ります。

役割ごとのAIと社長の判断の図。依頼を受けると、調べる役・書く役・確かめる役のAIが必要な分だけ集まって素案を作り、社長が骨子を承認して最終の判断をする

役割ごとのAIが、依頼に合わせて集まる

2026年5月に公開した動画の時点で、AIの*エージェントは23体ありました。営業や提案などの仕事を受け持つ16体と、開発を受け持つ7体です。

23体が毎回すべて動くわけではありません。依頼の中身に合わせて、必要な役だけが集まってチームを組みます。提案書なら、顧客の目で見る役、戦略の目で見る役、価格を考える役、危うさを確かめる役が順に入ります。

開発の役は、社内で使う道具の改善を受け持ちます。動画では、自社の企画用の道具が取ってくる競合の動画の件数を増やす改善を、要件の確認から実装、レビューまで任せました。

案を出す役と、確かめる役を分ける

役割を分けたのは、AIに役割を分担させると精度が上がるという研究があり、自分でも実感したためです。案を出す役とレビューする役を分けたほうが、出てくる物の質が上がります。

調べた中身を引きずらず、結果だけを受け取る作りにも効き目があります。1つの仕事を別のAIに頼む使い方は、Claude Codeサブエージェントの使い方で解説しています。

社長役のAIは置かない

役割ごとのAIを置いても、社長役のAIは置いていません。最終の判断は、人である社長がします。

AIに丸投げして、完璧な物がそのまま出てくる段階には、まだありません。AIが素案を作り、人が直して決める組み合わせで回しています。

*エージェント:指示を受けて、調べる・書く・確かめるといった作業を自分で順に進めるAI。役割ごとに別の手順書を持たせて使い分ける。

経営の定型業務を任せた3つの実例|提案書・商談前リサーチ・経費の確認

動画では、役割ごとのAIに経営の定型業務を任せる様子を、画面を動かして見せました。そのうち、毎週のように発生する3つを紹介します。

経営の定型業務を任せた3つの実例の図。商談の書き起こしから提案書の素案、社名とURLから商談前の調べ物の表、会計ソフトへの接続から直近の経費の一覧が出る。提案書は骨子を社長が確かめてから先へ進む

提案書|2〜3時間かかっていた作業が約3分の1に

商談の書き起こしを渡すと、予算感に合わせた提案と、本質的な課題を解決する提案を、別々の役が考えます。レビュー役がそれを確かめ、Excelの素案まで作ります。

進む順は、依頼の意図を読み取る、顧客の目と戦略の目で議論する、骨格を組む、価格と費用対効果を出す、危うさを確かめる、の5段です。骨子ができた時点でいったん止まり、社長が確かめてから先へ進みます。

自社の体感では、2〜3時間かかっていた提案書が約3分の1の時間で形になります。最後の仕上げは、社長が自分の手で行います。

商談前リサーチ|社名とURLから調べ物の表を作る

商談の前には、相手の会社のことを調べておきます。社名と会社のURLを渡すと、AIが調べた結果を、決まった形の表に書き込みます。

表は毎回、同じ雛形を複製して作ります。項目の並びが毎回そろうため、商談の直前に見る場所が決まり、読む時間も短くなります。

経費の確認|会計ソフトから直近の経費を出す

経費の確認では、会計ソフトの*freeeにAIをつなぎ、直近の経費を一覧で出させます。帳簿の画面を開いて探す手間が、頼む一言に置き換わります。

出てきた一覧を見て、気になる支出があれば、社長がその場で中身を確かめます。数字を探す作業はAIに、数字の意味を考える仕事は社長に、という分け方です。

*freee:会社の会計や経費の記録をまとめて扱うクラウドの会計ソフト。外の道具とつないで、記録を読み出せる。

決まった時刻に動かす経営の確認|毎朝の確認リストと週・月の点検

頼んだときに動く仕事のほかに、決まった時刻にAIが自分で動き出す仕事もあります。2026年10月18日時点で、こうした定時の仕事が12本動いています。

定時に動く仕事の1週間の図。毎朝8時40分の確認リスト、平日19時10分の商談の振り返り、月曜8時の競合5社の更新チェック、月曜8時30分のAIに自社名が出るかの確認、毎月1日のキーワード需要の測り直し、四半期の初日の思考の癖チェック

毎朝8時40分の確認リスト

いちばん長く使っているのが、毎朝の確認リストです。今日の商談、返すメール、自分のToDo、相手からの返事待ちを、1つの画面の表にまとめて出します。

表を作るだけで、メールを送ることはしません。社長は表を見て、その日の順番を決めます。商談・メール・ToDo・返事待ちを別々に確かめていた手間が、1つの表を読む手間に変わりました。

