はじめに
AIに書かせた下書きを読み返して、「内容は合っているのに、どこかAIっぽい」と感じた経験はないでしょうか。「自然な文章にして」と頼み直しても、どこをどう直すのかはAIに伝わりません。
本記事では、文章のAIっぽさを抑えるプロンプトの頼み方と、直した後に人が確かめる箇所を解説します。スマートエイトは生成AI研修で、AIの下書きを業務の文書に仕上げる手順を扱っています。
AIっぽさを抑えるには、言い回しの注文を増やすより、何を確かめて何を残すかを書いたルールをAIに読ませ、同じ指示で繰り返し直させる方法が向いています。伝えたいことだけはルールで補えないので、文章と一緒に書き手が渡します。
本記事は、2026年11月1日時点の公開ページをもとにしています。扱うのはメールや社内文書などの文章で、画像のAIっぽさは対象にしません。
文章のAIっぽさはなぜ「自然にして」で抑えられないのか|必要なのは直す基準
「自然にして」と頼み直しても直らないのは、何を確かめてどう直すかがAIに伝わっていないからです。AIが書いた文章を自然にしたいときは、直す基準を言葉にして渡します。

AIっぽさの代表的な原因は説明の重複と組み立て
いもすの名で公開しているソフトウェアエンジニアの今城健太郎氏は、最近のAIについて、短い説明にまで見出しが増えたり、例を挙げた後に結論を繰り返したりして、話の流れが切れることがあると10月30日の記事で述べています。1文ずつは読めるのに全体が頭に入らない文章は、この状態に当たります。
同氏が公開した推敲のルールも、AIが書いたように感じたら読みづらさの原因を確かめるよう求めています。代表に挙がるのは、説明の重複、曖昧な評価、機械的な構成です。
業務の文書に置き換えると、案内メールの冒頭と箇条書きで同じ変更点を重ねて説明している、「便利です」と書いたのに何と比べてなのかが無い、どの段落も同じ形で並んでいる、といった状態を指します。どれも語尾を変えただけでは残ります。
「自然にして」だけでは直す基準が伝わらない
「自然な文章」は仕上がりを表す言葉で、確かめる項目ではありません。どの文を残し、どの文を削るかの判断は、AIの側に任されたままになります。
ルールを渡すと、この判断の基準を指定できます。重複した説明はまとめる、評価の言葉には比較の基準と理由を添える、言い換えても主張の対象や条件は変えない、といった確認項目をAIに読ませる形です。
禁止語の一覧と違うのは、語を機械的に消さない点にあります。このルールは、語句の出現回数だけで合否を決めず、前後の文脈を読んで直すよう定めています。
目標はAIチェッカーの点数より読み手の理解に置く
このルールは、AIチェッカー*の点数を下げるための道具ではありません。判定の点数を目標にして、わざと不規則な文や誤りを足すことを、ルール自身が退けています。
業務の文書で問われるのも、読んだ相手が内容を理解して動けるかどうかです。案内メールなら、受け取った人が何をいつまでにすればよいかを1度で読み取れるかが基準になります。
*AIチェッカー:文章がAIで書かれたかどうかを推定し、点数や判定として返すツールの総称。
AIっぽさを抑えるプロンプトの頼み方|1行の指示と読めたかの確かめ方
渡す物は、直したい文章と、ルールの場所を示した指示文の2つです。ここからは、定例会議の時間を短くする社内案内を直す場面を例に、頼み方を見ていきます。

直したい文章に1行の指示を添えて送る
元の記事で今城氏が公開している日本語の指示文は、「https://imoz.jp/humanizer.ja.txt を熟読し、ルールに完全に適合するように隅々まで何度も確認し修正してください」の1行です。直したい文章と一緒に、この1行をAIへ渡します。
元の記事の比較では、出力にもう一度同じルールをかけています。そこで本記事では、次の4手順で進めます。
- 手順1:AIがルールを読めるかを確かめる
- 手順2:AIのチャットに、定例会議の案内文を貼る
- 手順3:同じ入力欄に指示文を書き足して送る
- 手順4:返ってきた文章に同じ指示文を送り、変更がわずかになるまで繰り返す
渡す物は、手順2の案内文と手順3の指示文の2つです。伝えたいことを書いた数行は、この案内文に書き足す物で、書き方は4-1で説明します。
