はじめに

CLAUDE.mdに決まりを書き足してきたのに、肝心な所が守られないと感じたことはないでしょうか。書けば書くほど伝わるはずだと考えて、行を足し続けている方も多いはずです。

本記事では、CLAUDE.mdの書き方を、詰め込むほど守られなくなる理由と、残す物・移す物の分け方から解説します。スマートエイトは、法人向けの生成AI研修・AI開発・AI顧問の会社で、社内の仕事をClaude Codeで回しています。

当社のCLAUDE.mdも、決まりを書き足すうちに一時は356行まで膨らみ、同じ決まりが2か所で食い違うこともありました。削ってもまた増えるという経験も含めて、その時に決めた分け方を紹介します。

結論として、CLAUDE.mdは短いほど守られやすくなります。毎回の仕事で要ることだけを残し、特定の場面でしか使わない決まりと、例外なく守らせたい決まりは、別の場所へ移します。

本記事は、2026年10月30日時点のAnthropic社の公式情報と、スマートエイトの社内の運用をもとにしています。

CLAUDE.mdとは|いつ読まれ、どこまで効くのか

CLAUDE.mdがいつ読まれ、どこまで効くのかを示す図。置き場は効く範囲によって4つあり、プロジェクトの直下はそのプロジェクトで作業する全員に効いてチームで共有する、自分のホームの設定の場所は自分が関わるすべてのプロジェクトに効く、CLAUDE.local.mdは自分だけに効いてチームには共有しない、組織で決めた場所は会社の全員に配る。CLAUDE.mdは会話を始めるたびに読み込まれ、作業しているフォルダとその上の階層のCLAUDE.mdをすべてつなげて読む。必ず守られる設定ではなく、会話の最初に渡される前提の情報で、AIへの強いお願いに近い。公式の目安は、1つのCLAUDE.mdを200行未満で、長いファイルほど守られる度合いが下がる

CLAUDE.mdとは何で、どこに置く?

CLAUDE.mdは、Claude Code*に、仕事の進め方や守ってほしい決まりを伝えるためのファイルです。毎回同じ説明をしなくても済むように、プロジェクトや自分の仕事の前提を書いておきます。

置き場は、効く範囲によって次の4つがあります。

  • プロジェクトの直下:そのプロジェクトで作業する全員に効き、チームで共有する
  • 自分のホームの設定の場所:自分が関わるすべてのプロジェクトに効く
  • 自分だけのファイルのCLAUDE.local.md*:自分だけに効き、チームには共有しない
  • 組織で決めた場所:会社の全員に配る

会社で使うなら、チームで共有する決まりはプロジェクトの直下に、個人の好みは自分だけのファイルに分けておきます。

いつ読み込まれ、どこまで守られる?

CLAUDE.mdは、会話を始めるたびに読み込まれます。作業しているフォルダとその上の階層にあるCLAUDE.mdは、すべてつなげて読まれます。

ただし、CLAUDE.mdは必ず守られる設定ではありません。会話の最初に渡される前提の情報で、公式も、厳密に守られる保証はなく、あいまいな指示や食い違う指示ではなおさらだと説明しています。

つまり、CLAUDE.mdに書くことは、AIへの強いお願いに近いものです。書けば必ず守られると考えると、行はどんどん増えていきます。

公式は、何行までを目安にしている?

公式は、1つのCLAUDE.mdを200行未満にすることを目安とし、長いファイルほど守られる度合いが下がるとしています。目安を超えると、Claude Codeを起動したときに知らせが出ます。

長さは、使用量にも響きます。CLAUDE.mdは会話のたびに読み込まれるため、長いほど毎回の依頼が重くなります。使用量を減らす方法は、Claude Codeの制限が早い原因と、プランを上げる前の減らし方6つで紹介しています。

では、なぜ長いほど守られにくくなるのでしょうか。2章で、その理由と、当社で実際に起きたことを見ていきます。

*Claude Code:Anthropic社の、AIを使ったプログラミングの道具です。指示を出すと、プログラムを書いて動かすところまで進めます。

*CLAUDE.local.md:自分だけに効く決まりを書くファイルです。チームで共有せず、個人の好みを書いておく場所として使います。

詰め込むほど守られない理由|長さと食い違い

CLAUDE.mdを詰め込むほど守られなくなる理由を示す図。請求書を作る日にも、記事の書き方や画像の決まりなど多くの行が一緒に読まれ、請求書の決まりが埋もれて、請求書の決まりに向く注意はその分だけ薄くなる。どの行も、関係があってもなくても、毎回の仕事でAIの注意を少しずつ使う。書き足し続けると、1、守られない行を足す、2、同じ決まりが2か所に書かれる、3、片方だけ直して食い違い、どちらか一方が選ばれることがある、4、さらに守られなくなる、という悪い流れが1に戻って繰り返す。行を足しても守られないときは、足す前に、長さと食い違いを疑う

なぜ長いほど守られにくくなる?

