はじめに

契約書を前の案件から写して作り、条項を1つずつ読み直す。法務の担当者がいない会社では、こうした仕事を営業や総務の方が抱えていないでしょうか。Claudeに任せたいと思っても、どこまで任せてよいかが分からないという声もよく聞きます。

本記事では、Claudeで法務の仕事を減らす手順を、契約書の作成とチェックに分けて解説します。スマートエイトは、Claude Codeを使う法人向けの生成AI研修で、受講者が自社の契約書を題材に手順を作るところまでを支援しています。

結論として、任せるのは契約書の下書きと、弁護士に渡す前の下点検までです。金額や名前の確認は担当者が、条項の判断は弁護士が持ち続けます。

本記事は2026年10月18日時点の情報をもとにしています。研修の時間の変化は受講者の自己申告で、AIの出力はどれも人が確かめる前の下書きとして扱います。

Claudeで法務の仕事はどこまで減らせるか|下書きと下点検まで任せ、決めるのは人

法務の仕事のうち、Claudeに任せやすいのは、形が決まっていて材料が社内にそろっている作業です。条項の良し悪しを決める判断は、人に残します。

Claudeに任せる範囲の3段の図。定型の契約書の下書きはAIに任せ、判断を含む書類はAIが下地まで作り、金額と名前の確認は担当者、条項の判断は弁護士が行う

任せやすい書類と、人が決める所

研修を受けた不動産仲介会社Aでは、定型で文字数が少なく、間違えたときの影響が小さい書類に最も効きました。判断を含む書類も、下地までは作れます。

書類・作業

Claudeに任せる範囲

最後に決める人

媒介契約書のような定型の契約書

下書きを作る

担当者が金額と名前を確かめる

売買契約書の特約

前の特約を書き換え、下点検する

弁護士

税に関わる説明

下地を作る

税理士

Anthropicが出した法務向けの道具

Anthropicは2026年5月12日、法務の仕事向けに20を超えるコネクタと12の分野別プラグインを発表しました。契約の管理や文書の保管、判例の調査などの道具とClaudeをつなぎ、分野ごとの作業の手順を足す形です。

中心になるのは、Claudeのデスクトップのアプリで仕事を任せる使い方です。同じ*プラグインはClaude Codeにも入れて使え、会社で使うときは、管理者が設定で*コネクタとプラグインを有効にします。

どの出力も、弁護士が確かめる前の下書き

この道具一式の公開リポジトリは、すべての出力を弁護士の確認のための下書きとしています。法的な助言や結論ではなく、弁護士の代わりでもない、という位置づけです。

研修で受講者が引いた線も同じでした。AIが作るのは下書きと下点検までで、契約として出す前には人が読みます。

*プラグイン:Claudeに特定の仕事の手順や道具をまとめて足す追加の機能。法務向けは契約や個人情報など分野ごとに分かれている。 *コネクタ:Claudeと外の道具をつなぐ部品。契約の管理や文書の保管の道具とつなぐと、そこにある資料をClaudeが読める。

契約書の作成を任せる|媒介契約書が30分から1〜2分に

不動産仲介会社Aは、収益物件の売買を仲介する会社です。社長を含む6名が、2日間のClaude Codeの研修で、自社の契約書類を題材に手順を作りました。

契約書の手順を保存する5段の図。案件のフォルダを読ませる、ひな形を書き換えさせる、分からない点はAIに聞かせる、人が確かめる、手順を保存する

物件名を伝えると、欄が埋まった下書きが出る

研修前は、謄本や物件資料を見ながら、媒介契約書を1件ずつ打ち込んでいました。1件に30分かかっていた作業です。

受講者が作った手順では、物件名を伝えると、Claude Codeが共有フォルダから案件のフォルダを探します。そこにある資料から、オーナー名、*指定流通機構への登録の有無、仲介手数料の欄を埋めた下書きを作ります。

受講者の申告では、研修中の1回目と2回目の試行で、30分が1〜2分になりました。AIが動いている間に、担当者は別の仕事を進められます。

最初の1枚に媒介契約書が向く理由

媒介契約書は、項目が決まっていて文字数が少なく、間違えたときの影響も契約書の中では小さい書類です。最初にAIへ任せる1枚として、確かめる量と効き目の釣り合いが取れています。

渡す前には、担当者が金額と名前を元の資料と見比べます。不動産会社の業務全体でAIをどう使うかは、不動産会社のAI活用で20の業務に分けて解説しています。

手順を*スキルに保存する5段

受講者は、契約書を作る手順を次の5段で組み、最後に保存しました。保存した手順は、次の案件から呼び出すだけで同じ流れで動きます。

  • 1段目:案件のフォルダを丸ごと読ませる
  • 2段目:業界団体のひな形を、案件の情報で書き換えさせる
  • 3段目:資料から分からない点は、AIに質問として出させる
  • 4段目:人が下書きを元の資料と見比べて確かめる
  • 5段目:うまくいった流れを手順として保存する

3つ目の段が大切です。分からない欄をAIに埋めさせず、質問として出させると、確かめる場所がはっきりします。

*指定流通機構:不動産会社が物件の情報を登録し、ほかの会社と共有する仕組み。媒介契約の種類によって登録の決まりが変わる。 *スキル:作業の手順や決まりを書いたファイルをまとめたもの。Claudeが必要なときに読み込み、同じ手順で作業を進める。

契約書チェックの任せ方|特約の書き換えと、2つの目の下点検

契約書のチェックは、条項の判断そのものではなく、弁護士に渡す前の下点検から任せます。不動産仲介会社Aの受講者は、売買契約書の*特約でこれを試しました。

特約を2つの目で下点検する図。前の特約と新しい物件の資料から書き換えた特約を、弁護士の目と初めて読む人の目で読ませ、条項ごとの意見書と直した所を黄色にした添削版を作り、弁護士へ渡す

