はじめに

社員向けの生成AI研修と、業務を自動化するAIエージェントの開発を別々の会社に頼もうとして、同じ業務の説明を2回することになった経験はないでしょうか。研修で学んだ内容と、開発会社が作った仕組みがうまくつながらないこともあります。

結論から言うと、研修と開発は1社に頼めます。2026年10月時点で、研修と開発の両方を自社のサービスとして公式に案内しているAI研修会社は複数あります。

1社にまとめる利点は、業務の説明が1回で済み、研修で題材にした業務がそのまま開発の候補になることです。ただし、両方を受けていても、研修で聞いた業務の話が開発の担当に届くかは、会社によって違います。本記事では、選ぶときに見る5つの観点と、順番・費用・助成金の考え方を説明します。

研修と開発を1社に頼むときに見る観点|5つで候補を比べる

研修と開発を1社に頼むときに見る観点は、次の5つです。

  • 研修と開発の両方を、自社で受けている
  • 研修で聞いた業務の話を、開発の担当が引き継ぐ
  • 研修で、自社の身近な業務を演習の題材にする
  • 小さな試作で効果を確かめてから、本開発を決められる
  • 研修と開発の契約を分け、研修に助成金を使える

どれも、1社にまとめた利点が実際に残るかを確かめるための観点です。

研修と開発の両方を自社で受け、業務の話を引き継げるか

研修の会社に開発の相談をしても、開発はほかの会社と契約してほしいと案内されることがあります。この場合、研修で話した業務の中身を、その会社にもう一度説明することになります。

選ぶ前に「開発の契約も自社で受け、作る物の責任を持つのか」を聞くと、1社にまとめた利点が残るかどうかが分かります。

研修で聞いた業務の話が、開発の担当に届くかも見ておきたい点です。講師と開発の責任者が別の部署にいると、研修で出た「この業務に毎月何時間かかっている」という話を、開発の打ち合わせで一から聞き直すことになります。講師と開発の責任者が同じ人か、同じチームかを確かめておくと安心です。

身近な業務を題材にし、試作で確かめてから本開発を決められるか

研修の演習が架空の例ばかりだと、研修が終わっても、どの業務を開発に回すかは決まりません。社員の身近な業務を演習の題材にする研修なら、演習の中で「社員がAIに任せれば済む作業」と「仕組みにしないと回らない作業」が見えてきます。

開発の側では、いきなり本開発の見積もりを出すのではなく、小さな試作で効果を確かめられるかを見ます。候補の業務を1つ試作し、時間がどれだけ減るかを見てから本開発を決めれば、外れた物に大きな費用をかけずに済みます。

研修と開発の契約を分け、研修に助成金を使えるか

研修には、条件を満たせば人材開発支援助成金*を使えます。一方で、研修の経費の助成は、開発の委託費には使えません。

研修と開発をひとまとめの契約にすると、どこまでが研修の費用なのかが分かりにくくなります。1社に頼むときも、研修と開発の契約と請求を分けられるかを確かめておくと、助成金の申請で迷いません。

*人材開発支援助成金:社員の訓練にかかった経費や、訓練中の賃金の一部を国が助成する制度。生成AIの研修には、主に事業展開等リスキリング支援コースが当てはまる。

頼み方の形と主な会社の比較|研修と開発を両方案内している会社

研修と開発の頼み方は、大きく4つの形に分かれます。5つの観点をそろえやすいのは、研修と開発を自社で両方受ける会社です。

頼み方の形で、5つの観点はどう変わるか?

観点

研修会社と開発会社に別々に頼む

研修中心の会社

開発中心の会社

研修と開発を自社で両方受ける会社

両方を自社で受ける

×

△

△

◎

業務の話を開発の担当が引き継ぐ

×

△

△

○

身近な業務を研修の題材にする

○

○

△

○

試作で確かめてから本開発を決める

○

△

○

◎

契約を分けて研修に助成金を使う

○

○

△

○

両方を受ける会社なら、研修で題材にした業務を、同じ会社の試作に回せます。

別々に頼む形は、契約が自然に分かれるので助成金を使いやすい一方で、業務の説明が2回になります。研修の題材と開発の候補を結びつける役も、自社で持つことになります。

研修中心・開発中心の会社が、もう一方をほかの会社に回すと、業務の話を伝え直すことになります。研修中心の会社では、開発の相談をしても、エンジニア向けの開発の研修を案内されるにとどまる場合があります。開発中心の会社の研修が、作った仕組みの使い方の説明だけなら、社員が自分でAIを使う力は育ちません。既存のアプリの操作を覚えるだけの訓練は、助成金の対象にもなりません。

研修と開発を両方案内している会社はどこか?