CLAUDE.mdの1行1行は、関係のない仕事のときにも読まれます。公式も、どの行も、関係があってもなくても、毎回の仕事でAIの注意を少しずつ使うと説明しています。

行が増えるほど、本当に守らせたい行は、その日の仕事と関係のない行の中に埋もれていきます。請求書を作る日にも、記事の書き方や画像の決まりまで読ませていれば、請求書の決まりに向く注意はその分だけ薄くなります。

指示の数そのものが増えると、守られる割合が下がる傾向も調べられています。2025年7月に公開された調査では、500件の指示を一度に渡すと、もっとも良いモデルでも守れたのは68%でした。CLAUDE.mdに決まりを1行足すことは、AIに渡す指示を1つ増やすことです。

書き足し続けると、何が起きる?

書き足し続けると、長くなるだけでなく、同じ決まりが2か所に書かれるようになります。ある決まりが守られないと、前に書いたことを忘れて、言い方を変えて別の場所に足してしまうからです。

2か所に書かれた決まりは、片方だけ直したときに食い違います。食い違った指示について公式は、どちらか一方が選ばれることがあるとしています。どちらが守られるかは、こちらでは決められません。

こうして、守られない行を足す、足した行が食い違う、さらに守られなくなる、という悪い流れができます。行を足しても守られないときは、足す前に、長さと食い違いを疑うのが先です。

スマートエイトのCLAUDE.mdは、どう膨らんだ?

スマートエイトのCLAUDE.mdは、2026年2月には171行でしたが、決まりを書き足すうちに、4月の終わりには356行まで膨らみました。6月に、細かい決まりを別のファイルへ分け、CLAUDE.mdは81行まで縮めています。分けたファイルの側にも、気づいたことを1行ずつ足していきました。

ところが9月に棚卸しをすると、毎回読み込まれる決まりは、CLAUDE.mdと合わせて約4万1,500字ありました。分けたファイルのうち8本が、すべてのファイルを対象にした条件のままで、毎回読み込まれていたからです。

その中に、食い違いと重複が9件見つかりました。たとえば「複数の案を出すかどうか」は4か所に書かれていて、ある所では必ず出す、別の所では要望が具体的なら1つでよい、さらに別の所では顧客向けには書かない、と条件がずれていました。

このとき、同じ決まりは1か所にだけ残し、ほかの場所からは消すと決めました。6月の後に108行まで増えていたCLAUDE.mdも書き直し、98行に、文字数では3分の1ほど減らしています。

残す物|CLAUDE.mdに書くこと・書かないこと

CLAUDE.mdに残す物と、書かなくていいことを示す図。CLAUDE.mdに残すのは、1、仕事の出来を確かめるためのコマンド、2、コードや資料の中で紛らわしい所、3、ファイルを読んでも分からない決め事、4、AIに2回直させたこと、の4つで、共通するのはAIが自分で読んでも気づけないこと。書かなくていいことと行き先は、フォルダの構成やどこに何のファイルがあるかのようなAIが読めば分かることは書かない、「丁寧に」「きれいに整える」のような一般論は守ったかどうかを確かめられないので外す、個人の好みは自分だけのファイルのCLAUDE.local.mdへ、特定の場面でしか使わない手順は毎回読ませる必要がないので4章の移し先へ

CLAUDE.mdに残すのは、どんなこと?

公式は、CLAUDE.mdに残す物として、次の4つを挙げています。

  • 仕事の出来を確かめるためのコマンド
  • コードや資料の中で、紛らわしい所
  • ファイルを読んでも分からない決め事
  • AIに2回直させたこと

4つに共通するのは、AIが自分で読んでも気づけないことです。2回直させたことを足すのは、1回なら偶然でも、2回なら次も起きると考えられるからです。2回直させたことでも、請求書を作る時だけのように場面が限られる決まりは、CLAUDE.mdではなく4章の移し先に置きます。

スマートエイトのCLAUDE.mdに残しているのも、新しく作った物をどのフォルダに保存するかや、顧客の情報を外に出さないといった、どの仕事でも要る決め事です。場面ごとの細かい決まりは、4章で紹介する移し先に置いています。

書かなくていいのは、どんなこと?

書かなくていいのは、AIが自分で読めば分かることです。今あるフォルダの構成や、どこに何のファイルがあるかの説明は、AIがフォルダを開けば分かるので、CLAUDE.mdで繰り返す必要はありません。スマートエイトも6月に、CLAUDE.mdに載せていたフォルダの構成の図を外しています。

「丁寧に」「きれいに整える」のような一般論も外します。どう直せば守ったことになるのかが書かれていないため、守られたかどうかを確かめられないからです。

個人の好みは、1章で紹介した自分だけのファイルへ移します。特定の場面でしか使わない手順も、毎回読ませる必要はないので、4章の移し先へ移します。

1行は、どう書けば守られる?

