はじめに
Xで「Grok BotがXを調べられるようになった」という投稿を見かけて、もう1つAIを契約すべきか迷っていないでしょうか。会社ではChatGPTを使っていて、何が違うのか分からないまま話題だけが流れてくる、という方は少なくありません。
本記事では、Grok Botとは何かと月額料金を押さえたうえで、ChatGPT・Claude・Geminiにない機能だけを取り出して解説します。スマートエイトは法人向けの生成AI研修と開発を手がけており、本記事はxAIと3社の公式情報を1つずつ照らし合わせてまとめました。
結論として、3社にない機能は「設定なしでXを調べる」「Xのポストから仕事を頼む」「Xを5分おきに自動で見張る」の3つです。どれも要らない仕事であれば、いま使っているAIで足ります。
本記事は、2026年10月15日時点のxAIと各社の公式情報をもとにしています。比べた相手はこの3社のAIで、ほかのAIは含みません。
Grok Botとは|チャットのGrokとの違いと月額料金
Grok Botは何をしてくれるAIか
Grok Botは、xAIが2026年8月11日にベータ版として公開した、仕事を代わりに進めるAIです。クラウド上のコンピューターを使い、メールやSlackなどのアプリにログインして、頼まれた作業を最後まで進めます。
人に戻ってくるのは、承認やログインが要る場面です。一度やり方を見せた作業は、次から自分で進めます。
このように、自分で手順を進めて作業を片付けるAIを「AIエージェント*」と呼びます。
チャットのGrokと何が違うのか
チャットのGrokは、質問に答えるAIです。Grok Botは、答えを出したあとの作業まで受け持つAIで、役割が分かれています。
チャットのGrokにも、決まった時刻に同じ依頼を自動で送る予約の機能が7月16日から加わりました。間隔は1日1回からで、結果はメールかアプリの通知で受け取ります。
これに対してBotは、アプリをまたいだ作業を、分単位の間隔で自動で回せます。決まった時刻に答えをメールで受け取るだけならチャットのGrokで足り、ほかのアプリを操作して片付けてほしいならGrok Botの出番です。
月額はいくらかかるのか
新しく契約する人がGrok Botを使えるのは、月30ドルのPremium*以上のプランです。チームで使う場合も、1人あたり月30ドルからかかります。
このプランは、Grok Botだけの料金ではありません。チャットのGrokや、Xの有料会員の特典もまとめて含まれます。
チャットのGrokだけで足りるなら、有料の最安は月8ドルです。3社のAIとの月額の比べは、3章の表で示します。
*AIエージェント:指示を受けて、自分で手順を考えながらアプリを操作し、作業を最後まで進めるAI。質問に答えるだけのチャットとは役割が違う。 *Premium:Grok Botが付く有料プランのうち、最も安いもの。チャット版や、Xの有料会員の特典もまとめて含まれる。
ChatGPT・Claude・Geminiにない3つの機能|Xを調べる・頼む・見張る
Xの投稿を設定なしで調べられるのか
調べられます。日本時間の10月8日に、Grok Botの公式アカウントがXの検索と閲覧に対応したと告知しました。Xのアカウントをつなぐ設定も、開発者向けの登録も要りません。
できるのは、公開されている投稿を読む作業です。キーワードでの投稿の検索、特定のアカウントの投稿や言及の確認、引用やリポストをした人の確認、話題ごとの直近の投稿数の集計、トレンドとニュースの確認までを接続なしで頼めます。
一方で、投稿はできず、読むだけに限られます。自分のDM・ブックマーク・ホームのタイムラインを読ませたいときは、Xのアカウントでのサインインが必要です。
Xのポストから仕事を頼めるのか
頼めます。Xの投稿や返信の中で「@bot*」とタグ付けすると、その投稿がGrok Botへの依頼として届きます。たとえば、長いスレッドに「@bot このスレッドを要約して、要点を自分のSlackに送って」と返信する使い方です。
X上の@botは、依頼を受け取ったという短い返信だけを返します。作業の中身と結果は、専用のアプリの中に残ります。
使う前の準備として、チャットのGrokのアカウントにXのアカウントをつないでおく必要があります。使えないのはオーストラリア・イギリス・EUなどのアカウントで、日本は含まれていません。動画やGIFの付いた投稿への依頼も受け付けられません。
どれくらいの間隔でXを見張れるのか
Grok Botは、同じ作業を最短5分おきに自動で回せます。1体あたり50本まで予約でき、パソコンを閉じている間もクラウドで動きます。
1つ目の機能は、頼んだその時にXを調べるものです。3つ目は、頼まなくても決めた間隔で同じ検索を繰り返し、新しい投稿だけをほかのアプリへ届けます。チャットのGrokの予約は1日1回からなので、1日に何度も見張る使い方には向きません。
3社のAIにも予約はあり、ChatGPTの会話の中の予約やClaudeのデスクトップアプリの予約は、分単位でも回せます。ただし3社の公式の連携の一覧には、X社が出している連携がなく、X社の公式の方法は開発者向けの登録が前提です。
