はじめに
ChatGPTで業務を自動化できると聞いて、毎朝同じ指示を打ち込む作業から抜け出したいと考えたことはないでしょうか。自動化できる業務の一覧を眺めても、自社の仕事で何から手を付ければ動く仕組みになるのかは、なかなか見えてきません。
本記事では、ChatGPTで業務を自動化する方法を、使い方の4段階に沿って解説します。スマートエイトは研修や商談で、個人の工夫で止まっているAIの使い方を、会社の仕組みに上げる手順を企業ごとに組み立ててきました。
結論として、自動化は4段階の最後の「仕組み」の段の話です。単発の使い方をいきなり自動で動かそうとせず、一度「型」にして誰が使っても同じ形になるのを確かめてから、時刻やメールの着信をきっかけに動かします。
本記事は2026年10月18日時点のOpenAIのヘルプをもとにしています。自動で動かせるタスクの数やきっかけの使い方はプランで違うため、3章の表にまとめました。
ChatGPTで業務を自動化するとは|使い方は単発・型・仕組みの順に上がる

使い方の4段階
スマートエイトは、生成AIの使い方を「使えている」「使えていない」の2つではなく、4つの段階で見ています。
- 未使用:まだ使っていない
- 単発:その場でチャットに頼み、答えをもらう
- 型:指示と手順を保存し、誰が頼んでも同じ形の結果になる
- 仕組み:決まった時刻やきっかけで、人が頼まなくても動く
営業の更新メールのまとめで言えば、単発は毎朝メールを貼って「まとめて」と頼む状態です。型は、まとめる項目と出す形を決めた指示が保存され、誰が使っても同じ表が出る状態です。仕組みは、毎朝決まった時刻にChatGPTが自分でまとめを出す状態を指します。
型を飛ばして仕組みにすると止まる
自動化と呼べるのは、4つ目の仕組みの段です。ChatGPTには、決めた時刻に同じ依頼を実行させる定期タスク*があり、仕組みの段はこの機能で作れます。
ただ、単発のままの指示を定期タスクにすると、うまく回りません。指示が使う人の頭の中にしかないと、出てきた結果が良いのか悪いのかを、作った本人しか判断できないためです。途中で担当が替われば、何を直せばよいかも分からなくなります。
そこで、仕組みの前に型の段を挟みます。型にした指示で何度か手で回し、誰が使っても同じ形の結果が出ることを確かめてから、自動で動かす段へ進みます。
*定期タスク:決めた時刻や間隔で、ChatGPTに同じ依頼を自動で実行させる機能。毎日や毎週の繰り返しを決めておける。
社長1人の仕組みが社内に広がらない理由|営業の更新メールを毎日まとめる例

スマートエイトが2026年9月に初回の商談で伺った、電子部品の会社Kの例です。ChatGPTをうまく使っている人がいても、その使い方が社内に広がらない形がよく表れていました。
社長が毎日ChatGPTに任せていること
会社Kの社長は、ChatGPTに営業の更新のメールを毎日読ませ、担当者ごとの動きと問題をまとめさせていました。営業の担当者から届くメールを1通ずつ読む代わりに、まとめを読めば全体がつかめる使い方で、毎日の習慣になっています。
一方で、社長自身はこの使い方を「僕だけで今試し」と話していました。社長の手元では毎日動いているのに、営業の責任者やほかの役員は同じまとめを受け取っていませんでした。
単発のまま止まる理由
止まっている理由は、使い方が単発の段にあることです。どのメールを渡し、何をまとめ、どんな形で出すかという指示は、社長のチャットの中にしかありません。講師は商談の中で、会社Kの今を「ChatGPTを個人がばらばらに使い、指示の出し方も人によって違う」状態だと整理しました。
この状態でほかの人に「同じことをやって」と頼んでも、同じまとめは出てきません。指示の書き方が人ごとに違えば、まとめの項目も粒度も変わるからです。社長の使い方が良いものほど、そのまま広げられないのはもったいないところです。
型にすると、社内の人が同じまとめを受け取れる
