株式会社スマートエイトは、求人広告代理店Gで、社員24名への聞き取りによる業務の棚卸しから、業務用のAIの開発と保守までを行いました。棚卸しで、月200時間以上の4つの業務に合計で月1,146時間かかっていることを数え、そのうち企画書・データ分析・求人原稿の3業務に、ベテランの手順を入れたAIを作りました。最初の試作から約2か月半で、3つとも納めています。
基本情報
- 業種:求人広告代理店
- 従業員数:100名未満
- プロジェクト期間:2025年12月〜2026年6月。棚卸しが約1か月、要件定義と開発が約4か月で、納品後は保守運用を継続
- 提供サービス:業務の棚卸しのAIコンサルティング、業務用AIの開発、保守運用
事前にご相談頂いた課題
定性的な課題
- 社員が各自でChatGPTやGeminiを使い、うまくいった使い方が組織に広がっていなかった
- 大手の顧客に出す企画書の作成に時間がかかり、出来が担当者の経験とAIの使い方で変わっていた
- 人を採り続けて回す体制のままでは先々立ち行かず、教育も難しくなっていたため、できるところからAIに寄せたかった
定量的な課題(数値)
- 聞き取りをした社員:24名。リテール・大手企業・中途紹介・新卒の4領域
- 洗い出した課題業務:23件
- 月200時間以上の4業務の合計:月1,146時間
- 企画書の作成:451時間
- データ分析と示唆出し:295時間
- 求人原稿の作成・改善:200時間
- 広告レポートの作成:200時間
課題要因(なぜ従来のアプローチでは解決しなかったか)
- 業務の進め方が部署と担当ごとに分かれ、どの業務にどれだけ時間がかかっているかが見えていなかったため、どこからAIに任せるかを決められなかった
- 顧客ごとの数字、媒体のルール、過去の原稿の実績といった前提を、自分でAIに渡せる人とそうでない人で、使いこなしに大きな差が出ていた
- 分析の切り口、企画書のストーリー、原稿の改善案の組み立てが個人の経験に頼っており、若手ほど時間がかかっていた
選んだアプローチ
社員24名に1人約1時間ずつ聞き取りを行い、実物の企画書・レポート・管理画面を見ながら、業務ごとの時間を数えました。洗い出した23件を、工数×人数で見た時間と、AI化の実現度の2つの軸で評価し、月200時間以上の4業務を優先テーマに決めています。そのうち企画書・データ分析・求人原稿の3業務に、ベテランの手順を入れた業務用のAIを作りました。仕上げは、現場の営業に試してもらいながら進めています。
なぜこのアプローチか
- 求められていたのは、きれいな業務の流れ図ではなく、社員がAIを使える状態と、すぐに使える道具の両方だったため。実物を見ながら時間を数え、大きい業務から道具にしました
- 月200時間以上の業務だけを専用のAIの対象にし、開発を時間の大きい業務に集めるため
- 経験の浅い社員でも、ベテランと同じ手順で分析・構成・改善まで進められれば、教育の負担を減らしながら品質をそろえられるため
導入までのプロセス
- 2025年12月:社員24名への聞き取り。業務ごとの時間を、日・週・月の単位で本人に確かめながら数えた
- 2025年12月末〜2026年1月:2回の報告会で、課題業務23件を工数×人数とAI化の実現度で評価し、優先4テーマを決定
- 2026年2〜3月:企画書と広告レポートについて、現場の営業5名に追加で聞き取り、開発する3つを決定
- 2026年4〜6月:試作を現場の営業に会議の中で触ってもらい、直す往復を繰り返した。資料の構成のAIは、5回の会で作りを3回変えた
- 2026年6月:3つを納品。AIに入れてよいデータと使うAIの範囲を、管理部門と決めた
- 2026年7月〜:月額の保守運用。Webアプリの運用、アカウントの発行・停止、設定の見直し
開発した3つの業務用AI
