はじめに
ChatGPTで問い合わせ用のチャットボットを作ろうとして、GPTsの作り方の記事を読んだものの、今もその方法でよいのか迷っていないでしょうか。作り方の前に、どの質問にボットが答え、どこから人に回すかを決めていないと、公開した後に直す場所も分かりません。
本記事では、ChatGPTでチャットボットを作る方法を、社内向けと自社サイト向けに分けて解説します。スマートエイトが通販の会社向けに作った問い合わせ一次対応のAIチャットの仕様と、チャットボットを公開した後の1週間で回答を全件読んで分かったことも紹介します。
結論を先に書きます。社内向けならChatGPTの共有プロジェクトで、自社サイト向けならAPIで作ります。どちらも作る前に「答える範囲」と「人に回す線」を決め、公開後1週間は回答を全件読んで、直す先がボットか自社の運用かを見分けてください。
本記事は2026年10月18日時点のOpenAIの公式ヘルプと開発者向けドキュメントをもとにしています。例に出す会社と問い合わせの中身は、資料をもとに社名を伏せるか、架空のものにしています。
ChatGPTでチャットボットを作る方法|社内向けは共有プロジェクトで作る
社内の問い合わせに答えるボットなら、プログラムを書かずにChatGPTの画面だけで作れます。ただし、これまでよく紹介されてきたGPTs*で作る方法は、今から選ぶ理由がありません。

GPTsで新しく作るのはやめておく
カスタムGPTは、すべてのプランで2026年12月11日に提供終了の予定です。Free・Go・Plus・Proの個人のアカウントでは、すでに新しいGPTを作れません。
今からGPTsでボットを作っても、2か月ほどで作り直すことになります。GPTsで作ったボットを使っている会社は、次の共有プロジェクトへ移す前提で、指示と資料を手元に控えておきます。
共有プロジェクトに指示と資料を入れる
社内向けのボットは、プロジェクト*を作って社員に共有する形で作ります。手順は次の4つです。
- 手順1:新しいプロジェクトを作り、「社内の問い合わせ窓口」のように用途が分かる名前を付ける
- 手順2:プロジェクトの指示に、答える範囲と人に回す線を書く
- 手順3:就業規則やFAQのような、答えの元になる資料をファイルとして入れる
- 手順4:共有から社員を招待し、権限を「チャット」にする
プロジェクトの指示はそのプロジェクトの中だけで効くため、ほかの仕事のチャットには影響しません。共有はFreeを含むすべてのプランで使え、Freeは5人まで、PlusとGoは10人までを招待できます。
社員の質問は、ほかのメンバーにも見える
共有プロジェクトでチャットの権限を持つメンバーは、プロジェクトの中のチャット・ファイル・指示を見られます。社員がボットに聞いた内容は、同じプロジェクトのほかのメンバーにも見える前提で使います。
そのため、給与や健康のような個人の相談を受ける窓口には向きません。社内向けのボットは、規程・手順・申請の方法のように、誰に見られても困らない質問に絞ります。
*GPTs:指示とファイルを保存して作る、用途別のChatGPT。正式にはカスタムGPTと呼ばれ、2026年12月に提供終了の予定。 *プロジェクト:ChatGPTで、関連するチャット・ファイル・指示をまとめて管理する機能。招待した人と共有できる。
自社サイトに置くならAPIで作る|答える範囲と人に回す線を先に決める
お客様の問い合わせを自社サイトで受けるボットは、ChatGPTの画面ではなく、OpenAIのAPI*で作ります。開発が必要になる分、答え方と人に回す動きを細かく決められます。

社内向けとの違いは、使う人と人に回す仕組み
共有プロジェクトとAPIで作るボットの違いを並べると、次のとおりです。
比べる点 | 社内向けの共有プロジェクト | 自社サイト向けのAPI |
|---|---|---|
使う人 | 招待した社員 | サイトに来たお客様 |
作る手間 | 画面の操作だけ | 開発が必要 |
答えの元 | プロジェクトに入れたファイル | APIに上げたファイル |
人に回す動き | 社員が自分で担当者に聞く | 返答に印を付け、担当者へ知らせる |
APIには、上げたファイルから情報を取り出して答え、どのファイルを使ったかの注記を返す機能があります。お客様に出す返答とは別に、担当者が根拠を確かめる画面を作れます。
通販の問い合わせ一次対応で決めた3つの仕様
スマートエイトが通販の会社向けに作った問い合わせ一次対応のAIチャットは、次の3つを仕様として決めました。
- お客様への返答は、下書きではなく、そのまま出す
- 社内の情報を参照して答えを作るが、根拠の出どころは返答に添えない
- 答えられない質問は、人へ回す
1つ目を決めると、ボットに答えさせてよい質問の範囲を狭く、はっきり書く必要が出てきます。2つ目は、お客様にとって社内の資料名は意味がないためで、根拠は社内で確かめられれば足ります。3つ目の線をどこに引くかが、ボットの品質を決めます。
人に回す条件を書き出し、返答に印を付けさせる
人に回す線は、「難しい質問」のような言葉ではなく、質問の種類で書き出します。スマートエイトが自動車販売店向けに作ったデモでは、システムプロンプト*に次の4つを人に回す条件として書きました。
# 人に回す条件
- まだ撮影していない角度の写真の依頼
- 下取り・頭金・ローン審査・個別の値引きの相談
- 現車の確認や動画通話の予約
- 修復歴の有無の確認
# 出力の形(必ずJSONで返す)
{
"message": "お客様への返答",
"quickReplies": ["次の質問の候補1", "次の質問の候補2", "次の質問の候補3"],
"escalate": true または false
}返答のたびに「人に回すか」を真か偽で返させると、画面の側でその印を見て担当者に知らせる仕組みを作れます。通販なら、返品の可否の判断、配送の事故、個別の値引きの相談が、人に回す条件の候補になります。
*API:自社のシステムからOpenAIのAIを呼び出す窓口。使った量に応じた料金で、自社サイトや業務システムに組み込める。 *システムプロンプト:ボットが毎回の会話の前に読む、役割と決まりを書いた指示。お客様には見えない。
公開後1週間は回答を全件読む|未解決の原因を2つに分ける
ボットは公開して終わりではありません。最初の1週間に何を読むかで、その後に直す場所が決まります。

