株式会社スマートエイトは、収益物件の売買仲介を行う不動産仲介会社Aに、Claude Codeを使う生成AI研修を対面で提供しました。受講者は自社の案件フォルダとひな形を演習の題材にして、契約書類や査定書、公的資料の取得の手順を自分で組み、手順書(スキル)に保存できるようになりました。最終発表では、媒介契約書の作成が30分から1〜2分に、価格査定書と売買契約書の特約がそれぞれ2時間から30分になりました。
基本情報
- 業種:収益物件の売買仲介
- 研修の形式:対面のハンズオン
- 演習で扱った業務:物件の調査、価格査定、販売資料、契約書類、売主への説明
- 提供サービス:生成AI研修(Claude Code)
事前にご相談頂いた課題
課題①:契約書類を、謄本や物件資料を見ながら手で打ち込んでいた
契約と決済の書類は、過去の案件のフォルダを写して作り、業界団体のひな形に謄本や参考資料を見ながら手で入力していました。媒介契約書は1件に30分、売買契約書の特約は前の物件の特約を書き換えて2時間かかります。物件の価格が変わると、物件一覧・媒介報告書・精算書など複数のExcelを1つずつ直していました。
課題②:資料を集めて読み込む作業に、1件で数時間かかっていた
登記情報や公図などの公的資料は、法務局などのサイトを回って集めるため、1件に1〜2時間、遠方の物件では半日かかっていました。価格査定書は、物件資料を読み込んで2枚にまとめるのに2時間かかります。空室の多い物件で管理会社を調べ、訪問の準備をするのにも2〜3時間を使っていました。どれも、案件のたびにくり返す作業です。
課題③:AIは相場の確認に使うだけで、社員の手順になっていなかった
ChatGPTやGeminiは、査定の相場を確かめるような単発の質問に使っていました。業務の流れには入っていません。手順は担当者ごとに持っていて、全員が同じやり方で使える形にはなっていませんでした。代表は研修の前に、「当然ツールも当然なんですけどそれ以上にAIの使い方っていうのを分かればだいぶ時間短縮できると思うんですよね」と話していました。
課題要因(なぜ従来のアプローチでは解決しなかったか)
- AIはチャットで単発に質問する使い方にとどまり、出てきた文章を人がExcelやWordの形に直していたため
- 複数のExcelをつなぐ作業は、一部の社員がAIに書かせたコードを手で貼りながら進めており、時間がかかっていたため
- 手順が担当者の頭の中と個人のExcelにあり、ほかの社員に渡せる形になっていなかったため
選んだアプローチ
Claude Codeを使う生成AI研修を、対面で実施しました。標準のカリキュラムに沿って、受講者が自社の案件フォルダ・ひな形・物件資料を演習の題材にし、自分の業務の手順を組んで手順書(スキル)に保存するまでを、研修の中で手を動かして練習しました。
なぜこのアプローチか
- 契約書類と査定書は過去の案件フォルダとひな形がそろっており、AIに丸ごと読ませれば下地を作らせられるため
- 1回目に手順を手順書に保存すれば2回目からは呼び出すだけで同じ作業を進められ、研修のあとも受講者が自分で再現できるため
- 代表が研修に求めたのは道具の導入より、社員がAIの使い方を身につけて「そのまま発想ができるようになる」ことだったため
研修の全体設計
本研修は、座学より、ハンズオンと演習を中心に進めました。前半は、生成AIとClaude Codeの基礎、セキュリティ、プロンプト設計と画像生成を押さえ、自社の書類を題材にしたClaude Codeのハンズオンで書類作成の型を練習しました。後半は、受講者が自分の業務を題材に手順書(スキル)とエージェントを作り、最終発表で動かしています。
結果
研修の最後には、受講者全員が自分の業務の手順を1本以上、手順書に保存できるようになりました。最終発表では、物件の調査から契約書類、売主への説明まで、10件の業務の手順を動かして見せました。主な業務の時間は次のとおりです。
業務 | 研修前 | 研修で組んだ手順で |
|---|---|---|
媒介契約書の作成 | 30分 | 1〜2分 |
価格査定書の作成 | 2時間 | 30分 |
売買契約書の特約の作成 | 2時間 | 30分 |
公的資料の取得 | 1〜2時間、遠方は半日 | 30分 |
管理会社の調査と訪問準備 | 2〜3時間 | 1時間未満 |
いちばん大きく縮んだのは、媒介契約書です。
事例① 媒介契約書:30分→1〜2分
- Before:謄本や物件資料を見ながら1件ずつ打ち込み、30分かかっていた
- After:物件名を伝えるとAIに共有フォルダから案件のフォルダを探させ、オーナー名・指定流通機構への登録の有無・仲介手数料の欄を埋めさせる手順を組んだ。動き出したあとは、待つ間に別の仕事を進められる
事例② 価格査定書と売買契約書の特約:2時間→30分
- Before:物件資料を読み込んで査定書2枚にまとめる作業と、前の物件の特約を書き換える作業に、それぞれ2時間かかっていた
- After:査定書は、車庫の転用や容積率の超過などのマイナス要因を物件資料から拾わせ、融資の付きやすさを踏まえた価格の幅を出させる。特約は、前の特約と新しい物件の物件概要書を渡して名前・日付・駐車場の空き状況まで書き換えさせる。どちらも1回目に手順を保存し、2回目から30分で仕上がる
事例③ 公的資料の取得は1〜2時間→30分、管理会社の調査は2〜3時間→1時間未満
公的資料は、ログインだけ人が済ませ、物件名と所在地を渡すと、AIに資料を探してダウンロードさせ、決めた名前で決めたフォルダに保存させます。受講者は「手動でするのがちょっとバカバカしくなるぐらい」と話しました。管理会社の調査では、顧客にそのまま見せられる精度の一覧と、電話で聞くことの下書きを、査定書と同時に作らせます。別の受講者は、ChatGPTに作らせたExcelは使えなかったが、今日の管理会社一覧はレベルが違うと話していました。
このほか、物件概要書への転記と稼働率の計算、特約の下点検、海外に住む売主への手取りの説明書とその翻訳も、受講者が手順に組みました。発表では、AIに任せる所と人が残す所の線も受講者自身が整理しています。定型で間違えたときの影響が小さい書類と、資料を集めて並べる作業はAIに任せ、価格は担当者、契約は弁護士、税の説明は税理士が最後に確かめます。
受講者の声
「個人的に一番短縮したかった業務をAIで活用できることがわかり、それのスキルを研修当日に作成出来たので大変満足できた。」 ― 受講者
「AIの使用法が劇的に変わる可能性を感じました」 ― 受講者
「確認したい事を逐一聞ける事、できる事が増えていくのが面白い。」 ― 受講者