登録なしでXを検索し、それを5分おきに回して、パソコンを閉じたまま新しい投稿を届けるところまでを1つで受け持てるのが、Grok Botです。
たとえば、自社の商品名を含む投稿を15分おきに検索し、新しい投稿だけをSlackに送る、という見張り方ができます。毎朝30分かけて目で追っていた確認を、気になる投稿が出た時だけ読む形に変えられます。
長く使わずにいると、自動の作業を続けるかを聞かれることがあり、返事をしないと見張りは止まります。見張りを任せている間も、聞かれたら続けると答えておきます。
*@bot:Grok Botに仕事を渡すためのXのアカウント。投稿や返信でこの名前をタグ付けすると、その投稿が依頼として届く。
ChatGPT・Claude・Geminiでも足りること|閉じても動く・承認・アプリの操作
自分で作業を進めるAIはGrok Botだけか
Grok Botだけではありません。アプリを操作して作業を進め、承認が要る時だけ人に戻る働き方は、3社のAIも提供しています。
ChatGPTでは、7月に発表されたChatGPT Work*が数時間かかる作業を自分で進め、重要な操作の前に確認を求めます。予約した時刻に動かすほか、決めた出来事が起きた時や、見張っている内容が変わった時に動かすこともできます。
詳しい使い方は「ChatGPT Workとは|できることと使い方・自社で使えるかの確認手順」で解説しています。
Claudeでは、Cowork*の予約した作業が有料プランのすべてで使えます。手元のファイルを使わない作業であれば、パソコンがスリープ中でもクラウドで動きます。
Geminiは、個人のGoogleアカウントの有料プランで、24時間動き続けて作業を進める機能を提供しています。会社や学校のアカウントでは使えません。支払いやメールの送信の前には確認を求めます。
4つを並べるとどこが違うのか
並べると、働き方そのものはほぼ同じです。違いが出るのは、Xを調べる・頼む・見張るの3つの行と、月額です。
比べる点 | Grok Bot | ChatGPT | Claude | Gemini |
|---|---|---|---|---|
自分で作業を進め、承認が要る時だけ戻る | ○ | ○ | ○ | 個人のアカウントなら○ |
パソコンを閉じても動く | ○ | 手元のファイルを使わない作業なら○ | 手元のファイルを使わない作業なら○ | 個人のアカウントなら○ |
Xの投稿の検索が、最初から入っている | ○ | × | × | × |
Xのポストから仕事を頼む | ○ | × | × | × |
Xの検索を予約で5分おきに回す | ○ | × | × | × |
表の機能を使う主なプランの月額 | 30ドル | 20ドル | 20ドル |
働き方と、パソコンを閉じても動く点は、4つともほぼ同じです。Xを使わない仕事なら、手持ちのAIで代わりが利きます。
手持ちのAIで足りるのはどんな仕事か
見分け方は2つです。Xの投稿を読む必要があるかと、それを1日に何度も見張る必要があるかを確かめます。
どちらにも当てはまらない仕事は、いま使っているAIで片付きます。メールの下書き、資料の要約、毎朝決まった時刻の集計のような仕事は、ChatGPTやClaudeで受け持てます。
2章で挙げた「自社の商品名を含む投稿の見張り」は、どちらにも当てはまる仕事です。この仕事でGrok Botを選ぶべきかは、Xを読むほかの方法と比べてから決めます。次の章で、その比べ方を見ていきます。
*ChatGPT Work:ChatGPTで、数時間かかる作業を自分で進める機能。デスクトップアプリでは無料のプランでも使え、重要な操作の前には確認を求める。 *Cowork:Claudeに作業を任せる機能。2026年9月からチャットと1つになり、ウェブやスマホからも使える。
Xを調べる仕事はGrok Botを選ぶべきか|ほかの方法との比べ方
Xの投稿はGrok Botでしか読めないのか
Grok Botでなくても読めます。読む方法ごとに、要る準備が違います。
ChatGPT・Claude・Geminiの公式の連携の一覧には、X社が出している連携がありません。X社の公式の方法は、API*も、AIからつなぐ窓口も、Xの開発者向けの登録が前提です。
ChatGPTやClaudeを作る会社の読み取りロボットも、Xのサイトの設定で読み取りを断られています。Xの利用規約も、事前の書面の同意が無い自動の読み取りを禁じています。
仕事でXを調べる主な方法は、次の表のとおりです。開発者向けの登録も、データを持つ会社との契約も無しに使えるのは、GrokとGrok Botです。
方法 | 準備 | 費用 | 向く使い方 |
|---|---|---|---|
Grok Bot | 不要 | 月30ドルのプランから | 短い間隔で見張り、Slackなどへ知らせる |
チャットのGrok | 不要 | 有料は月8ドルから | 気になった時に、その場で聞く |
XのAPI | Xの開発者向けの登録 | 自社の仕組みに組み込む。ClaudeなどのAIからもつなげる | |
xAIのAPI | xAIの開発者向けの登録 | 日付の範囲を決めて検索し、自社の仕組みに組み込む | |
ソーシャルリスニング*の契約 | 提供する会社との契約 | 契約による |