1-2で見たとおり、あいまいな指示は守られにくくなります。残す1行は、具体的に、守ったかどうかを確かめられる形で書きます。「報告は分かりやすく書く」ではなく、「報告は結論から書き、確かめられなかったことを最後に1行で書く」と書けば、AIも人も、守ったかどうかを見分けられます。

守られないからといって、「重要」「必ず」と強調を重ねるのも避けます。公式も、強調を重ねると、かえって決まりを当てはめすぎると注意しています。

守られない行があったら、強調する前に、同じ決まりがほかの場所に無いか、全体が長すぎないかを見直します。それでも守られず、しかも例外なく守らせたい決まりなら、4章で紹介する、必ず動く仕組みへ移します。

移す物|場面の決まりと、必ず守らせたい決まりの移し先

決まりの移し先を2つの問いで決める流れの図。1つ目の問いは、例外なく守らせたいかで、そうならフックへ移し、決まった操作のたびに必ず動く。2つ目の問いは、今日のどの仕事にも要るかで、要るならCLAUDE.mdに残し、会話を始めるたびに読み込まれる。要らない日がある決まりは、場面がファイルやフォルダで決まるなら読み込む条件を付けたファイルへ移し、そのファイルを触った時に読まれる。ファイルに結びつかない場面の決まりや決まった手順はスキルへ移し、呼んだ時か関係する仕事の時に読まれる。移したら、CLAUDE.mdに残っている元の行は消し、条件はその決まりが本当に要るファイルやフォルダに絞る

場面ごとの決まりは、どこへ移す?

特定の場面でしか使わない決まりは、2つの移し先から選びます。1つは、決まりを別のファイルに分け、特定のファイルを触ったときだけ読み込む条件を付ける方法です。たとえば、2-1の請求書の決まりは、請求書のフォルダを触った時だけ読み込むファイルへ移します。

もう1つは、手順をスキル*にまとめ、呼んだときや関係する仕事のときにだけ全文を読ませる方法です。公式は、同じ手順を3回貼ったらスキルにするという目安を示しています。

気をつけたいのは、分けただけでは減らない場合があることです。CLAUDE.mdの中から別のファイルを読み込む書き方や、読み込む条件の付いていない決まりのファイルは、毎回読む量を減らしません。見た目は短くなっても、AIが読む量は同じです。

条件を付けるときも、範囲を広く取りすぎないようにします。2-3で見たとおり、スマートエイトでも、すべてのファイルを対象にした条件のままの決まりは、分けていても毎回読まれていました。条件は、その決まりが本当に要るファイルやフォルダに絞ります。

移したら、CLAUDE.mdに残っている元の行は消します。2-3で見た食い違いも、CLAUDE.mdと分けたファイルの両方に、同じ決まりが残っていたことで起きていました。

例外なく守らせたい決まりは、どこへ移す?

例外なく守らせたい決まりは、CLAUDE.mdに書くより、フック*で必ず動かすほうが確実です。CLAUDE.mdはお願いに近く、守られない日がありますが、フックは決まった操作のたびに必ず動きます。

スマートエイトでは、パスワードや鍵を誤って変更の記録に残さないよう、記録する前にフックで中身を調べ、見つかればいったん止めています。CLAUDE.mdに「鍵を書かない」と書くだけでは、守られなかった1回で外に出てしまうからです。

ただし、フックを増やしすぎるのも考えものです。公式も、フックは例外のない決まりのためのもので、40個もあれば、その多くはただの好みだろうと見ています。例外がありうる決まりは、CLAUDE.mdに残します。

移し先は、どう選べばいい?

移し先は、2つの問いを順に当てて決めます。1つ目は「例外なく守らせたいか」で、そうならフックへ移します。2つ目は「今日のどの仕事にも要るか」で、要るならCLAUDE.mdに残します。

要らない日がある決まりは、場面がファイルやフォルダで決まるなら、読み込む条件を付けたファイルへ移します。メールを書く時のように、ファイルに結びつかない場面の決まりや、決まった手順は、スキルへ移します。