2026年10月時点で、研修と開発の両方を公式ページで案内しているのは、Adevia、Beyont〈スキルアップAI〉、AVILEN、キカガク、スマートエイトです。

会社

研修の形と時間

研修の料金

開発の形

研修と開発のつながり

Adevia

生成AI活用研修、社内の活用ガイドラインの整備

-

AIエージェントなどの開発。課題の整理から試作・本番運用まで

戦略設計から開発・運用・組織定着までの伴走を案内

Beyont〈スキルアップAI〉

対象別・課題別の研修、3〜4か月の道場研修、eラーニング

Copilot講座は1名33,000円・税込

開発の代行、共同での構築、内製の支援

開発と並行して、研修と内製の支援を行う

AVILEN

半日か1日の集合研修、eラーニング

eラーニングは1名66,000円・税込から

受託開発、PM代行などの開発支援

戦略立案からAI導入・人材育成まで一気通貫と案内

キカガク

集合研修、実データを使う課題解決型の研修、eラーニング

-

設計・開発・導入、試作、内製化と保守の支援

戦略・技術・人材育成を一体で進めると案内

スマートエイト

対面かZoomの実践型研修、12〜30時間の4コース

1人40万円・税抜、3名から

AIエージェントなどの開発。試作は60万円・税抜から

研修の講師と、開発で何を作るかの打ち合わせを、同じ代表が担当

Adeviaは、AIエージェントなどの開発を課題の整理から本番運用まで受け、生成AI活用研修と社内の活用ガイドラインの整備を、組織定着の支援として案内しています。

スキルアップAIを運営するBeyontは、開発のページで、開発と並行して、社員の基礎教育や、社内で作れるようにする支援を行うと書いています。研修は70以上の講座から組み合わせる形です。

AVILENは、受託開発や開発の進行管理の代行に加えて、集合研修とeラーニングを持ちます。トップページでは、戦略立案から人材育成までを一気通貫で支援すると打ち出しています。

キカガクは、AIの導入支援の中で、試作から開発・内製化までを受けます。戦略・技術・人材育成を一体で進める体制を、自社の強みとして挙げています。

スマートエイトは、対面中心の生成AI研修と、AIエージェントなどの開発の両方を受けています。研修の講師と、開発で何を作るかを決める打ち合わせを、代表が直接担当します。

1社にまとめるときの順番・費用・助成金|研修から試作、本開発へ

研修と開発を1社にまとめるときは、研修、試作、本開発の順に進めるのが基本です。費用は研修と開発を分けて見積もり、研修の助成金は研修の部分にだけ使います。

研修と開発は、どちらから頼めばいいか?

研修を先にすると、社員が演習で自分の業務にAIを当ててみてから、開発に回す業務を選べます。どの業務に何時間かかっているかを社員が自分の言葉で話せるようになるので、開発の打ち合わせも短く済みます。

開発を先にすると、仕組みができあがった時点で、使う社員がまだAIに慣れていません。運用の始めに、仕組みの使い方とAIそのものの使い方を同時に覚えることになります。

急いで自動化したい業務が1つ決まっているなら、研修と並べて、その業務の試作から始めてもかまいません。

期間は、公開されている例で、1業務の試作に準備の後6〜10週間かかります。研修を試作の前に終えておくと、試作の準備で業務の話をし直さずに済みます。

研修で身近な業務を演習の題材にし、候補の業務を1つ試作して時間がどれだけ減るかを見てから、本開発を決める流れの図。試作の期間は公開されている例で準備の後6〜10週間で、研修の助成金を使えるのは研修の段だけ

研修と開発を合わせると、費用はいくらか?

身近な業務を題材に講師が教える研修を3名で受け、1業務を試作するところまでで100万円前後から、本開発まで進むと数百万円が目安です。1社に頼んでも、研修と開発で決まり方が違うので、研修は1人あたりの料金と人数、開発は試作・本開発・保守の月額に分けて見積もると比べやすくなります。

研修は、公開講座やeラーニングなら1人2万〜6万円台・税込、講師のライブ研修や伴走を組み合わせた研修や年額の受け放題なら1人30万円台・税抜からが、2026年10月時点で公開されている例です。

開発は、次の料金が各社の公式ページに出ています。

SalesDockは、1つの業務の試作を10万〜30万円・税別としています。

おまかせシステムズは、1部署・1業務の試作を50万円から、導入後の運用支援を月5万円から、いずれも税別で出しています。

デジタルボーイは、社内の問い合わせに答えるチャットボットの開発を250万円から・税別としています。

開発の費用の内訳と頼み方の形は、AI開発の費用の記事で詳しく説明しています。

研修の助成金を、開発の費用にも使えるか?