英語の文章を直すときは、元の記事にある英語版のルールと指示文を使います。
AIがルールを読めるかを先に確かめる
この頼み方は、AIがURLのページを開けることが前提です。開けるかどうかは、使うAIと会社の設定で変わります。
ClaudeはWeb検索*が使える状態なら、渡されたURLのページを読めます。チャット画面の「+」からオンにする画面のほかに、切り替えが無く、Claudeが必要に応じてWebを検索する新しい画面もあります。会社向けのプランでは、先に組織のオーナーが機能を有効にしておく必要があります。
ChatGPTは、ワークスペースの設定で検索が制限される場合があります。
MicrosoftのCopilotでは、管理者がWeb検索を切ると、利用者の側ではオンにできません。
確かめる方法の1つは、ルールの中身を答えさせることです。案内文を送る前に次のような文を送り、返ってきた見出しをファイルと見比べてください。
https://imoz.jp/humanizer.ja.txt を開いて、大見出しをすべて書き出してください。開けない場合は「開けません」とだけ答えてください。見出しが一致しないときは、そのAIはルールを読めていません。URLを読める設定になっているかを確かめるか、URLを読めるAIで試してください。
会社で使う前に扱う文章とルールの中身を見る
この頼み方では、直したい文章そのものをAIへ送ります。顧客名や契約条件を含む文章は、会社が利用を認めたAIだけで扱うと決めておきます。
指示文の先にあるのは、個人が公開しているファイルです。AIに読ませる前に一度開いて、中身を読んでおきます。
*Web検索:AIがインターネット上のページを調べて返答に使う機能。会社の設定で止められている場合がある。
なぜ同じルールで繰り返し直すのか|社内案内の例で見る変化
1回で止めずに同じ指示を送り直すと、直した後の文章も確認の対象になります。

直した箇所にも確認が要る
今城氏はGPT-6.1 Sol*を使い、日本語と英語の文章を3例ずつ、同じルールで3回続けて推敲しました。2回目以降は、前の回の出力を直す形です。この3回は、文章の変化を見比べるために置かれた条件です。比べたのはGPT-6.1 Solの出力なので、手元のAIでも1通直して見比べてください。
スマートエイトは、同じ指示を繰り返す意味を次のように見ています。文章は直すと前後の関係が変わるので、直した箇所にも確認が要ります。ルールにも、修正した箇所と前後の説明を読み直す手順があります。
この手順は本来、1回の出力の前に済ませるものです。それでも、出力された文章に同じ指示を送れば、直した後の文章を改めて確認にかけられます。
回数に決まりはありません。ルールが示す終わり方は、直す箇所を具体的に挙げられず、さらに直しても良くなる理由を説明できなくなった時点で止める、というものです。2-1の手順で「変更がわずかになるまで」としたのは、この考え方に合わせるためです。
重複した説明が冒頭の1か所にまとまる
元の記事が例に使った架空の定例会議の案内文では、説明の重複が減り、並びが読み手の動きに沿う形に変わりました。変化を要約すると次の表になります。
見る箇所 | 直す前 | 直した後 |
|---|---|---|
変更点の伝え方 | 会議時間の短縮を本文と箇条書きで重ねて説明 | 冒頭の1か所にまとめる |
箇条書き | 項目ごとに短い名前を付けて並べる | 事前の準備から当日の話し合いへの順に並べる |
結び | 定型のお願いを重ねる | 事前の準備への協力を頼む1文にする |
一方で、前日までに進捗を書き込む依頼や、議題に決めたいことを添える依頼、まず試行から始める予定は残りました。削られたのは説明の重なりで、相手に頼む中身は変わっていません。
足りない説明は足されるので内容を確かめる
直すと短くなるだけではありません。元の記事の別の例では、通貨の説明に物々交換で相手を探す手間が足され、Webの表示を速くする仕組みの説明には情報を保存する手順が加わりました。
業務の文書では、ここに注意が要ります。AIが足した説明は元の文章に無かった内容なので、社内の事実と合っているかは書き手にしか判断できません。