1週間弱で数十件を読んで分かったこと
ある会社がチャットボットを入れた時、稼働1週間弱で処理した数十件の問い合わせを、担当者が全件読みました。怖いのは回答の精度だと考えていましたが、ボットの回答自体は「対応できている」という評価でした。
未解決として残った案件の多くは、出荷が遅れていることを自社がお客様に長く連絡していなかった件でした。ボットを入れる前は、問い合わせが担当者ごとに分かれて記録が残らず、同じ穴が数として見えていなかったのです。
読むときは「ボットか、自社の運用か」の2択で分ける
全件を読むときの分け方は、「回答が正しいか」ではありません。未解決の原因が、ボットの回答にあるのか、自社の運用にあるのかの2択で分けます。
回答が原因なら、プロンプトの指示か、答えの元になる資料を直します。自社の運用が原因なら、直す先はプロンプトではなく業務です。出荷が遅れた時の連絡の手順を決め直すほうが、ボットの言い回しを磨くより問い合わせは減ります。
効き目は「人に回った件数の内訳」で測る
ボットの効き目を、答えた件数だけで測ると、人に回った問い合わせの中身が見えません。人に回った件数を、条件どおりに回ったものと、本来は答えられたはずのものに分けて数えると、次に直す場所が分かります。
数えた結果を経営の判断に使うなら、生成AIの費用対効果を測る4つの問いが使えます。担当者の手が空いた時間だけでなく、運用の穴が見つかって減った問い合わせも、効果として数えてください。
よくある質問|ChatGPTのチャットボットの作り方について
無料のChatGPTでもチャットボットは作れますか?
社内向けの共有プロジェクトなら、Freeでも作れます。ただし、Freeで入れられるファイルは5つ、招待できる人も5人までです。自社サイトに置くボットはAPIで作るため、ChatGPTのプランとは別に、使った量に応じた料金がかかります。
回答の根拠は、お客様に見せたほうがよいですか?
使う人で決めます。社内向けなら、社員が自分で確かめられるよう根拠を見せたほうが使われます。お客様向けは、2-2の通販の例のように根拠は社内で確かめ、お客様には答えだけを返す形でも運用できます。
メールの自動返信や、Agent Builderで作るボットとは何が違いますか?
フォームに届いたメールへの自動返信は、会話を続けない一方通行の返答です。作り方はお問い合わせの自動返信をAIで作る方法で扱っています。
OpenAIが画面でAIの手順を組む道具として出しているAgent Builder*は、非推奨になり、2026年11月30日に終了する予定です。今使っている人は終了まで使えますが、新しく作るボットには使いません。
*Agent Builder:OpenAIの、画面上でAIの手順を組み立てる道具。移し先として、Agents SDKで自社のシステムに組む方法と、Business・Enterprise・EduのChatGPTで使うワークスペースエージェントが案内されている。
さいごに
本記事では、ChatGPTでチャットボットを作る方法を、社内向けの共有プロジェクトと自社サイト向けのAPIに分けて解説しました。どちらの作り方でも、答える範囲と人に回す線を先に決め、公開後1週間は回答を全件読むことで、直す先を間違えずに済みます。
「ボットを入れたのに問い合わせが減らない」という悩みは、ボットではなく、ボットが見せてくれた自社の運用の穴に原因があることも少なくありません。まずは今週届いた問い合わせを並べ、ボットに答えさせる質問と人に回す質問に分けてみてください。
スマートエイトは、問い合わせ対応のボットを自社のサイトや業務システムに組み込む開発と、社員が自分で線引きを決められるようになる生成AI研修の両方を支援しています。
どの業務から手を付けるかで迷っている場合は、AIに任せられる業務が分かる無料診断から始めてください。3分で終わり、登録もメールアドレスも要りません。 ※生成AI研修資料/導入事例も無料ダウンロードいただけます。
問い合わせ対応のチャットボットを自社のサイトや業務システムに合わせて作る相談は、スマートエイトのAI開発で受け付けています → AI開発の詳細




