はじめに

自社の代表や社員の顔をAIに覚えさせれば、撮影なしで広告や採用の素材を作れるのではないか。そう考えて試してみたものの、できた画像が別人に見えて手が止まった経験はないでしょうか。Higgsfield Soul IDの説明を読んでも、実在の人の顔でどこまで再現できるのかは分かりにくいものです。

本記事では、スマートエイトが代表の小坂井の顔でHiggsfield Soul IDを4回学習させ、同じプロンプトで24枚ずつ作って比べた結果を解説します。別人になった画像と、その原因、防ぎ方まで載せています。

結論として、Soul IDは、実際の動画から切り出した顔で学習すると、そのまま顔がそろいました。写りのよい決め顔の写真に替えると外国人の顔に寄りましたが、AIで加工した写真を外し、7枚に絞って学習し直すと、黒髪と髪型が戻りました。

それでも「A man」のままでは24枚中7枚が外国人に見え、「A Japanese man」に変えると0枚になり、本人も一番良い結果と判断しました。その顔で作った3秒の動画3本でも、顔は崩れませんでした。

本記事は、2026年11月1日時点のHiggsfieldの公式情報と、スマートエイトが同じ日に実際に作った結果をもとにしています。

Higgsfield Soul IDとは|写真を学習して同じ顔を作る機能

Higgsfield Soul IDは何をする機能か?

Higgsfield Soul IDは、同じ人の写真をまとめて学習させ、その人の顔のまま画像を作る機能です。Higgsfieldは画像や動画を作るAIをまとめて使えるサービスで、Soulはその中の画像を作るモデルの名前です。

ふつうの画像生成では、同じ文章で頼んでも毎回違う顔になります。Higgsfieldも、言葉だけでは顔を1人に決められないと説明しています。Soul IDは写真から顔を覚えるので、Higgsfieldの案内では、プロンプトに書くのは服と場面だけです。

今回は動画を作るとき、Soul IDで作った画像を最初のコマにして動かしました。この方法で顔を保つのは最初のコマの画像で、学習した顔そのものは動画のモデルへ渡していません。

写真は何枚要り、いくらかかるのか?

写真の枚数は、使う入口で案内が違います。公式のヘルプは20枚以上、最大80枚で、文字の命令で動かすCLI*の案内は5〜20枚、最適は8〜12枚です。スマートエイトはCLIを使い、20枚と16枚のほか、案内の最適より少ない7枚でも学習できました。

費用は、月額のプランに付くクレジット*から引かれます。実際にかかったのは、学習が1回25クレジット、Soulの画像が1枚0.12クレジットでした。学習1回と画像24枚で約28クレジットで、Starterの単価なら約2ドルです。

スマートエイトが使ったStarterのプランは、年払いの月19ドルで270クレジットが付きます。今回は学習4回、画像137枚、動画6本で約152クレジットを使い、1か月分の半分強で収まりました。

作り直した分まで入れて、使えた1枚あたりの費用を出す測り方は、生成AIの費用対効果を測る4つの問い|OpenAI CFOの採点表の使い方で紹介しています。

精度をどう測ったのか?

学習に入れる写真だけを変えて4回学習し、毎回同じプロンプトで画像を作りました。場面は、正面、横顔、別の服、笑顔、暗い場所、全身の6つです。1つの場面を4枚ずつ作るので、1回の学習で24枚になります。

(表1)学習に入れた写真

回

学習に入れた写真

枚数

AIで加工した写真

1回目

YouTubeの動画から切り出した画像

20枚

なし

2回目

PCにあった決め顔の写真

20枚

12枚

3回目

2回目から本人が選び直した写真

16枚

9枚

4回目

AIで加工した記録が無い写真

7枚

記録なし

精度は、本人と違う顔立ちに外れた画像が24枚中何枚出たかで比べました。外国人に見えるかどうかは作り手が一覧の画像を目で見て数え、最後は本人が見て判断しています。顔を照合する道具は使っていません。自社の素材に使えるかは、本人や周りの人が見て本人だと思えるかで決まるためです。

*CLI:画面を使わず、文字の命令でサービスを動かす道具。Claude Codeなどから呼び出せる。 *クレジット:Higgsfieldで画像や動画を作るたびに引かれる単位。プランごとに毎月決まった数が付く。

