はじめに
動画生成AIのおすすめを実物で確かめるため、架空の物流会社「つむぎ物流」の15秒の採用動画を、スマートエイトが実際に5本作って比べました。倉庫で働く女性スタッフが、最初から最後まで同じ人物で出る縦長の動画です。
仕事を任せるAIのManusでは、映像を作るAIを Seedance 2.5、Veo 3.1、MiniMax H3 に替えて3本を作りました。動画を作るサービスのRunwayでは、Seedance 2.5 で2本を作りました。短い依頼文の1本と、場面ごとに指示した依頼文の1本です。
結論として、15秒の採用動画はどちらでも作れました。人物の自然さはRunwayが高く、手間の少なさはManusが高い結果です。
社名や募集の文字は、Runwayで動画に描かせると崩れることがあるので、後から入れます。その作業ができる、動画の編集ソフトを使える人が社内にいればRunway、いなければ文字まで仕上げるManusを選びます。
本記事は、2026年11月3日時点の公式情報と、スマートエイトが同じ日に作った結果をもとにしています。どれも1回ずつ作った結果です。
動画生成AIで5本作ると、どこが違ったのか|人物の自然さ・手間・最後の文字で比べる
一番大きな差は人物の自然さで、Runwayの2本の方が自然に見えました。手間はManusの方が少なく、短い依頼文のまま最後の文字まで仕上がりました。5本のうち、最後の文字が崩れたのはRunwayの1本だけです。
5本はどこが違ったのか?
5本には1〜5の番号を振ります。5本とも約15秒で、同じ人物が最初から最後まで出ました。違いは次のとおりです。
見る所 | 1 Manus・Seedance 2.5 | 2 Manus・Veo 3.1 | 3 Manus・MiniMax H3 | 4 Runway・短い依頼文 | 5 Runway・場面ごとの指示 |
|---|---|---|---|---|---|
作り方 | 人物の静止画を先に作り、文字は後から入れる | 静止画を2枚作り、8秒を2本つなぐ。文字は後から入れる | 人物の静止画を先に作り、文字は後から入れる | 依頼文だけで作る。文字も声もモデルが出す | 依頼文だけで作る。文字も声もモデルが出す |
人が書く物 | 短い依頼文 | 短い依頼文 | 短い依頼文 | 短い依頼文 | 場面・服・台詞まで書いた依頼文 |
仕上げ | Manusが仕上げた | Manusが仕上げた | Manusが仕上げた | 崩れた文字と、社名を読まない声が残る | 読み上げに意味の取れない音が残る |
人物の自然さ | Runwayに及ばない | Runwayに及ばない | Runwayに及ばない | 自然に見える | 自然に見える |
服 | 緑のシャツに紺のベスト | 紺の作業着 | 紺の作業着 | 青いTシャツ | 紺の作業着 |
場面 | そろう | そろう | そろう | そろう。手元のカットが多く、同僚は男性 | 4つの場面がそろう |
最後の文字 | 崩れなし | 崩れなし | 崩れなし | 「スタッフ募遶中」に崩れた | 崩れなし |
人物の自然さはどれが高かったのか?
スマートエイトで5本を見比べると、人物はRunwayの4番と5番が自然に見えました。Manusの3本も同じ人物で最後まで通りましたが、並べると自然さはRunwayに及びません。Runwayの2本は、顔を切り抜いて比べると、髪の毛の細い線まで残っています。
まず、箱を運ぶ場面です。

1 Manus・Seedance 2.5、2 Manus・Veo 3.1、3 Manus・MiniMax H3、4 Runway・短い依頼文、5 Runway・場面ごとの指示
次に、カメラに向かって話す場面です。

番号は上の図と同じ
動きは、次の5本の動画で見比べられます。上から1〜5番の順です。
どんな依頼文で作ったのか?