3つとも、経験の浅い社員でも、ベテランと同じ手順で分析・構成・改善まで進められることを狙って作りました。データ分析と資料の構成のAIは社内のGoogle Workspaceの中で動きます。求人原稿のエージェントは国内のデータセンターで動く専用のWebアプリで、IDとパスワード、管理者と一般の2つの権限で、使う社員を管理しています。
業務用AI | 対象の業務と月の時間 | 何をするか | 形 |
|---|---|---|---|
データ分析のAI | データ分析と示唆出し、月295時間 | 媒体・成約・月次などのExcelを取り込むと、シートの構成を読み取り、「現状→課題→原因→改善案→次に確認すべきこと」の順で分析を出す。専門用語には注釈を付け、改善策は具体的な行動まで示す | GeminiのGem |
資料の構成のAI | 企画書の作成、月451時間 | 議事録や過去の資料を読み込ませ、目的・資料の種類・読み手を確かめながら、状況の整理から提案・クロージングまでのストーリーと構成案を作り、スライド案にする。変換のGemで、編集できるPowerPointに直す | NotebookLM+Gem |
求人原稿の改善エージェント | 求人原稿の作成・改善、月200時間 | 求人原稿と掲載実績から、優先して直すべき指標を特定し、応募率の高い過去原稿・似た職種・競合の原稿を参考に、改善した文面まで出す。媒体の掲載ポリシーのチェック付き。指標を指定する、ペルソナを壁打ちする、競合と比べる、過去原稿を参照する、の4つの使い方ができる | 専用のWebアプリ |
広告レポートは、追加の聞き取りで、時間の大半がスライドへの貼り付けではなく分析と示唆出しにあると分かりました。そのため、スライドを自動で作るAIは、今回の開発の対象から外しました。
結果
定量成果
- 優先4業務・月1,146時間のうち、3業務・月946時間分の業務に業務用のAIを納めた
- 2026年4月の最初の試作から、6月の3つの納品まで約2か月半
試作の段階から現場の営業に触ってもらい、出てきた声をもとに作りを直しました。主な直しは次の3つです。
事例① 資料の構成のAI:スライドまで出し、編集できる形に
- Before:最初の試作は、構成案を表で出すところまでで、スライドになった姿が見えず、使う場面を思い描きにくかった
- After:議事録と過去の資料を先に読み込ませ、ストーリーの壁打ちから構成案、スライド案まで出す形に変えた。画像のスライドでは営業が手直しできないという声を受け、編集できるPowerPointに直す変換のGemを足した
事例② 求人原稿の改善エージェント:会社ごとの違いを出せる形に
- Before:最初の試作は過去の原稿に引っ張られ、会社ごとの違いを出しにくかった
- After:ペルソナの壁打ちと競合原稿の分析を足し、過去の原稿は職種のカテゴリで探して、応募率の高い順に参考にする形に変えた
事例③ データ分析のAI:経験の浅い社員にも読める言葉に
- Before:最初の試作には、言葉が難しすぎるという指摘があった
- After:文言をやさしく直し、データの分析から原因の特定、解決策までの流れに違和感がないという評価を受けた。3つの中で最も早く、実務で使える段階に入った
試した社員の声
「ここまでできてたら使いやすい気がします」 ― 資料の構成のAIの試作を操作した営業
提供内容(納品範囲)
AIコンサルティング:業務の棚卸し
- 社員24名への聞き取り。1人約1時間で、実物の資料と画面を確認
- 課題業務23件の一覧。工数と対象人数つき
- 工数×人数とAI化の実現度による優先順位の評価
- 報告会2回
業務用AIの開発
- データ分析のAI:GeminiのGem
- 資料の構成のAI:NotebookLMと、編集できるスライドへの変換Gem
- 求人原稿の改善エージェント:専用のWebアプリ。過去原稿の検索と、掲載ポリシーのチェック付き
月額の保守運用
- Webアプリの運用と、設定の見直し
- 使う社員のアカウントの発行・停止