Higgsfield Soul IDの精度はどれくらいか|学習する写真で顔が変わる

同じプロンプトでも、学習に入れた写真で顔は大きく変わりました。今回の4回では、AIで加工した写真が入った2回だけ、24枚の半数以上が外国人に見えています。

(表2)学習した写真と、できた24枚の顔

回

学習の写真

外国人に見えた枚数

顔の様子

1回目

動画の切り出し20枚

0枚

顔はそろうが、本人の好みよりリアルすぎる

2回目

写真20枚・AI加工12枚

半数以上

彫りが深くなる。2枚は目から上が切れる

3回目

写真16枚・AI加工9枚

半数以上

ひげや肌の色まで変わる

4回目

写真7枚・AI加工の記録なし

7枚

残り17枚は黒髪と髪型が戻る

Soul IDの2回目から4回目の学習で、正面・横顔・笑顔の顔を並べた比べ。2回目と3回目は外国人に見える顔に変わっている

動画から切り出した画像で学習すると、顔はそろうのか?

1回目は、代表が話しているYouTubeの動画5本から、顔のコマを20枚切り出して学習しました。24枚とも同じ人物に見え、「Japanese」と書かなくても、外国人に見える画像はありませんでした。

実際の動画のコマは、どれもふだんの顔を写しています。学習の手がかりが1つの顔にそろい、大きく外れなかったと見ています。

ただ、できた顔は本人の好みよりリアルすぎました。そこで2回目からは、写りのよい決め顔の写真に替えて試しました。

決め顔の写真で学習すると、顔はどう変わったか?

2回目は、PCにあった本人の決め顔の写真から20枚を選びました。すると顔立ちが変わり、彫りの深い外国人のような顔が24枚の半数以上を占めました。正面の2枚は頭が画面の外に切れて、目が写っていません。

3回目は、本人が合わないと感じた写真を外して16枚に絞りました。それでも顔は戻らず、濃いひげの顔や、肌の色が大きく違う顔まで出ました。

AIで加工した写真を外すと何が変わったか?

原因を探して写真のファイルを調べると、20枚のうち12枚がAIで加工した写真でした。9枚はファイルの中にOpenAIの画像生成を通した記録が残っていて、残りの3枚はファイル名や別の版から判断しました。本人の写真に見えても、顔はAIが描き直している場合があります。

4回目は、AIで加工した記録が無い写真だけを7枚選んで学習しました。このうち1枚には、スマホのアプリで輪郭を整えた記録が残っていますが、AIの画像生成を通した記録のある写真は0枚です。黒髪と前髪の形が戻り、横顔、暗い場所、全身の12枚は、1枚も外国人に見えませんでした。

4回目は枚数も7枚に減っています。ただ、同じ20枚の1回目と2回目を比べても、AI加工の無い1回目は0枚、12枚入った2回目は半数以上でした。顔が外れたら、枚数を変える前に、AIで加工した写真を外します。Higgsfieldも、美肌フィルターや顔を変えるアプリを避け、加工していない原本を使うよう案内しています。

それでも、正面、別の服、笑顔では、24枚中7枚が外国人に見えました。この7枚は、学習をやり直さず、プロンプトの1語で直せました。

本人の顔が別人になる原因と防ぎ方|プロンプトの1語で変わった

なぜ同じプロンプトで別人が出るのか?

4回目の24枚は、どれも人物を「a man」とだけ書いた文で作りました。同じ文で4枚作っても、正面では3枚が外国人に見え、1枚は外れませんでした。1枚だけ見て判断せず、同じ文で数枚作って確かめます。

一方で、動画の切り出しで学習した1回目は、同じ「A man」でも1枚も外れていません。7枚の学習では顔の手がかりが足りず、AIが「a man」から思い描く顔に寄ったと見ています。

Higgsfieldは、服と場面だけをプロンプトで変え、顔はSoul IDに任せるよう案内しています。今回の7枚は、CLIの案内が最適とする8〜12枚より少ない学習で、この枚数では任せるだけでは足りませんでした。

「A Japanese man」に変えると何が変わったか?