広げるための最初の一歩は、社長の指示を書き出して型にすることです。たとえば型にした指示は、次のような形になります。会社Kの社長の実際の指示ではなく、型の見本として作ったものです。
# 役割
あなたは営業部長の補佐です。
# 渡すもの
昨日届いた、営業の担当者からの更新のメール
# やってほしいこと
担当者ごとに、次の3つを表にまとめてください。
- 動いた案件と、その動き
- 問題が起きている案件と、その中身
- 今日決めることの候補
# 守ること
- メールに書かれていないことは書かない
- 金額と日付は、メールの表記のまま写す型があれば、営業の責任者が同じ指示で回しても同じ表が出ます。表の項目を直したいときも、直す場所が1か所に決まります。指示の出し方を社内でそろえる研修の選び方は、ChatGPT研修の選び方|法人向けの業務活用と4つの生成AIツールの違いにまとめています。
定型作業を仕組みにする方法|決まった時刻とメールの着信をきっかけにする

決まった時刻に動かす
型ができたら、定期タスクで決まった時刻に動かします。営業の更新メールのまとめなら、毎朝の始業前に動くよう決めておけば、出社した時点でまとめが届いています。
時刻の決め方はプランで違います。無料のFreeでは、1回きりか1日1回までで、時刻は「朝・午後・夜」のような幅で選びます。毎時の繰り返しや正確な時刻の指定は、対象の有料プランから使えます。
メールの着信をきっかけに動かす
時刻ではなく、出来事をきっかけに動かす方法もあります。メールが届いたときやチャットに投稿があったときに動く、イベント起点のタスク*です。ChatGPT Work*の中で作り、きっかけにできるのはGmail・Slack・GitHubなど対応したアプリの動きで、Gmailなら送り主や件名で絞り込めます。
会社の契約で管理されたワークスペースでは、つなげるアプリを管理者の権限で決めます。EnterpriseとEduでは、管理者がイベント起点のタスクを許可してから、メンバーが作れるようになります。
メールの着信で動かしたいときは、先に情報システムの担当者と、つないでよいアプリを確かめておきます。Workでできることは、ChatGPT Workとは|できることと使い方・自社で使えるかの確認手順で詳しく紹介しています。
プランごとの上限
有効にできるタスクの数と、イベント起点のタスクの対象かどうかは、プランで次のように分かれます。
プラン | 有効にできる定期タスク | イベント起点のタスク |
|---|---|---|
Free・Go | 3件 | 対象外 |
Plus | 5件 | 対象 |
Business・Edu | 10件 | 対象 |
Pro・Enterprise | 15件 | 対象 |
イベント起点のタスクは、すべてを合わせて1時間に30回、1日に720回までです。メールが多い受信箱につなぐと上限に届きやすいため、きっかけにするのは特定の送り主や件名のメールに絞ります。
*イベント起点のタスク:メールの着信などの出来事をきっかけに動くタスク。Workの中で作り、対象はPlus・Pro・Business・Enterprise・Eduのプラン。 *ChatGPT Work:ChatGPTの中で、手順の多い仕事をまとめて任せる機能。メールの着信などで動くタスクもここで作る。
仕組みにする仕事の選び方|任せる範囲と人が見る場所を決める

2つの問いで選ぶ
仕組みにする仕事は、2つの問いで選びます。1つ目は、出力がそのまま役に立つかです。2つ目は、人のチェック無しで出せるかです。
2つとも「はい」なら仕組みにします。1つ目だけ「はい」なら、仕組みにはしても、出す前に人が見る段を残します。1つ目が「いいえ」なら、まだ型のまま手で回し、指示を直す段階にあります。
営業の更新メールのまとめは、読むのが社内の人だけで、間違いがあっても翌日に気づけます。2つの問いのどちらも「はい」に近く、仕組みにしやすい仕事です。反対に、客先へ送るメールの文面は、1つ目が「はい」でも2つ目は「いいえ」になるため、人が見てから出します。