1〜4番は、次の短い依頼文で作りました。Manusに頼むなら、社名と場面を自社の物に替えて使えます。
架空の物流会社「つむぎ物流」の倉庫アルバイトを募集する、15秒の採用動画を作ってください。縦長9:16、720pでお願いします。20代の日本人の女性スタッフが倉庫で段ボール箱を運び、同僚と笑顔で話し、最後にカメラに向かって「一緒に働きませんか」と話す場面にしてください。同じ人物が最初から最後まで出るようにしてください。最後に社名と「スタッフ募集中」の文字を入れてください。日本語のナレーションと、明るいBGMを付けてください。ManusはAIエージェント*で、依頼を受けると作業を手順に分けて進めます。Runwayは、動画モデル*を選んで直接動かせるサービスです。
1〜3番はManusで、依頼文の末尾に「動画の生成には Veo 3.1 を使ってください。」の形で、使う動画モデルを指定しました。4番はRunwayで、Seedance 2.5 を選んで同じ依頼文を渡しました。5番は、場面ごとに指示した依頼文で作りました。
*AIエージェント:頼んだ仕事を自分で手順に分け、道具を使いながら最後まで進めるAI。 *動画モデル:文章や画像から映像を作るAIの本体。Veo 3.1 や Seedance 2.5 がこれにあたり、複数のサービスから使える。
同じモデルで、顔立ち・場面・文字は何で変わるのか|最初の人物の決め方と、場面の指示・文字の入れ方
同じ Seedance 2.5 でも、ManusとRunwayでは人物の顔立ちと服が違いました。人物の顔立ちと服を分けたのは、最初に人物をどう決めるかでした。場面と最後の文字は、依頼文の書き方と入れ方で変わります。
人物の顔立ちと服は何で決まるのか?
最初に人物をどう決めるかで決まります。Manusの3本は、先に人物の静止画を作り、それを動画モデルに渡して動かしました。Runwayの4番と5番は静止画を渡さず、依頼文だけで人物を決めています。
これを確かめるため、6本目を作りました。1番の回でManusが作った人物の静止画をRunwayの Seedance 2.5 に渡し、5番と同じ場面を指示しています。人物の行は、髪型や服を書く代わりに「渡した静止画の人物の顔・髪型・服装を変えない」としました。
6本目の人物は、Manusの1番と同じ顔立ちと服装になりました。

左から、1 Manus・Seedance 2.5、6 RunwayにManusの静止画を渡した回、5 Runway・場面ごとの指示
6本目の動画です。
3枚とも、動画モデルは同じ Seedance 2.5 です。同じ動画モデルでも、人物の顔立ちと服は、最初の人物をどう決めるかで変わります。
静止画を渡し、その人物を変えないよう依頼文に書くと、Runwayでも渡した人物になります。
場面ごとに指示すると、何が変わったのか?
Runwayに短い依頼文をそのまま渡した4番は、手元のカットが多く、最後は灰色の画面に文字だけになりました。服は青いTシャツで、同僚は男性です。依頼文に書いていない所は、動画モデルが決めます。
5番では同じ Seedance 2.5 に、場面を秒数で4つに分けて指示しました。依頼文は1つで、生成も1回です。
15秒の採用動画。縦長。場面は次の4つを順につなぐ。同じ人物が最初から最後まで出る。
人物は20代の日本人の女性スタッフで、黒髪を後ろで結び、紺の作業着に白い軍手。
0〜4秒: 明るい物流倉庫の通路で、女性が段ボール箱を台車に載せる。
4〜8秒: 女性が同僚の女性と笑顔で話す。
8〜12秒: 女性が棚の前で箱のラベルを確かめる。
12〜15秒: 女性がカメラを向いて微笑み、「一緒に働きませんか」と話す。画面下に「つむぎ物流」と「スタッフ募集中」の文字を入れる。
音声: 明るい女性の声で、日本語で「未経験でも大丈夫。つむぎ物流で、一緒に働きませんか。スタッフ募集中です。」と読む。明るいBGMを小さく流す。指示した4つの場面はすべて出て、服も指定した紺の作業着になりました。読み上げは指定した文面で、途中に意味の取れない音が入りました。
なぜ最後の文字は後から入れるのか?
Manusの3本は、映像ができた後に最後の文字を入れたので、崩れませんでした。動画モデルが最後の文字を描いたRunwayでは、4番が「スタッフ募遶中」に崩れ、5番は正しく出ました。

番号は箱を運ぶ場面の図と同じ

左が4番、右が5番
静止画を渡した6本目でも、「スタッフ募集中」の「集」が崩れました。同じ週に試した和菓子店の広告動画でも、Runwayに文字を描かせた2回は、どちらも店名の「和菓子」が「和餅子」に崩れています。
Runwayの動画モデルに最後の文字を描かせた5回のうち、正しく出たのは5番の1回だけです。服や棚の札のように、映像の中に描かれた小さな文字も崩れることがあります。
社名や募集の文字を間違えたまま公開はできないので、最後の文字は動画に描かせず、後から入れます。
採用動画なら、どの動画生成AIを選べばよいのか|社内に編集ソフトを使える人がいるかで選ぶ
採用動画なら、社内に動画の編集ソフトを使える人がいるかで選びます。いればRunwayに場面を指示し、最後の文字は編集ソフトで入れます。いなければManusに任せます。
自社にはどちらが合うのか?
