株式会社スマートエイトは、製造会社Lの営業・営業事務・品質保証・技術・工場の社員と経営陣の22名に、「Microsoft 365 Copilot活用研修」を1日・計3時間で提供しました。会社が有償版のCopilotを配ったばかりで、受講者の半数以上は、Copilotで何ができるのかをまだ知らない段階でした。研修では、まず生成AIの仕組みと、入れてはいけない情報の線引きを押さえました。そのうえで、Copilotへの質問、音声入力、プロンプトのテンプレート、出力とプロンプトの保存を、全員が自分の画面で操作しています。午後は、PowerPointで箇条書きから資料の下書きを作らせ、Outlookで受信したメールの要約と返信の下書きを作らせ、Excelで表からグラフと傾向の要約を作らせました。プロンプトの書き方と画像づくり、出力のチェックも練習したうえで、毎週行っている作業を1つ選び、Copilotに任せる指示文の叩き台を作っています。研修後のアンケート(満足度は平均4.50/5)には、「客先などの厄介なメールの返信に使ってみたい」「プレゼン資料の作成に活用して、いかにもパワーポイントという見た目から脱して、見栄えのいいものにしたい」「社内のExcelなどの資料がきれいに作れるようになりそう」と、Copilotを使いたい業務が受講者自身の言葉で書かれていました。
基本情報
- 業種:製造会社
- 受講者:22名。営業と営業事務がもっとも多く、品質保証、技術、工場長・工場事務、経営陣も参加
- 研修期間:2026年8月、1日・計3時間(午前1時間・午後2時間)
- 研修の形式:会議室での対面と、ほかの拠点や自席からのZoomを組み合わせたハンズオン
- 使ったAI:Microsoft 365 Copilot(現在の名前はMicrosoft Copilot。有償版のMicrosoft 365 Copilot Business。Word・Excel・PowerPoint・Outlookの中で使えるプラン)
- 提供サービス:Microsoft 365 Copilot活用研修
- 研修で扱った使い方:Copilotへの質問と出典の確かめ方、音声入力、プロンプトのテンプレート、Copilot Pagesへの出力の保存、プロンプトの保存と呼び出し、PowerPointでの資料の下書きとデザインの調整、Outlookでのメールの要約と返信の下書き、Excelでの集計・グラフ・傾向の要約、プロンプトの書き方5つ、掲示物や資料の挿絵の画像づくり、出力のチェック、自分の業務の作業をCopilotに任せる指示文づくり
事前にご相談頂いた課題
課題①:有償版のCopilotを配ったばかりで、半数以上が何ができるかを知らなかった
製造会社Lは、社内で使う生成AIを、会社が契約した有償版のCopilotに限っています。ライセンスは22名に2回に分けて配り、先に使い始めた10名には、使えるようになった日に社内の利用ガイドラインと参考になる動画のリンクを送りました。8月から使い始めた12名に送ったのは、ガイドラインだけです。研修前の打ち合わせでご担当者は、受講者の半数以上が、何ができて何ができないのかをまだ分かっていないと話していました。一方で、AIがないと仕事にならないと言い始めた人も1〜2名いて、使い込む人とまだ触れていない人の差が開き始めていました。
課題②:資料づくりやデータ入力にAIを使いたいが、どの業務から手を付ければよいか分からなかった
受講者の中で多いのは、営業と営業事務です。営業のプレゼン資料はもう少し生成AIで作れないかと前から考えていたものの、手を出せずにいました。営業事務と工場事務には、決まった流れでデータを入力していく作業があります。メールについても、AIを使うとどこが楽になるのか、イメージがつかめていませんでした。業務をAIに置き換えるならどれが一番効くのかが分からない、というのが研修前の状態です。
課題③:入れてよい情報の線引きを、受講者が自分で判断できるか不安だった