週・月・四半期の点検

経営に関わる点検も、時刻を決めて動かしています。今動いている12本のうち、経営の確認に近い6本は次のとおりです。

仕事

いつ

何が出るか

朝の確認リスト

毎日8時40分

商談・返すメール・ToDo・返事待ちの表

商談の振り返り

平日19時10分

その日の商談の採点と、次に変える点

競合5社の更新チェック

月曜8時

競合の公式ページの前の週からの差分

AIに自社名が出るか

月曜8時30分

見込み客が聞きそうな7問で自社名が出た率

キーワード需要の測り直し

毎月1日10時

ブログ記事の検索順位の前月比

思考の癖チェック

四半期の初日

判断の癖の実測と、前回の試みの検証

変わった使い方が、四半期に1回の思考の癖チェックです。AIとのやり取りの記録から社長自身の判断の癖を数え、前の四半期に試した直し方が効いたかを確かめます。

送る・出す操作は、人が選んでから

定時に動く仕事は、表や下書きを作るところで止まります。ブログの記事づくりでは、AIが候補を出し、テーマは人が選びます。小さな検索語の記事も、下書きまで作って公開はしません。

もう1つの注意点は、パソコンが眠っている間の扱いです。予定の時刻に動けなかった回は、目覚めた後に最新の1回だけが追いついて動きます。毎朝の確認が要る仕事ほど、端末を起こしておく時間を決めておく必要があります。

止めた20本から分かること|見なくなった物と、勝手に出た物

定時の仕事は、作るより止める判断のほうが難しいと感じています。止めたりほかの仕事へまとめたりした物は、2026年10月18日時点で20本あります。

定時の仕事を止めた理由の3つの図。朝と夕方の2回あると見なくなる、量が多くて見切れない、承認していない投稿が外に出た。それぞれ朝1回にまとめる、手で動かす、人の承認の後にだけ出す、に変えた

2回あると、どちらも見なくなる

返すメールの下書きは、朝と夕方の2回動かしていました。ところが2回あると、どちらも見なくなりました。2026年9月19日に夕方の回を止め、朝の1回だけにしています。

同じ日に、今日の予定とToDo、相手の返事待ちの知らせも、朝の確認リストへまとめました。別々の知らせを4つ受け取るより、1つの表を毎朝読むほうが続きます。

見切れない量は、手で動かす

商談の事前準備は、毎日自動で作っていましたが、量が多くて見切れませんでした。今は、必要な商談の前に手で動かしています。

週次のレビューは、使えていないと判断して止めました。請求漏れの確認も、必要な月だけ手で頼む形に変えています。動かし続けることより、出てきた物を人が読むかどうかで残す物を決めています。

外に出る操作は、人の承認の後だけにする

2026年10月15日には、Xへの投稿を自動で出す仕事を止めました。承認していない投稿が、自動で外に出てしまったためです。

送信や投稿は、取り消せません。外に出る操作は、人が承認した物だけを出す作りが前提です。直前で人が止まる作りにすることは、AIエージェントの暴走対策でも詳しく解説しています。定時の仕事の作り方そのものは、Claude Codeで業務を自動化する方法にまとめています。

よくある質問|Claude Codeで会社の仕事を回す前に

最初の1本は、何から作ればよいですか?

時間がかかっていて、材料がそろっている仕事から始めるのがおすすめです。提案書なら、商談の書き起こしと過去の提案書があれば素案を作れます。作るのは速くても、手順を育てるには時間がかかるため、早く始めるほど質が上がります。

プログラミングができないと作れませんか?

手順書は日本語で書けます。ただ、会計ソフトのような外の道具とつなぐ設定や、決まった時刻に動かす設定には、技術の知識が要る場面があります。社内で作る時間が取れない場合は、開発を外に頼むのも1つの方法です。

経営の判断までAIに任せられますか?

任せていません。スマートエイトでも社長役のAIは置かず、AIが出した素案や表を見て、社長が決めています。AIには判断の材料をそろえる仕事を任せ、決める仕事は人に残すのが現実的な線です。

効果はどう測ればよいですか?

任せる前と後で、1回あたりの時間と月の回数を書き出して比べてください。費用との見比べ方は、生成AIの費用対効果を測る4つの問いで解説しています。

さいごに

本記事では、スマートエイトがClaude Codeで回している経営の定型業務を、提案書・商談前リサーチ・経費の確認と、決まった時刻に動く仕事に分けて紹介しました。任せたのは材料が社内にある仕事で、骨子の承認と外に出す操作、最終の判断は社長が持っています。

止めた20本からは、出てきた物を人が読み続けられるかが、残すかどうかの線になると分かりました。まずは毎朝の確認のように、毎日必ず目を通す1本から始めてください。

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