決まりの種類

移し先

効く時

例外なく守らせたい決まり

フック

決まった操作のたびに必ず

どの仕事でも要る決め事

CLAUDE.md

会話を始めるたび

特定のファイルやフォルダを触る時だけの決まり

読み込む条件を付けた決まりのファイル

そのファイルを触った時

ファイルに結びつかない場面の決まり、決まった手順、長い参考資料

スキル

呼んだ時か、関係する仕事の時

*スキル:決まった手順や参考資料をまとめておき、呼んだときや関係する仕事のときにだけ全文を読ませる仕組みです。ふだんは短い説明だけが読み込まれます。

*フック:ファイルの保存やコマンドの実行など、決まった操作のたびに必ず動く仕組みです。条件に合わなければ、その操作を止められます。

削っても増える|見直しを続ける仕組み

削っても増えるCLAUDE.mdを月に1回見直す仕組みの図。1行足すのは数秒で済むが、前の行を書き直すには全体を読み直して重なりを探す必要があり、足すだけの運用を続けると2章の悪い流れに戻る。月に1回の見直しは、1、CLAUDE.mdと毎回読み込まれる決まりのファイルを合わせた字数を数える(行数だけを見ていると増え方を見落とす)、2、前の月より増えていたら同じ決まりが2か所に無いかを探す、3、全体を読み直して削る(/doctorは削る候補を出してくれる)、を繰り返す。ふだんの運用では、足す前に同じ決まりがすでに無いかを探し、あれば新しく足さずにその行を書き直す。複数人で使うなら、1つの決まりは1か所にだけ書く

削ったCLAUDE.mdは、なぜまた長くなる?

一度削っても、CLAUDE.mdはまた長くなります。スマートエイトでも、6月に81行まで縮めた後、8月の終わりには108行に戻りました。9月に98行まで削った後も、10月の終わりには112行になり、文字数では削る前とほぼ同じ長さに戻っています。

増える理由は、足すほうが削るより手間がかからないからです。新しく直してほしいことが出たとき、1行足すのは数秒で済みますが、前の行を書き直すには、全体を読み直して重なりを探す必要があります。

当社でも、文章の書き方の決まりは、指摘を受けるたびに1行ずつ足す運用にしていました。6月の終わりから9月の棚卸しまでに、そのファイルに足した行は約70行、削った行は9行でした。足すだけの運用を続けると、2章で見た悪い流れに戻ります。

見直しは、どう回す?

見直しは、思い立ったときではなく、決まった間隔で回します。たとえば月に1回、CLAUDE.mdと、毎回読み込まれる決まりのファイルを合わせた字数を数えます。前の月より増えていたら、同じ決まりが2か所に無いかを探し、全体を読み直して削る日を取ります。

CLAUDE.mdの行数だけを見ていると、この増え方を見落とします。当社で食い違いが9件見つかった9月も、CLAUDE.md自体は108行で、公式の目安の200行には届いていませんでした。

Claude Codeには、削る候補を出してくれる/doctor*もあります。フォルダの構成のように、AIが読めば分かる行を見つけて、外す案を示します。

ふだんの運用では、足す前に、同じ決まりがすでに無いかを探します。あれば、新しく足さずに、その行を書き直します。指摘を受けたら1行足す、ではなく、指摘を受けたら既存の行を直す、を基本にすると、行数の増え方が緩やかになります。

複数人で使うとき、何を決めておく?

複数人で同じCLAUDE.mdを使うなら、1つの決まりは1か所にだけ書く、と最初に決めておきます。2章で見た食い違いは、別々の人が、別々の場所に同じ決まりを書き足すことで起きやすくなります。

あわせて、足す場所も決めます。チームで共有する決まりはプロジェクトの直下に、個人の好みは自分だけのファイルに置けば、1人の好みが全員の決まりに混ざりません。変更の記録を残しておけば、だれが、いつ、何を足したかも後から追えます。

1か所に書く、足す前に探す、という決まりは、使う人全員がCLAUDE.mdの読まれ方を知っていて初めて回ります。社員にまとめて身につけてもらう研修の選び方は、法人向けClaude Code研修の選び方で紹介しています。

*/doctor:Claude Codeの状態を点検するコマンドです。CLAUDE.mdについては、AIが読めば分かる行など、外せる候補を示します。

さいごに

CLAUDE.mdは、詰め込むほど守られにくくなります。行が増えるほど、本当に守らせたい行が埋もれ、同じ決まりが2か所で食い違いやすくなるからです。

残すのは、確かめるためのコマンド、紛らわしい所、ファイルを読んでも分からない決め事、2回直させたこと、の4つです。特定の場面の決まりは読み込む条件を付けたファイルかスキルへ、例外なく守らせたい決まりはフックへ移します。

今日は、CLAUDE.mdと、毎回読み込まれる決まりのファイルを開き、今日の仕事に要らなかった行を3つ選んで、4-3の2つの問いで移し先を決めてみてください。月に1回この見直しを続ければ、増えた分をその月のうちに戻せます。

スマートエイトの研修では、Claude Codeで業務を自動化する方法を、対面で教えています。

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