会社は、簡易版と詳しい版の2種類の利用ガイドラインを作り、受講する22名に配っていました。線は厳しめに引き、迷ったときは管理部に相談する決まりです。それでも、受講者が本当にガイドラインを守って使えるかには強い不安がありました。「これはだめ」という例を具体的に示さないと、受講者が判断に迷うためです。客先から受け取った図面を、社名を伏せて入れてよいか、といった境目の判断も出ていました。情報漏えいのリスクと、入れてよい情報の範囲は、午前のうちに説明してほしいというご要望でした。
課題要因(なぜ従来のアプローチでは解決しなかったか)
- 会社として、セキュリティの面も含めて生成AIを体系立てて学ぶ機会を一度も設けておらず、受講者の手元にあるのが、ガイドラインと一部の人に送った動画のリンクだけだったため
- ネット上の解説動画は数が多く、誤った説明も混ざるため、動画での自習に任せると、かえって受講者を迷わせるおそれがあったため
- ガイドラインに書けるのは線そのもので、自分の資料やメールが線のどちら側かを、自分の画面で確かめる機会がなかったため
- 有償版で使えるPowerPoint・Outlook・Excelの中のCopilotを、ふだんの資料・メール・表で試すきっかけがなかったため
選んだアプローチ
「Microsoft 365 Copilot活用研修」を、1日・計3時間(午前1時間・午後2時間)で提供しました。講師が会社を訪ね、会議室の受講者は対面で、ほかの拠点や自席の受講者はZoomで参加し、全員が自分のパソコンでCopilotを開いて同じ操作をするハンズオンです。扱う機能は、会社が契約している有償版で使えるものに絞りました。
研修の前には打ち合わせを持ち、ご要望に合わせて構成を組み替えています。情報の取り扱いは、ご要望どおり午前の講義に入れ、どの会社でも入れてはいけない情報を示したうえで、個人情報や機密の扱いは会社のガイドラインに従う形で伝えました。午前は「Copilotで何ができるか」を全員が体験する時間、午後はアプリの中での使い方と書き方を練習し、最後に自分の業務へ当てはめる時間です。資料づくりはWordよりPowerPointを優先して午後の最初のコマに置き、メールの説明は全員が使っているOutlookに絞りました。演習の題材も、営業と営業事務の仕事に多い議事録・プレゼン資料・メール・データの転記に寄せています。
なぜこのアプローチか
- 半数以上が何ができるかを知らない段階では、細かい操作を覚えるより先に、「こういうことができる」を全員が自分の画面で一度体験するほうが、研修のあとに自分で試す人が出てくるため
- 入れてよい情報の線は会社ごとに違う。どの会社でも入れてはいけない情報を講師が示し、個人情報や機密はガイドラインに従う形にしておくと、境目の判断を研修のあとに会社として決められるため
- 受講者は営業と営業事務がもっとも多く、プレゼン資料とメールの比重が高かったため。有償版の価値がいちばん見えるのも、ふだん使うPowerPoint・Outlook・Excelの中のCopilotだった
- 最後に毎週行っている作業を1つ選び、Copilotに任せる指示文の叩き台まで作っておけば、どの業務から手を付けるかを受講者が自分の作業で決められ、翌営業日に使う作業が決まった状態で研修を終えられるため
研修の全体設計
午前は、生成AIの基礎と安全な使い方を押さえたあと、Copilotの基本操作を全員で試しました。午後は、PowerPoint・Outlook・Excelの中での使い方と、プロンプトの書き方、画像づくり、出力のチェックを練習し、最後に各自が自分の業務の作業を1つ、Copilotに任せる指示文にしています。
時間帯 | テーマ | 内容 |
|---|---|---|
午前 | 生成AIの | 生成AIは |
午前 | Copilotの | Copilotに |
午後 | アプリの | PowerPointで、 |
午後 | プロンプトの | 週報を |
午後 | 画像づくり | 告知用の |
午後 | 自分の | 議事録・ |
研修の冒頭では、会議室の受講者は隣の人と話しながら、Zoomの受講者は手元のメモに、AIで効率化したい作業を思いつくまま書き出しました。挙がったのは、経営分析、プレゼン資料、市場調査、議事録、比較・調査、データ分析、アイデア出しの壁打ち、動画やデザイン、工場の現場の仕事などです。講師はこの一覧を受けて、AIが得意な仕事と苦手な仕事の見分け方を示しました。答えを確かめられる仕事(Excelの関数や、シートのエラーの確認)と、材料が手元にある仕事(議事録の要約や、メールの返信の下書き)はAIに任せやすく、正解が人の好みで変わる仕事や高度な意思決定は任せきれない、という線です。