Runwayは人物が自然に見える代わりに、場面を書き、最後の文字を入れる手間が自社に残ります。Manusは、その手間ごと任せられます。編集ソフトでやるのは、最後の数秒に社名と募集の文字を重ねる作業です。
社内の状況 | 選ぶ道具と頼み方 | 今回の結果 |
|---|---|---|
編集ソフトを使える人がいる | Runwayで Seedance 2.5 を選び、場面ごとに指示する。最後の文字は編集ソフトで入れる | 人物が自然に見え、指示した4つの場面も出た。読み上げには意味の取れない音が入った |
編集ソフトを使える人がいない | Manusに短い依頼文で任せる | 声・BGM・最後の文字まで入った1本ができた。人物の自然さはRunwayに及ばなかった |
動画生成AIのランキングは、何を優先するかで順位が入れ替わります。今回も、人物の自然さと手間の少なさで1位が分かれました。
自社の社名と場面に替えると、場面や最後の文字の出方は変わります。1本作って、人物と文字を自分の目で確かめてから決めます。
Runwayを選ぶなら、どう頼むのか?
Runwayでは、4番・5番と同じ作り方にするため、動画モデルに Seedance 2.5 を選びます。長さ・縦横比・720pの画質は、依頼文のほかに設定でも選びます。
場面ごとに指示した依頼文の、社名・服装・場面を自社の物に替えて使います。12〜15秒の行にある「画面下に〜の文字を入れる」の文は消し、社名と「スタッフ募集中」、「映像はAIで作ったイメージです」の文字は、編集ソフトで重ねます。
読み上げは、出す前に必ず聞きます。今回は途中に意味の取れない音が入ったので、おかしければ音声の行を直して作り直します。
今回は動画モデルに直接頼み、計画やナレーションまで任せられる Runway Agent は使っていません。
動きの依頼文の書き方は、Runwayの動画生成の使い方|4つのモデルを同じ依頼文で比べた結果で紹介しています。
Manusに任せるなら、どこまで進むのか?
Manusは、短い依頼文から、人物の静止画、声、BGM、最後の文字までを進めました。問題が出ると自分で直します。Seedance 2.5 の回では同僚との会話に入った意味のない言葉の音量を下げ、Veo 3.1 の回では台詞の後に続いた余計な言葉を切っています。Seedance 2.5 の回は、映像を作る前に確認が1回出て、押すまで先へ進みませんでした。
Manusの3本の間に順位は付けません。3本とも、同じ人物で最後まで通り、依頼した場面がそろい、最後の文字も崩れませんでした。モデルを指定しなければManusが選ぶので、最初の1本は指定なしでも作れます。
自社で頼むときは、依頼文の末尾に「画面の隅に小さく『映像はAIで作ったイメージです』と入れてください。」を足します。
Manusは、地域によって新規の申し込みを止めている場合があります。契約の前に、アプリ内の案内を確かめます。
15秒の採用動画は月いくらで何本作れるのか|ManusとRunwayの月額で比べる
Manusは、会社で使うチームプランが1人あたり月20ドルで、2人から契約します。最低でも月40ドルになり、2人分の共有の枠で15秒の採用動画を月に6本ほど作れます。Runwayは、月1本ならStandardの月15ドル、月5本ならProの月35ドルです。
動画生成AIの料金は、1本で使うクレジット*の数だけでは比べられません。単位が会社ごとに別なので、月額と、その枠で作れる本数で比べます。
道具とプラン | 月額 | 毎月のクレジット | 1本のクレジット | 月に作れる本数 |
|---|---|---|---|---|
Manus チーム | 1人あたり20ドル。2人から | 1人あたり4,000 | 約1,250 | 2人分で6本ほど |
Runway Standard | 15ドル | 625 | 450 | 1本 |
Runway Pro | 35ドル | 2,250 | 450 | 5本 |
Manusは月に何本作れるのか?