あわせて、効く大きさと始めやすさも見ておきます。毎日繰り返し、1回の手間が大きいほど、浮く時間は増えます。入力の場所が決まっていて、結果をすぐ確かめられる仕事ほど、仕組みにしやすくなります。浮いた時間の測り方は、生成AIの費用対効果を測る4つの問い|OpenAI CFOの採点表の使い方が参考になります。
人が見る場所を残す
仕組みにした後も、人が見る場所は残しておきます。定期タスクに任せるのはまとめや下書きまでにし、送信や登録のように外へ出る操作は人が行います。
もう1つは、仕組みが止まっていないかを見る場所です。使われないタスクは自動で止まることがあり、上限に達したら、動いているタスクを一時停止か削除してから新しいタスクを有効にします。週に1回、動いているタスクの一覧を開き、止まっているものがないかを確かめる習慣をつけておきます。
件数が多い作業はコードに任せる
まとめる対象が数件ではなく数百件になると、ChatGPTのチャットで1つずつ処理するより、繰り返しの部分をプログラムに任せるほうが速く確実になります。スマートエイトの研修では、同じ業務をチャット、エージェント、コードの実行の順に任せ方を上げていく形で演習を組んでいます。
ChatGPTの側では、コーディング向けのCodex*がすべてのプランに含まれています。数を数える、表を突き合わせるといった繰り返しはコードに、内容を読んで判断する部分はChatGPTに、と分けると、件数が増えても結果がぶれにくくなります。
*Codex:ChatGPTのプランに含まれる、プログラムを書いて動かすためのAI。繰り返しの処理をコードにするときに使う。
よくある質問|タスクの共有・指示の保存・止まったときの気づき方
定期タスクを、ほかの人にも使ってもらえますか?
使ってもらえます。タスクの共有のリンクを送ると、相手は題・指示・予定を見て、自分のアカウントに写しを作れます。渡るのは題・指示・予定と元の時間帯までで、結果を受け取るのは写しを作った本人のアカウントです。
Business・Enterprise・Eduのワークスペースで作ったリンクを開けるのは、同じワークスペースのメンバーです。リンクを開いた人は指示の文を全部読めるため、金額や取引先の名前は指示に書かないでおきます。
型にした指示を、社内で使い回す方法はありますか?
会社の契約なら、指示と手順をまとめて保存するスキル*が使えます。スキルの対象はBusiness、Enterprise、Edu、Healthcareのプランです。これまで使われてきたカスタムGPT*は、2026年12月11日に提供を終える予定で、移行先にはプラグインが案内されています。
定期タスクが止まっていることに、どう気づけばよいですか?
一覧を決まった間隔で開いて確かめます。繰り返しのタスクは、chatgpt.com/schedules で確認・編集・一時停止・削除ができます。止まっているものがあれば、しばらく使われていない、送信などの承認を待っている、元の会話を消した、つないだアプリのつながりが切れた、のどれかを疑います。
*スキル:ChatGPTに、指示と手順をまとめて保存しておく機能。決まった仕事を、同じ形で何度も頼める。 *カスタムGPT:指示や資料を設定した専用のChatGPT。提供を終える予定で、移行先が案内されている。
さいごに
本記事では、ChatGPTで業務を自動化する方法を、使い方の4段階に沿って解説しました。自動化は最後の仕組みの段の話で、単発の使い方を一度型にし、誰が使っても同じ結果が出ることを確かめてから、定期タスクやイベント起点のタスクで動かします。
社長や一部の社員がうまく使っている会社ほど、その使い方を型にするだけで社内に広げられます。まずは毎日同じ指示を打ち込んでいる仕事を1つ選び、その指示を書き出すところから始めてください。スマートエイトは、社員が型を作れるようになる生成AI研修と、仕組みを社内のツールに組み込む開発の両方を支援しています。
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