基本操作のハンズオンでは、全員で同じ質問をCopilotに送り、回答の出典と、回答の下に出る追加の質問の候補を確かめてから、1回で終わらせずに聞き進める練習をしました。音声入力では、スマートフォンでの英語と中国語の入力で、話すほうが打つより約3倍速かったという研究を示し、背景や条件を言葉でまとめて渡す使い方を試しています。受講者からは、海外の相手との打ち合わせで、相手の話を日本語に訳して見られるかという質問が出て、翻訳や要約への使い方に話が広がりました。出力を保存する操作で手が追いつかなかった受講者には、その場で手順を言い直し、保存した出力がライブラリに入るところまで一緒に確かめています。
午後は、PowerPoint・Outlook・Excelの中でCopilotを呼び出しました。PowerPointでは、伝えたい内容を箇条書きで渡して資料の下書きを作らせ、構成を1回直させてから、デザインを整えさせています。Outlookでは、受信したメールを要約させ、返信の下書きを作らせる使い方を講師が画面で見せたあと、受講者も自分の受信トレイの1通で試しました。Excelでは、表を渡して数式の列とグラフを作らせ、表から読み取れる傾向を要約させています。
プロンプトの書き方は、週報を題材にした練習です。役割と読み手、目的と背景、出力の形、守ってほしい条件、先に質問させる、の5つを1行ずつ足して送り、1行足すたびに文章が変わるのを見比べて、自分に効いた書き方を選びました。画像づくりでは、研修の告知用のポスターのような掲示物や資料の挿絵を、作りたい絵を日本語で説明して作らせ、条件を足したり形を変えたりして出し直しています。指示を1行変えるだけで絵が変わるので、素材を探さずに挿絵を用意できます。続く出力のチェックでは、誤りの入った文章を配り、全部を読み直さずに、数値・固有名詞・出典の3点だけを確かめて誤りを見つける手順を身につけています。
最後の31分は、自分の業務に当てはめる時間です。議事録・プレゼン資料・メール・データの転記・図面の読み込み・企画の壁打ちのお題から各自が1つを選び、社名などを伏せたうえで、Copilotと相談しながら指示文を作り、試して1回直しました。締めくくりに、どの作業に使ったかをチャットに1行ずつ書いて共有し、翌営業日にどの作業で使うかを決めています。
結果
研修後のアンケートには8名が回答しました。点数は、満足度・理解度・今後の業務で活用できそうかの3つを5段階で聞いた平均です。
定量成果(研修アンケート/8名の平均)
- 全体満足度:4.50/5
- 理解度:4.25/5
- 今後の業務で活用できそう:3.88/5
受講者がアンケートに書いた、Copilotでやりたい業務
アンケートの「今後、AIを活用して解決したい課題」の欄には、研修で使い方を知った業務を、受講者が自分の言葉で書いています。研修で扱った使い方と並べると、次のとおりです。
受講者の | 研修で |
|---|---|
「客先などの | Outlookで、 |
「プレゼン | PowerPointで、 |
「社内の | Excelで、 |
「外部への | 告知用の |
「海外出張の | 話した内容を |
このほか、不具合対策を挙げた受講者もいました。すでにAIを使って効率化に取り組んでいる、と答えた受講者もいます。
受講者の声
研修後のアンケートに書かれた声から、3つを紹介します。
「業務でAIに任せられることが大分イメージ出来ました。」 ― 受講者
「分かり易かったです。目の前にいて指導いただけるメリットが活きた研修でした。」 ― 受講者
「基本が判りました。説明が判りやすかったです。」 ― 受講者
提供内容
- Microsoft 365 Copilot活用研修。1日・計3時間(午前1時間・午後2時間)、会議室とZoomを組み合わせたハンズオン
- 研修前の打ち合わせ(ご要望に合わせた構成の組み替え)



