はじめに

Geminiで作った画像を、広告やチラシ、提案資料に使ってよいのか。手軽に作れる分、会社の名前で外に出す前に手が止まった経験はないでしょうか。

本記事では、Geminiの画像生成を商用利用するときに押さえる点を、Googleの規約と著作権の考え方から解説します。スマートエイトは生成AIで広告の画像や動画を社内で作る実演を行い、その過程で素材を入れる前の確認の手順を決めてきました。

先に答えを言うと、Geminiで作った画像の所有権をGoogleは主張しませんが、使ってよいかは「何を入れたか」と「何に似ているか」で決まります。とくに顧客から預かった写真を入れる場面は、作る前の確認が欠かせません。

本記事は2026年10月18日時点のGoogleの規約と、文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」をもとにしています。法的な判断が必要な場面では、契約の担当者や専門家に確認してください。

Geminiの画像生成は商用利用できるか|Googleの規約で決まっていること

商用利用の可否は、まずGoogleの規約で決まります。規約が見ているのは、作った画像の持ち主と、入れる素材と出す画像が他者の権利を侵していないかの2つです。

Geminiの画像生成の商用利用で確かめる2つの側を示した図。入れる側では素材の権利を持っているか、出す側では他者の権利を侵していないかとAI生成を人の作と偽っていないかを確かめる

作った画像の所有権を、Googleは主張しません

Googleの利用規約は、一部のサービスで利用者がオリジナルのコンテンツを生成できるとしたうえで、Googleはその所有権を主張しないとしています。Geminiで作った画像を広告や資料に使うこと自体は、規約で閉じられていません。

ただし、所有権を主張しないことと、どんな使い方をしてもよいことは別です。規約は同時に、利用者に守ってほしい条件を置いています。

規約が求めるのは、他者の権利を侵さないことです

Googleの*生成AIの使用禁止ポリシーは、プライバシーや知的財産権など、他者の権利を侵害するコンテンツの生成と配布を認めていません。生成したコンテンツを人が作ったものだと偽って人を欺くことも、禁止されています。

Geminiの画像生成のヘルプも、第三者の著作権やプライバシーを侵害しないよう求め、公開や使用の前に自分で確かめて判断するよう促しています。会社で使うなら、この「公開前に確かめる」を誰が行うかまで決めておく必要があります。

会社のアカウントには、別の規約が当てはまることがあります

仕事用や学校用のアカウントで使う場合は、契約しているライセンスの種類によって、別の規約が当てはまることがあります。個人のアカウントで試した結果を、そのまま会社のアカウントにも当てはめないようにします。

会社のWorkspaceで画像を作るなら、自社の契約で生成物がどう扱われるかを、契約の担当者に一度確かめておくと安心です。

*生成AIの使用禁止ポリシー:Googleの生成AIを使うときに禁止される行為をまとめた決まり。他者の権利の侵害や、人を欺く使い方を挙げている。

商用利用でつまずくのは「似ている」と「入れた素材」|著作権の考え方

規約を守っていても、作った画像が既存の作品に似ていれば、著作権の問題になります。文化庁の考え方では、AIで作った画像の扱いも、人が描いた絵と同じ基準で判断されます。

AIで作った画像が著作権侵害になりうる流れを示した図。既存の作品と似ているか、その作品を元にしたかの2つがそろうと侵害になりうることを、順に並べている

既存の作品に似ていて、それを元にしていれば侵害になります

生成した画像を公開したり売ったりするとき、既存の作品と表現が共通していて、その作品を元に作ったと認められれば、著作権の侵害になります。前者を*類似性、後者を依拠性と呼びます。

注意したいのは、使う人がその作品を知らなくても、AIの学習に含まれていれば、通常は依拠性があったと推認される点です。「知らなかった」では通らないため、公開前に似ている作品が無いかを確かめる工程が要ります。

簡単な指示だけで作った画像は、著作物にならないことがあります

反対に、作った画像に自社の著作権が生まれるとは限りません。人がほとんど指示をせず、生成のボタンを押しただけでAIが作った物は、著作物に当たらないと考えられています。

人がAIを道具として使い、表現に工夫を加えたと言えれば、著作物と認められる余地があります。ロゴや看板商品の画像のように、他社に使われると困る物は、AIの出力をそのまま使わず、人の手で仕上げる工程を残しておきます。

入れた素材の権利は、生成した後も残ります

もう1つのつまずきが、Geminiに入れる素材です。Googleの規約は、コンテンツをアップロードするなら、そのために必要な権利を自分が持っていることを確かめるよう求めています。

写真を元に画像を作り直しても、元の写真の権利が消えるわけではありません。自社で撮った写真なら問題になりにくい一方、顧客や取引先から預かった写真は、入れる前に確かめる項目が増えます。

*類似性:生成した画像と既存の作品で、創作的な表現が共通していること。依拠性は、既存の作品を元にして作ったことを指す。

生成AIに素材を入れる前の4点の確認|スマートエイトが手順を止めた件から

スマートエイトには、顧客から預かった写真を生成AIに入れる直前で、手順を止めた経験があります。ある顧客への提案のデモ動画を準備していたときのことです。

生成AIに素材を入れる前の4点の確認を順に並べた図。提供元、ファイルごとの許諾、写っている人の権利、送り先の学習の設定を確かめ、1つでも分からなければ素材を差し替えることを示している

止めた手順で、何が足りなかったか

その手順では、顧客の広告写真を、画像から動画を作る外部のサービスへ入れることが決まりかけていました。写真には人物が写っており、提供元は顧客本人ではなく代理店の可能性がありました。