使えません。人材開発支援助成金のうち事業展開等リスキリング支援コースで、研修の経費の助成が対象にするのは、講師の謝金や受講料など、社員が知識や技能を身につける研修の経費です。講師が仕組みを作って納める開発の委託費は、助成の対象外です。

研修が対象になれば、中小企業は経費の75%が助成されます。上限は、10時間以上100時間未満の研修で1人1訓練あたり30万円、eラーニングを含む研修では15万円です。今の制度が使えるのは、2027年3月31日までです。

2026年8月の改正で、汎用的なプロンプトの書き方だけを学ぶ訓練は対象から外れました。受講者の業務にそのまま当てはめて学ぶ中身にしておくことが、研修を対象にする前提になります。

1社に頼むときは、研修と開発の契約と請求を分けておくと、助成の対象になる研修の経費がはっきりします。研修の料金に開発の費用を混ぜないことが、申請で差し戻されないための備えです。

*事業展開等リスキリング支援コース:新しい事業やDXに向けて、社員に知識や技能を身につけさせる訓練を助成する、人材開発支援助成金のコースの1つ。

よくある質問|研修と開発を1社に頼む前に

研修と開発を1社にまとめると、どちらかの質が落ちませんか?

落ちるかどうかは、大きな契約の前に小さく確かめれば分かります。開発の力は、試作で効果を確かめてから本開発を決めれば、小さな額で見極められます。

研修は、身近な業務を題材にするか、講師と何時間手を動かすかで比べます。研修の時間が短いと、演習が架空の例で終わり、開発の候補になる業務が見えてきません。

社内にAIに詳しい人がいなくても、研修と開発を進められますか?

進められます。そのうえで、社内の窓口を1人決めてください。窓口は、AIに詳しい人より、対象の業務の流れを知っている人が向いています。

窓口の人も研修を受けておくと、開発の打ち合わせで、どの業務をどこまで任せたいかを自分の言葉で伝えられます。

1社に頼んで合わなかったら、途中で別の会社に切り替えられますか?

研修と開発の契約を分けておけば、切り替えられます。研修を終えたあと、開発だけを別の会社に頼むこともできます。

切り替えに備えて、研修で題材にした業務と、試作で決めた仕様を自社の手元に残しておくと、次の会社への説明が短く済みます。開発の契約では、作った仕組みの権利とデータの扱いを最初に決めておくと、引き継ぎで揉めません。

観点をすべて満たす研修と開発|スマート生成AI研修とAIコンサルティング・開発

ここまでの5つの観点をすべて満たすように組んだのが、スマートエイトのスマート生成AI研修と、AIコンサルティング・開発です。研修も開発も自社で受け、業務の話を聞く人から試作を判断する人までを同じ代表が担います。

観点

スマートエイト

両方を自社で受ける

◎ 研修のスマート生成AI研修と、AIエージェントなどの開発を、どちらも自社で受ける

業務の話を開発の担当が引き継ぐ

◎ 研修の講師も、開発で何を作るかを決める打ち合わせも、PM歴10年以上・元リクルートGMの代表が直接担当する

身近な業務を研修の題材にする

◎ 受講者の身近な業務を演習の題材にする。対面中心で、つまずいたその場で質問できる

試作で確かめてから本開発を決める

◎ 既存の部品を使った試作で効果を確かめてから、本開発を判断する

契約を分けて研修に助成金を使う

◎ 研修と開発は別の契約。研修は人材開発支援助成金の対象になり得る12〜30時間の4コース

研修は4コースとも1人40万円・税抜です。12時間のコースは3名から、20時間は5名から、30時間は10名から受けられます。人材開発支援助成金の対象になれば、中小企業は研修費の最大75%、1人1訓練あたり最大30万円が助成されます。

開発は、試作が60万円・税抜からで、効果を見たうえで本開発を個別に見積もります。研修は全国どこでも貴社の会議室で対面で行い、講師の交通費と宿泊費はスマートエイトが負担します。

求人広告代理店Gでは、社員24名への聞き取りで業務を棚卸しし、時間の大きい企画書・データ分析・求人原稿の3業務のAIを開発しました。データ分析には月295時間、求人原稿には月200時間がかかっていました。

同じ棚卸しの結果を、社員約62名が受けた12時間の対面研修の題材にも使いました。1回の聞き取りが、研修と開発の両方に使えた例です。受講者はデータの分析や求人原稿のチェックなど、自分の業務を題材にしたAIの設定や自動化を65件作って発表しています。

研修の最終回の翌日には、受講者の1人が作った求人原稿のチェックの仕組みを、クライアントサポートのチーム全員で使うと決めました。

研修の中身とコースは、スマート生成AI研修のページで確かめられます。

開発の進め方と料金は、AIコンサルティング・開発のページにまとめています。

さいごに

研修と開発は1社に頼めます。選ぶときは、両方を自社で受けているか、研修で聞いた業務の話が開発に引き継がれるか、身近な業務を研修の題材にするか、試作で確かめてから本開発を決められるか、契約を分けて研修に助成金を使えるか、の5つを見てください。

進める順番は研修、試作、本開発が基本で、研修の助成金を使えるのは、研修の部分だけです。業務の説明を2回する手間や、研修と開発がつながらないことに困っているなら、候補の会社にこの5つを聞くところから始めると、2〜3社に絞り込めます。

スマートエイトでは、身近な業務を題材にした研修から、研修で見えた業務を仕組みにする開発までを、1社で相談できます。

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