外れた7枚を、「A man」から「A Japanese man」に変えて作り直すと、7枚とも黒髪で東アジア系の顔立ちに戻りました。残りの17枚も同じ1語で作り直し、外国人に見える画像は24枚中0枚になりました。学習はやり直していません。本人も、この24枚を一番良い結果と判断しました。

「A man」と「A Japanese man」に変えた4組の比べ。下の段は黒髪の東アジア系の顔に戻っている

変えたのは「man」の前に足した1語だけです。正面のプロンプトは次のようになります。

A Japanese man in a navy blazer over a black t-shirt, standing in a bright modern office, facing the camera straight on, natural daylight, medium shot from the chest up, photorealistic

笑顔では、別の直し方も効きました。「歯を見せて大きく笑う」を「口を閉じて微笑む」に変えると、外れた3枚のうち2枚が戻っています。学習の7枚に、歯を見せて笑う写真は1枚もありませんでした。

別人にしないために何をすればいいか?

最初は次の順で進めます。

  • 手順1:写真を入れる本人の許可を取る
  • 手順2:1枚960ピクセル以上の、加工していない原本を集める。決め顔だけにせず角度と表情を変える。画面から学習するなら20枚以上、CLIなら8〜12枚
  • 手順3:AIで加工した記録が無いか確かめる
  • 手順4:別の人が混ざっていないか、本人が一覧で見る
  • 手順5:プロンプトの人物に「Japanese」のように顔立ちが分かる語を足し、同じ文で数枚作る
  • 手順6:笑顔は学習の写真にある表情に合わせる
  • 手順7:できた画像を本人に見てもらい、服と小物も確かめる

ChatGPTの画像生成を通した写真には、どのAIを通したかの記録が残ります。スクリーンショットやSNSへの投稿で消えることがあるので、元のファイルで確かめます。

確かめるときは、確認のページに画像を入れます。今回の12枚でも記録があったのは9枚で、記録が出ない写真は、撮ったときの元ファイルがあるかで見分けます。

最後の確認が要るのは、「Japanese」の1語で服や小物まで変わるためです。横顔の4枚は、「A man」のときは黒いTシャツでしたが、1語を足すと白いTシャツになりました。頼んでいない眼鏡や名札、頬をつまむポーズも出ています。海外の検証でも赤いドレスの指定が守られなかった例があります。

「Japanese」は周りにも効き、会議室の同席者や街並みまで日本寄りに変わります。看板の字は意味が通らないので、後から直す前提で作ります。

動画にしても顔は保てるか|採用動画の見本を代表の顔で作り直した

架空の人物の見本と何が違ったか?

比べたのは、スマートエイトが作った採用動画の見本の3カットです。見本は架空の女性スタッフが倉庫で働く縦の動画で、今回は動きの依頼文の主語だけを男性に替えました。倉庫の場面はSoul IDで文章から作り直し、代表の画像を最初のコマにしています。背景や箱の字が見本と違うのはそのためです。

最初のコマは、「A Japanese man」で始まる文で倉庫の場面を4枚ずつ作り、1枚ずつ選びました。12枚とも同じ人物に見えています。動画のモデルは Kling 3.0* で、3秒、音なしです。作り直しはしていません。

架空の女性の見本と代表の顔の動画を、同じ依頼文で作って3コマずつ並べた比べ

3本とも、動画の始めから終わりまで顔は崩れませんでした。箱に手を置いて笑うカットは依頼文どおりに動き、箱を持って近づくカットは、頼んだ1〜2歩より大きく近づいています。

公開した見本は別の動画のモデルで作りました。同じ依頼文をKling 3.0で動かした回が2カットあるので、上の図と動画にはその2カットを並べています。箱を持って近づくカットは、その回も同じように大きく近づきました。実在の人の顔に替えても、動き方は変わっていません。

費用は、最初のコマ12枚と動画3本で約15クレジットです。全部のカットで人物をそろえる手順は、AIで広告動画を内製する方法|人物が別人になるのを防ぐ5つの工程で紹介しています。

動画のどんな場面で顔が崩れるのか?

今回の3本は3秒で、顔の向きが大きく変わらず、人物も話さない動画でした。崩れが出たのは、1回目の学習の画像で試した5秒の動画です。話す場面の終わりで口元がゆがみました。

Higgsfieldも、動画のプロンプトでは速い回転や真横を向く動きを避けるよう案内しています。動きは小さく、顔の向きは大きく変えないのが基本です。

話す内容を入れたいときは、人物の口を動かさず、声を後から重ねる形がおすすめです。比べた見本の声も、映像に後から重ねています。

会社で使う前に何を確かめるか?