さらに、写真ごとの使ってよい範囲の表記がありませんでした。社内の品質の確認で、この3つが分からないまま進めようとしていることに気づき、手順を止めています。

入れる前に確かめる4点

この件のあと、顧客や第三者から預かった素材を生成AIに入れる前の確認を、次の4点に決めました。

  • 提供元:誰から預かった素材か。顧客本人か、代理店や紹介者か
  • 許諾の範囲:ファイルごとに確かめる。フォルダ名や口頭の包括的な了解で代えない
  • 写っている人の権利:静止画を載せる許可は、動画にする・作り変えることまでは含まない
  • 送り先の学習の設定:入れた素材がAIの改善に使われるか

4点目は、Geminiならアカウントの種類で変わります。個人のアカウントでは、アクティビティの保存がオンのとき、共有した写真もトレーニングを含む改良に使われます。会社のWorkspaceでは、事前の許可や指示がない限りトレーニングに使われません。

1つでも分からなければ、素材を差し替えます

4点のうち1つでも分からなければ、自社で作った素材かストックの素材に差し替えてから進めます。「素材を提供する」という合意は、「外部の生成AIに入れる」合意とは別だからです。

「後で確認する」「当日にひとこと添える」は使えません。一度送った素材は取り消せないためです。急ぐ場面ほど、差し替えて進めるほうが結果として早く終わります。

広告の画像をGeminiで社内で作る進め方|実演で見せた工程と確認

素材の権利で迷わない方法の1つは、人物やシーンの画像を最初から生成AIで作ることです。スマートエイトは、広告動画を撮影なしで社内で作る工程を、YouTubeの実演で公開しました。

広告の画像と動画を社内で作る5つの段階の流れ図。商材と台本の準備、人物の画像、場面ごとの画像、動画とナレーション、人とAIでの確認の順に並べている

実演の流れは、確認まで含めて5つの段階です

実演では、商材と台本の準備、人物の画像、場面ごとの画像、動画とナレーション、人とAIでの確認の5つの段階で広告を作りました。動画の中では、商材の整理から編集までを7つの作業に分けて見せており、登場するモデルも画像もナレーションも、すべてAIで作っています。

台本の段階では、AIに「場面を作って」とだけ頼まず、問題提起から申し込みまでの構成を先に渡しました。動画の中では、外注なら数万円から、ブランド広告では数十万円以上かかる制作を、数百円のAIの利用料と数時間で作れるという見立ても示しています。

外注と社内で作る場合の費用をどう比べるかは、生成AIの費用対効果を測る4つの問いで整理できます。社内で作る場合は、4-3の確認にかかる人の時間も費用に含めて比べます。

人物の画像は、同じ指示で複数のツールを比べて選びます

人物の画像は、同じ指示をGemini・ChatGPT・*Midjourneyに入れて見比べ、広告に合う1枚を選びました。指示は、英語のほうが狙いに近い画像が出やすいため、英語に訳して入れています。

選んだ人物の画像は、すぐ動画にしません。先に表情や場面の違う画像をまとめて作っておくと、場面ごとに別人に見える失敗を防げます。

公開の前に、人の目とAIで確かめます

完成したら、人の目とAIの両方で、人物が場面をまたいで同じに見えるか、違和感が残っていないかを確かめます。商用で使うなら、ここに2章の確認を足します。

足すのは、既存のキャラクターや実在の人物に似ていないかと、他社のロゴや商品が写り込んでいないかの2点です。生成画像の透かしの扱いと、AI生成であることを伝える場面の決め方は、Geminiのウォーターマークを消す方法で詳しく扱っています。

*Midjourney:文章の指示から画像を作る、画像生成に特化したAIのサービス。人物や雰囲気のある絵づくりに使われることが多い。

よくある質問|Geminiで作った画像の商用利用について

透かしを消せば、商用利用してよいことになりますか?

なりません。透かしを表示するかどうかと、規約や著作権の上で使ってよいかは別の話です。透かしの有無にかかわらず、1章と2章の確認を通してから使ってください。

無料版で作った画像も、商用で使えますか?

個人のアカウントには無料版・有料版ともGoogleの利用規約が当てはまり、作った画像の所有権をGoogleが主張しない点は同じです。ただし個人のアカウントでは、入れた写真がAIの改善に使われることがあります。顧客の素材は、無料版に入れないでください。

作った画像の著作権は、自社にありますか?

簡単な指示だけで作った画像は、著作物と認められないことがあります。人が指示や手直しで表現を工夫したと言える場合は、著作物として扱われる余地があります。自社の顔になるビジュアルは、人の手で仕上げる工程を残してください。

実在の人物や他社のロゴを入れてもよいですか?

権利を持つ人の許可がない限り、広告には入れないでください。Googleの禁止ポリシーも、他者の権利の侵害や、本人だと偽って人を欺く使い方を認めていません。人物が必要なら、生成した架空の人物を使います。

さいごに

本記事では、Geminiの画像生成を商用利用するときに押さえる点を、Googleの規約と著作権の考え方から解説しました。作った画像の所有権をGoogleは主張しませんが、既存の作品に似ていないかと、入れた素材の権利が問われます。

「顧客から預かった写真で、AIを使って広告を作りたい」という場面では、作る前に4点の確認を通し、分からなければ素材を差し替えてください。

スマートエイトの生成AI研修では、画像や資料を作る演習の前に、入れてよい素材の線を決めてから進めます。

どの業務から手を付けるかで迷っている場合は、AIに任せられる業務が分かる無料診断から始めてください。3分で終わり、登録もメールアドレスも要りません。 ※生成AI研修資料/導入事例も無料ダウンロードいただけます。

生成AIで広告の画像を社内で作る手順は、スマートエイトの生成AI研修でハンズオン形式で扱っています → 生成AI研修の詳細