*GPT-6.1 Sol:OpenAIが提供するAIモデルの1つ。元の記事で文章の比較に使われたモデル。
プロンプトでは抑えられないAIっぽさ|書き手が渡す情報と人が確かめる箇所
ルールで直せるのは説明の形までです。何を強く伝えるかと、内容が正しいかどうかは、書き手の仕事として残ります。

伝えたいことと変えない箇所を文章と一緒に渡す
今城氏は元の記事の結びで、AIに任せると関連する話題を無難に並べ、どこも同じ調子の文章になりやすいと述べています。そこで、伝えたいことや知ってほしい欠点と、その理由も一緒に渡すよう勧めています。
定例会議の案内なら、手順2で貼る案内文に次のような数行を書き足します。変えてほしくない箇所も、ここで指定しておくと安心です。
この案内で一番伝えたいこと:前日までの進捗の書き込みをお願いしたい
その理由:当日の時間を相談と決定に使いたいから
知っておいてほしい欠点:事前の準備の手間が増える
変えないでほしい箇所:開始の日付、部署名書く中身は書き手の判断なので、この数行はAIに考えさせません。ここを自分で書くかどうかで、文章の重点が書き手のものになるかが分かれます。
直した後は3つの箇所を人が確かめる
直した文章を送る前に、次の3つを最初の文章と見比べます。
- 数字と日付:金額や期限、人数が変わっていないか
- 依頼の強さ:お願いが必須に変わるなど、強さがずれていないか
- AIが足した説明:最初の文章に無い事実や理由が入っていないか
ルールにも、条件や数量、断定の強さが保たれているかを比べる手順があります。比べる相手はその回に受け取った文章なので、繰り返すほど、最初の文章との見比べは人の役目になります。良くなった理由を説明できない言い換えは、元の文に戻して構いません。
社内で使い続けるなら手直しの時間で比べる
効果は、読みやすさの印象より、下書きの手直しにかかった時間で比べると社内で説明しやすくなります。同じ種類の文書で、AIの下書きを人が直した時間と、ルールで直した文章を人が確かめた時間を見比べます。
効果の測り方は、生成AIの費用対効果を測る4つの問いで整理しています。
よくある質問|AIっぽさを抑えるプロンプトの使い分け
yomiyasuとの違いは何ですか?
違いは、説明を足すかどうかです。AIっぽい文章を直すyomiyasuは文の中の比喩や主述を直し、元に無い情報は足しません。今回のプロンプトは説明の重複や並びまで組み直し、足りない説明を足すこともあります。
書いてある中身のまま文面を整えたいならyomiyasu、説明の流れごと直したいなら今回のプロンプト、という分け方が向いています。
「Humanizer」という名前の別のツールとは違いますか?
別の物です。今城氏のファイル名には humanizer が入っていますが、検索すると出てくるHumanizerは、別の作者が公開しているツールです。
無料のプランでも使えますか?
AIがURLを読めるなら使えます。Claudeの無料アカウントでは、長いページを読ませると利用上限を大きく消費することがあります。上限が気になるときは、繰り返す回数を減らしてください。
書かせる段階でAIっぽさを減らせますか?
減らせます。このルールは新規の執筆にも使えるので、書かせる指示に同じURLを添え、4-1の数行も先に渡します。
スマートエイトがブログ記事をAIに書かせるときは、記事全体の字数を目標として渡しません。目標の字数を渡すと、内容が尽きた後も言い換えで埋めて届かせようとするため、説明の重複が増えます。メールや社内の案内なら字数は書かず、長さが足りないと感じたら、言葉を足させるより渡した材料を見直してください。
さいごに
本記事では、文章のAIっぽさを抑えるプロンプトの頼み方と、繰り返し直す理由、人が確かめる箇所を解説しました。AIっぽさの代表的な原因は説明の重複や組み立てなので、直す基準を書いたルールを読ませる方が、「自然にして」と頼み直すより意図が伝わります。
社内の案内やメールをAIで下書きしている会社なら、まず1通を選び、AIがルールを読めるかを確かめてから直させてみてください。伝えたいことを数行添えれば、文章の重点を書き手の側に残せます。
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