Manusのチームプランは、1人あたり月20ドル・4,000クレジットで、2人から契約します。クレジットはメンバー全員で共有します。
今回の3本は、同じ月20ドル・4,000クレジットのプロで作りました。使ったのは合わせて約3,700〜4,000クレジットで、ならすと1本約1,250です。1人分の枠なら月に3本強で、最低の2人分では共有の枠で月に6本ほど作れます。
Manusの数字には、映像のほかに、画像やナレーションを作る分も入ります。消費はモデルと設定で変わり、Seedance 2.5 の回は映像の生成だけで約901クレジットと表示されました。
Runwayは月に何本作れるのか?
Runwayは、720pの Seedance 2.5 が1秒30クレジットで、15秒なら450クレジットです。Standard は月15ドル・625クレジット、Pro は月35ドル・2,250クレジットなので、月の枠で作れるのはStandardが1本、Proが5本です。
足りない月は、有料のプランなら1,000クレジットから買い足せます。スマートエイトの契約では1,000クレジットが10ドルでした。Standard の枠は1本作り直すと足りなくなるので、作り直す回数まで入れて見積もります。最後の文字を編集ソフトで入れる手間も、この数字の外にあります。
作り直した分まで入れて、使えた1本あたりの費用を出す測り方は、生成AIの費用対効果を測る4つの問い|OpenAI CFOの採点表の使い方で紹介しています。
*クレジット:動画や画像を作るたびに引かれる単位。プランごとに毎月の数が決まり、1つあたりの値段は会社ごとに違う。
動画生成AIのよくある質問|商用利用・日本語の文字・無料の範囲
作った動画は採用に使えますか?
Runwayでは、規約を守る限り、作った動画の商用利用は制限されていません。入れた依頼文や画像と作った動画は、モデルの学習や改善に使われることがあります。学習に使わないと約束しているのは、個別に契約する法人向けのプランだけです。
Manusのヘルプも、作った物を個人でも商用でも使えると案内しています。個人のプランでは、入れた内容と作った物を、Manusがサービスの提供と改善に使えます。会社のデータを学習に使わないとしているのは、チームプランです。個人のプランの規約は自分のために使う前提で書かれているので、会社の採用動画に使うときは、チームプランで契約します。
AIが作った人物は、実在の社員ではありません。働く様子のイメージとして使い、社員の紹介や社員の声には使いません。動画の中に「映像はAIで作ったイメージです」と入れ、応募者が実在の社員と取り違えないようにします。
社員の写真や応募者の情報は、入れる前に社内で確かめます。
日本語の文字が崩れるときはどうしますか?
最後の文字は動画モデルに描かせず、映像ができた後に重ねます。今回も、後から入れたManusの3本は崩れず、Runwayの動画モデルが描いた回は、和菓子店の広告を含めて5回のうち4回で崩れました。
依頼文から文字の指定を外して映像だけを作り、社名と募集の文字は編集ソフトで重ねます。字が崩れる場面と直し方は、採用動画制作をAIで|撮影なしの5つの工程と、社名が崩れない作り方で紹介しています。
無料でどこまで作れますか?
今回の動画は、どれも有料のプランで作りました。Runwayの無料のプランは、付くクレジットが一度きりで、今回の15秒1本の450クレジットには届きません。作った動画にはRunwayの透かしも入ります。
採用に使う動画を試すなら、最初から有料のプランで1本作る方が早く進みます。
さいごに
本記事では、15秒の採用動画5本を比べました。人物の自然さはRunwayが高く、手間の少なさはManusが高い結果でした。同じ動画モデルでも、人物の顔立ちと服は、最初の人物をどう決めるかで変わります。最後の文字は動画に描かせず、後から入れます。
動画生成AIの一覧を読んでも試す1本を決められない方は、まず社内に動画の編集ソフトを使える人がいるかを確かめてください。いればRunwayで Seedance 2.5 を選んで場面ごとに指示し、いなければManusに任せます。
Manusには短い依頼文を、Runwayには場面ごとに指示した依頼文を、社名と場面を自社の物に替えて渡します。Runwayでは最後の文字の指定を外し、編集ソフトで入れます。今週中に、採用に使えるかの判断の材料がそろいます。
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