前の特約を、新しい物件に合わせて書き換える

研修前は、前の物件の特約を書き換えるのに2時間かかっていました。受講者は、前の特約と新しい物件の物件概要書を渡し、名前や日付、駐車場の空き状況まで書き換えさせる手順を作りました。

売主や買主が海外に住む取引では、源泉徴収の特約を足すところまで手順に入れています。受講者の申告では、手順を保存した後は2時間が30分になりました。

弁護士の目と、初めて読む人の目で読ませる

書き換えた特約は、Claudeに2つの立場で読み直させます。1つは弁護士の目、もう1つは初めてその契約を読む人の目です。

出てくるのは、条項ごとに問題点と直し方を書いた意見書と、直した所を黄色にした添削版です。初めて読む人の目を足すと、専門家には当たり前で、相手には伝わらない言い回しを拾えます。

弁護士に渡す物をそろえる

下点検が終わったら、意見書と添削版、前の特約との違いをそろえて弁護士に渡します。弁護士は、AIが拾った点を起点に読めるため、確かめる順番を自分で組み直さずに済みます。

最後の判断は、弁護士が行います。AIの意見書は、弁護士が確認を始めるための材料として使います。

*特約:契約書のひな形にない、その取引だけの取り決めを足した条項。物件や当事者ごとに書き換えが必要になる。

法務向けプラグインを日本の会社で使う前に|最初の聞き取りと、自社の基準

1-2で紹介した法務向けのプラグインを日本の会社の契約で使うなら、先に3つの準備をしておきます。自社の実務を伝えること、米国の法律を前提にした例を自社の基準に書き換えること、社外の契約書を読ませてよいかを決めることです。

日本の会社で法務向けのプラグインを使う前の段取りの図。最初の聞き取りに答えて自社の実務の設定を作る、米国の法律を前提にした基準の例を日本の自社の基準に書き換える、社外の契約書を読ませてよいかを会社のルールで決める

最初の聞き取りで、自社の実務を伝える

法務向けの各プラグインは、最初に短い聞き取りから始まります。1つのプラグインにつき10〜20分ほどで、答えた内容が自社の実務の設定として保存されます。

ほかの機能は、どれもこの設定を読んでから動きます。聞き取りを飛ばすと、自社の決まりを知らないまま点検することになります。

米国の法律を前提にした例を、自社の*プレイブックに書き換える

プラグインに入っている例は、米国の法律や州ごとの決まりを前提にしています。以前から公開されている法務向けのプラグインも、ほかの法制度の会社は使う前に基準を書き換えるよう求めています。

日本の会社なら、自社がいつも使う契約書のひな形と、受け入れられる条件の幅、弁護士に回す条件を日本語で書いておきます。2章の媒介契約書のように、自社の契約書類から始めると書きやすくなります。

社外の契約書を読ませる前に決めること

取引先から届いた契約書には、相手の情報が含まれます。Claudeに読ませてよいかは、会社のAIの利用ルールと、相手との秘密保持の取り決めで決めてください。

任せる範囲を広げるかどうかは、浮いた時間と費用で判断します。見比べ方は、生成AIの費用対効果を測る4つの問いで解説しています。

*プレイブック:契約の交渉で、受け入れる条件・譲れる幅・上の人や弁護士に回す条件をまとめた社内の基準。

よくある質問|クロードの法務向けの機能について

クロードの法務向けの機能は、どこで使えますか?

中心は、Claudeのデスクトップのアプリでファイルを使う仕事を任せるCoworkで、WordやOutlookなどの中でも使えます。同じプラグインはClaude Codeにも入れて使えます。会社で使う場合は、管理者が設定でコネクタとプラグインを有効にします。

弁護士の確認は要らなくなりますか?

要らなくなりません。公開されている法務向けのプラグインも、すべての出力を弁護士が確かめる下書きとしています。Claudeに任せるのは、弁護士に渡す前の下書きと下点検までです。

法務の担当者がいない会社でも使えますか?

使えます。不動産仲介会社Aでは、研修の受講者が自社の契約書類の手順を作りました。契約は弁護士、税の説明は税理士が最後に確かめる線を、受講者自身が引いています。

秘密保持契約の確認もできますか?

できます。法務向けのプラグインには、社内の基準に照らして秘密保持契約を確かめる機能があります。届いた契約を、そのまま進めてよい物と、担当者や弁護士が読むべき物に分ける使い方に向いた機能です。

さいごに

本記事では、Claudeで法務の仕事を減らす手順を、契約書の作成とチェックに分けて解説しました。定型の契約書は下書きを任せ、特約は書き換えと下点検まで任せて、条項の判断は弁護士が行う線が基本です。

法務の担当者がいない会社ほど、契約書を写して直す作業に時間を取られています。まずは媒介契約書のような定型の1枚を選び、ひな形と過去の案件の資料をそろえるところから始めてください。

スマートエイトの生成AI研修では、受講者が自社の契約書類を題材に、Claude Codeで作成と点検の手順を作るところまでを演習で行っています。

どの業務から手を付けるかで迷っている場合は、AIに任せられる業務が分かる無料診断から始めてください。3分で終わり、登録もメールアドレスも要りません。 ※生成AI研修資料/導入事例も無料ダウンロードいただけます。

契約書の作成と点検をClaudeに任せる手順は、スマートエイトの生成AI研修でハンズオン形式で扱っています → 生成AI研修の詳細 </content> </invoke>