調べる頻度でどれを選べばいいのか
選ぶ軸は、どのくらいの間隔で調べたいか、どこまで遡りたいか、結果をどこに入れたいかの3つです。2章の「自社の商品名を含む投稿の見張り」で考えると、選び方は次のように分かれます。
- 新しい投稿を15分おきに拾い、すぐ知りたい:Grok Bot
- 気になった投稿を見つけた時だけ、反応をまとめたい:チャットのGrok
- 数年分の投稿を遡り、話題の推移を見たい:ソーシャルリスニングの契約
- 自社の管理画面やデータベースに取り込みたい:XかxAIのAPI
開発者のいない会社で、1日に何度も見張りたい場合は、Grok Botなら手間をかけずに始められます。見つけた時に聞けば足りるなら、月8ドルのチャットのGrokで足ります。
Grokが集めた投稿をそのまま使ってよいか
そのまま使わず、原文で確かめてから使うのが安全です。スマートエイトが9月に、Grokで集めたXの投稿10件をもとに書いた記事の下書きを原文と照らし合わせたところ、2件で、下書きの内容と原文が食い違っていました。
1件は、宣伝の投稿に書かれていた公式の性能の数字を、投稿した人の体験談として書いていました。もう1件は、原文のどこにも無い作業の内容が、下書きに入っていました。どちらも、投稿の冒頭だけでは気づけず、全文を読んで初めて分かりました。
見張りを任せる場合も、報告に投稿のリンクを付けるよう頼んでおきます。資料や広告に数字や言葉を引く前に、そのリンクから原文を開いて読む手順を1つ挟むだけで、取り違えを防げます。
*API:アプリ同士をつないで、データをやり取りするための窓口。使うには開発者向けの登録と、使った分の支払いが要る。 *ソーシャルリスニング:SNSの投稿を集めて、自社や競合の評判を調べるサービス。Xと契約を結び、過去の投稿まで検索できるものがある。
契約する前に確かめること|料金の表示・日本での利用・データの扱い
料金は20ドルと30ドルのどちらが正しいのか
新しく契約するなら、30ドルが正しい料金です。製品ページに出ている月20ドルは、以前から契約している人向けの料金として残っているものです。
申し込みの画面では、選んだプランにGrok Botが含まれているかを確かめてから支払いに進みます。
プランには週ごとの利用枠があり、使い切ると@botからの依頼も受け付けられなくなります。5分おきの見張りを何本も動かす場合は、最初の1週間で枠の減り方を見ておくと安心です。
月30ドルが仕事に見合うかを判断するときは、「生成AIの費用対効果を測る4つの問い|OpenAI CFOの採点表の使い方」の考え方が使えます。
日本語で使えるのか、作業はどこで動くのか
画面は日本語で使えます。アプリは8月に、表示する言語に日本語を加えました。
作業に使うクラウドのコンピューターは、今は米国で動いています。顧客の情報や社外秘の資料を扱わせる前に、国外のサーバーに業務のデータを置いてよいかを、社内の決まりと照らしておきます。
会社で使うとき、データとログインはどう扱われるのか
Grok Botは、自分専用のIDを持ちません。動かしている人の権限の範囲でしか操作できず、ログイン・2段階認証・支払いの場面では、作業を本人に戻して入力してもらいます。
AIの学習への使われ方は、使い方で分かれます。チームで契約してプライバシーモード*を有効にすれば、会社のデータは学習に使われません。
個人で使う場合、学習に使われるかは、ログインに使うCursor*のアカウントの設定で決まります。業務のデータを渡す前に、その設定を開いて確かめておきます。
もう1つ気をつけたいのが、クラウドのコンピューターの共有です。1人の利用者が作ったBotは、すべて同じコンピューターを使います。ほかのBotに触らせたくないログイン情報やファイルは、このコンピューターに置かないのが基本です。
*プライバシーモード:チームで契約したときに有効にできる設定。有効にすると、チームの利用者が扱う会社のデータがAIの学習に使われなくなる。 *Cursor:プログラミング向けのAIを作る会社で、xAIと同じグループに属する。ログインや設定の土台になっている。
さいごに
Grok Botは、アプリにログインして仕事を最後まで進めるAIで、新しく契約するなら月30ドルからです。ChatGPT・Claude・Geminiにない機能は、設定なしでXを調べる、Xのポストから頼む、Xを5分おきに自動で見張る、の3つです。
まずは自分の仕事を、「Xの投稿を読む必要があるか」「それを1日に何度も見張る必要があるか」の2つの問いに当ててみてください。1つ目が当てはまらなければ、いま使っているAIで十分です。
1つ目だけなら、気になった時に月8ドルのチャットのGrokへ聞けば足ります。両方に当てはまり、その確認に毎日時間を取られているなら、Grok Botを試す価値があります。
どの仕事をどのAIに任せるかは、道具が増えても会社が決めることです。スマートエイトの生成AI研修では、受講者が自分の業務を題材に、AIを使った業務の自動化の手順を、対面中心で最大30時間かけて手を動かして身につけます。
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