Higgsfieldの規約は、作った画像や動画の商用利用を制限していません。ヘルプでも、広告や有料のキャンペーンは商用の利用に含まれています。

社員や出演者の顔を学習させるときは、本人の許可が要ります。規約では、同意を取ったことを使う側が保証します。写真の掲載に同意した人が、AIの学習や動画にすることまで認めたとは限りません。同意を取るときは、どの素材に使うかに加えて、入れた写真がHiggsfieldのモデルの学習に使われることがあり、一度使われた分は後から消せないことまで伝えます。

入れた写真と作った画像は、Higgsfieldのモデルの学習や改善に使われることがあります。学習に使わないと約束されるのは、個別に契約するEnterprise*です。月額のプランで止められるのは、写真やアカウントを削除した後の分だけです。月額のプランで試す最初の1回は、代表本人か、ここまで了承した人の顔だけを入れます。

実在の人の画像や動画を求人に使うのは、本人が実際にしている仕事の場面までにします。代表が働いていない倉庫の動画を求人に出すと、実際の仕事と違って見えるためです。今回の動画も検証用で、求人には使っていません。

*Kling 3.0:中国の快手が作った動画のモデル。Higgsfieldでも使え、最初のコマの画像から動画を作れる。 *Enterprise:Higgsfieldと個別に結ぶ法人向けの契約。入れた写真や作った画像を学習に使わないと約束される。

Higgsfield Soul IDのよくある質問|無料で試せるか・架空の人物・Claude Codeから使えるか

無料のプランで学習できますか?

できません。Soul IDの学習には有料のプランが要ります。学習は1回25クレジットで、無料のプランには毎月のクレジットが付かず、作った画像には透かしも入ります。代表本人の顔で試すなら、Starter以上のプランで始めるのが近道です。

架空の人物でも学習できますか?

できます。Higgsfieldは、架空の人物なら先に肖像の画像を作ってから学習させる手順を案内しています。

2章でAIの加工を外したのは、実在の人に似せるためです。実在の人の許可を取りにくい広告や採用の素材は、架空の人物で作る方が進めやすくなります。架空の人物で作るときも、仕事の場面は実際の職場に合わせます。

Claude Codeから動かせますか?

動かせます。今回の学習も画像と動画の生成も、すべてClaude Codeから1章のCLIを呼び出して進めました。Claude Codeに写真を選ばせると、PCの中の画像を一度に集められます。

このとき、写真を送る前に、本人が一覧で確かめる手順は外せません。今回も集めた候補に別の人の写真が1枚混ざっていました。Claude Codeは眼鏡やひげ、髪型の違いから「本人か確かめてほしい」と書いて候補から外しましたが、見た目の違いを拾っただけで、顔を照合したわけではありません。最後は本人が見て決めます。

さいごに

本記事では、Higgsfield Soul IDを代表の顔で4回学習させ、精度を比べた結果を解説しました。顔を左右したのは学習に入れる写真です。実際の動画から切り出した顔ならそのままそろい、決め顔の写真では外れやすくなりました。AIで加工した写真を外して7枚に絞ると黒髪と髪型が戻り、プロンプトの人物に「Japanese」の1語を足すと、外国人に見える画像は0枚になりました。その顔で作った3秒の動画3本でも、顔は崩れていません。

「学習させても別人になる」「自社の人物を素材に使えるか判断できない」と手が止まっている方は、まず写真を選び直してみてください。加工していない原本を集めてプロンプトの人物に「Japanese」と足し、学習1回と画像24枚を作れば、約28クレジットで結果を確かめられます。

採用動画まで社内で作るなら、人物の画像のほかに、動きの依頼文の書き方とカットのつなぎ方が要ります。スマートエイトの動画の研修では、求人1件をもとに、求人バナー2枚と採用動画1本を受講者が自分の手で作ります。人物はAIで一から作り、場面の画像づくりから動きの依頼文、カットのつなぎ方まで、その場で練習できます。

※生成AI研修資料/導入事例も無料ダウンロードいただけます。